国内のMaaS普及の鍵、Visaのタッチ決済を先行導入した事業者の次なる展開は?

2022年8月8日8:00

三井住友カードが2022年8月2日に開催した「stera transit 事業社向け 事業戦略説明会」では、国土交通省が日本の交通事業の課題や今後の展望について紹介した。また、国内で率先して「Visaのタッチ決済」の実証実験を行う南海電気鉄道(南海電鉄)、高速バスに加え、路線バス400台にサービスを広げるみちのりホールディングスが導入の現状や今後の展望について説明した。

MaaSは“つなげる、連携をする”ことが重要
国内の各地域、アプリケーションに加え、海外とのつながりも

まずは、国土交通省 総合政策局 モビリティサービス推進課 課長 齋藤喬氏が日本の交通事業の課題と、今後の展望について説明した。齋藤氏は以前、観光庁で働いており、日本の観光ビジョンを取りまとめる業務を行っていた。オーストラリアで職務に就いたが、日本に2年前帰ってきた際、日本のキャッシュレスが進んだと実感したそうだ。コロナで観光需要は落ち込んだが、一方で非接触のニーズは高まり、キャッシュレス化の後押しになった部分はある。

国土交通省 総合政策局 モビリティサービス推進課 課長 齋藤喬氏

齋藤氏はMaaS(マース:Mobility as a Service)事業を推進する立場だが、現在も全国各地でさまざまな取り組みが進行している。交通サービスは、デジタル技術を活用して利便性を高めることが重要だ。国土交通省では、過去4年間で全国約70地域において支援を実施。MaaS事業では、各地域の事業者などが試行錯誤してサービスを展開しているが、1つのキーワードは“つなげる、連携をする”ことだという。全国で展開されているMaaS事業では、小規模なものから、関西MaaS、九州MaaSのように比較的広範囲のものまである。齋藤氏は「より広い地域で、例えば1つのアプリでいろんなサービスを受けることはいいことだろうと思います」と話す。また、交通に加え、買い物、医療、教育など、さまざまなサービスをつなげることも重要であるとした。さらに、国内だけではなく、海外も含めてつなげていくことが重要だとした。例えば、海外から、日本に旅行に来る人が交通予約・決済などがMaaSアプリで完結するといったことが実現できれば良いとした。

キャッシュレスに関しては、さまざまなサービスが使われているが、「地域を超えて、さらにはその国を超えて、使えるサービスが普及していくということが大変便利なことなんだろうと思います」と齋藤氏は期待を寄せる。中でもタッチ決済はその1つとして大変有望であるとした。

南海電鉄は8カ月でローンチ
グループ各社への導入に広げ、有用性を確認

続いて、南海電鉄 常務執行役員鉄道営業本部長 梶谷聡氏が同社のタッチ決済の実用性 、システムの安定性、データ分析、新たな取り込みについて説明した。

南海電気鉄道 常務執行役員鉄道営業本部長 梶谷聡氏

南海電鉄は、大阪の南の玄関口である難波から和歌山市までをつなぐ南海線と、世界遺産 高野山につながる高野線、そして、関西の空路の玄関口である関西国際空港へのアクセスを担う空港線などの路線を有している鉄道会社だ。総駅数が100駅、営業キロは154.8キロとなる。特に空港線については、コロナウイルスが蔓延するまでは多くのインバウンド客が利用していた。コロナ禍以前の2018年には、2011年当時の2倍以上の利用となった。

インバウンド客の増加に伴い、駅窓口では、外国人との現金の受け渡し、駅窓口で乗車券へ引き換えるための長蛇の列が発生するといった課題があった。インバウンド専用カウンターを3つ増設したが、それでもオピーク時にはカウンターから自動改札機までの長蛇の列となった。観光客にとって、駅窓口で慣れない日本円での支払いが発生していた。また、バウチャー券を窓口で乗車券に引き換えるため時間がかかることも長蛇の列の要因の1つだった。そこで、2015年には乗車券・特急券・企画きっぷのクレジットカード決済を開始し、Alipay、WeChat Payなど順次券種を拡大したが、「増え続けるお客様への対応としては、十分とは言えませんでした」と、南海電気鉄道 常務執行役員 鉄道営業本部長 梶谷知志氏は話す。

そんな中、三井住友カードから、Visaのタッチ決済に対応した「stera transit」についての話を聞き、実証実験することとなった。海外ではクレジットカードによる交通利用が広く普及していることを知り、1枚のカードで世界の交通機関が利用できるようになることに加え、両替やチャージなしで鉄道を利用できることに魅力を感じたという。

実証実験の目的の1つは「トランジットの実用性の確認」だ。既存の交通系ICカードと同等の処理ができるのか、使い勝手が良いのか、バスやフェリーと連携できるのかといった観点を確認した。2つ目はシステムの安定性だ。LTE回線を採用したため、山岳地域でも問題なくシステムが安定して稼働するのかを検証した。3つめは、データ解析の有効性だ。購買動向や属性など、クレジットカードと組み合わせることで、分析できるかを検討課題とした。

南海電鉄では、2020年8月にプロジェクトを発足し、2021年4月に南海電鉄16駅で実証実験をスタート。8カ月間でシステムの検討、また、近畿運輸局との調整、改札機等でのハードの整備まで全て行った。梶谷氏は「今までにないスピードで、実証実験までの準備ができたと思っております」と成果を述べる。

現在。19駅で実証実験を行っており、今年の9月までには4駅を追加する予定だ。 2021年10月には南海りんかいバス、2022年3月には南海フェリー、2022年4月には仙北高速鉄道の各グループ会社が参加。南海フェリーでは、鉄道運賃とフェリーの料金をセットにした乗り継ぎ企画券と同額の運賃を引き去る仕組みを構築している。梶谷氏は「これまで実証実験を通じて、さまざまな交通事業で有用であることを確認しております」と語る。

回線を二重化するもネットワークは再検討
PCI P2PE認定の内回り対応の経緯とは?

システムの安定性については、当初は不具合もあったというが、都度QUADRACと調整を行ったことで、現在は安定して稼働しているとした。また、現在は従来から利用するソフトバンクに加え、NTTドコモの回線を利用して二重化しているが、ネットワークは再検討しているそうだ。「具体的には、携帯電話回線ではなく、光回線を用いて、社内ネットワークを経由した方式への変更」だと梶谷氏は説明する。

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