2022年11月4日8:30
国際的なFinTechフェスティバルとなる「Singapore FinTech Festival(シンガポール・フィンテック・フェスティバル)2022」(主催:MAS 〈Monetary Authority of Singapore〉 / ELEVANDI〈エレバンディ〉)が2022年11月2日~4日まで開催されている。
11月1日には、政策立案者と投資家が一堂に会するCapital Meets Policy Dialogueを実施。また、10月31日と11月1日には、最新の FinTech イノベーションとプロジェクトを紹介するSingapore EXPO Convention Centreを開催した。
同イベントは、1週間のプログラム全体で850 人を超えるエキスパートスピーカー、450出展者、25の国際パビリオンによる展示が行われる世界最大級のFinTechイベントとなっている。2022 のテーマは、「ボラティリティと変化の中でレジリエントなビジネスモデルを構築する」だ。主催者によると、110 を超える国と 2,000 を超える組織から参加者が集まると予想している。実際、記者は2日と3日に参加したが、会場は数多くの人が訪れ、イベントの活況はコロナ前の状況に戻りつつあることを実感した。
スピーカーのハイライトとして、マスターカード アジア パシフィック President Ari Sarker(アリ・サーカー)氏は、「次の 10 年間は本当に影響力のある 10 年間であると、多くの楽観的な見方を持って出発します」としたうえで、APACの世紀になるとした。そのうえで、「テクノロジーには、私たちの社会やコミュニティが抱えている深刻で厄介な課題を解決する大きなチャンスがあると感じています」と述べた。
また、MAS マネージングディレクター Ravi Menon(ラヴィ・メノン)氏は、「シンガポールは暗号資産のハブになりたいか」という質問をよく受けるとのことだが、「実物の資産と金融資産をトークン化して効率を高め、金融取引のリスクを軽減する場合、暗号ハブになりたいと考えています」とした。一方で、「仮想通貨の取引や投機に関するものであれば、それは私たちがなりたい仮想通貨のハブではない」としている。
会場では大企業やスタートアップ、政府、各国のパビリオンなど、さまざまなブースが設けられている。暗号資産、NFT、Web3.0、DAOといったキーワードで展示した企業も見受けられた。また、持続可能な社会の実現に向けたESGのフィンテック ゾーンも今年から設置された。
注目のブースとして、日本の三井住友フィナンシャルグループでは、アジアの展開を強化しているが、ブースで実施したセッションでは同グループの三井住友カードや、インドネシアの銀行であるBTPN、フィリピンの銀行であるRCBCといった連携先の講演も行われた。
日本のパビリオンでは、シンガポールのM-DAQ(エムダック)を誘致するなどFinTech企業の進出に力を入れる福岡市をはじめ、東京都や大阪府などが企業誘致の説明を行っていた。
また、決済関係では、国際ブランドのVisaやMastercard、決済端末ベンダーのIngenicoなどが展示やデモを実施。また、日本でも注目されるAnt GroupやTencentなどもブースを設けた。