MMD研究所が2022年10月にポイント経済圏利用実態調査を実施 楽天が着々と経済圏を拡大――?

2023年1月10日8:00

MMD研究所は、2022年4月から4半期ごとに、ポイント経済圏に関する利用実態調査を実施。その3回目、最新となる10月の調査結果のダイジェストが発表された。これによると、メインで利用しているポイントは楽天ポイントが34.7%で1位、最も多く利用されているクレジットカードは楽天カードで41.4%が利用、最も意識している経済圏は楽天経済圏で47.8%と、楽天が圧倒的な強みを見せた。

MMDLabo 代表取締役 吉本 浩司氏。2022年12月21日の説明会では、5つの各経済圏を比較して解説した

3分の1以上が楽天ポイントをメインで利用
キャッシュレス比率は6割へ

MMD研究所が2022年10月、2万5,000人を対象に実施した経済圏利用実態調査によると、最も多く利用されている共通ポイントは楽天ポイントで、60.3%が利用。楽天ペイメントは2022年、累計発行数が3兆ポイントを突破したと発表したが、この調査でも利用者の多さが裏付けられた格好だ。2位はTポイントで52.7%、3位はPontaポイントで42.0%、以下、dポイントが37.6%、PayPayポイントが33.5%、Amazonポイントが31.7%、WAONポイントが24.5%などとなっている。ポイントを利用していない人は、全体の11.1%だった。

さらにその中でメインで利用しているポイントを聞いた設問では、やはり楽天ポイントが34.7%で他を圧倒した。2位がdポイントで12.9%、3位がPayPayポイントで9.9%、4位がTポイントで8.7%、5位がPontaポイントで8.0%と続く。

また、同じ2万5,000人を対象に、1カ月間の買い物の支払い方法を、全体で100%になるように回答してもらったところ、キャッシュレス比率は59.1%で、前回の7月調査の58.0%から1.1ポイント増加した。支払い方法別ではQR・バーコード決済の伸びが大きく、前回調査より1.8ポイント増の16.0%となった。

クレジットカードは半数弱が楽天カードを利用
QRコード決済ではPayPayが他を圧倒

キャッシュレス決済の半数弱を占めているのが、クレジットカード。利用しているクレジットカードを聞いた設問では、楽天カードが41.4%でトップ。楽天カード(ゴールド、プレミアム)と合わせると44.0%に上る。2位はイオンカードの14.5%で、イオンカードセレクト、イオンゴールドカードと合わせると19.4%。dカードは6.9%、dカードGOLDは6.5%と、dカードの場合はゴールドカード比率が高いのが特徴。ゴールドカード会員はロイヤリティが高く経済圏拡大への貢献度が大きいため、PayPayもゴールドカードの発行を始め、会員獲得に力を入れているところだ。

一方、QRコード決済では、PayPayが42.9%と他を圧倒する。楽天ペイが20.3%でこれに続き、d払いが19.1%、au PAYが14.5%などとなっている。「利用していない」は33.8%だった。

電子マネーでは、カードタイプではWAONが20.9%でトップ、以下、Suicaとnanacoがともに15.1%、Visaのタッチ決済が12.4%など。「使っていない」が43.7%だった。スマホでの利用は、Suicaが10.1%、iDが7.4%などで、「使っていない」が68.5%。未利用者層をどこが取り込んでいくかによって、シェアは今後大きく変動する可能性もある。

千葉工業大学 社会システム科学部 経営情報科学科の西松研教授も登壇

クレカ、QRコード、ECなど…
各社各様の強みを生かして経済圏の拡大を図る

この調査では、docomo、au、PayPay、楽天、イオンの5つのポイント経済圏に注目。各事業者は当然、経済圏拡大のために各種施策を講じているわけだが、利用者は果たして経済圏を意識しているのか。5つの各経済圏について、その意識を聞いたところ、楽天経済圏では21.8%が「意識して利用・選択している」、17.4%が「やや意識して利用・選択している」、残りの60.7%は「意識していない」と回答。そのほかの4つの経済圏はすべて、「意識していない」が8割弱を占めていた。

「意識して利用・選択している」「やや意識して利用・選択している」と回答した人に、最も意識している経済圏を聞いた設問では、楽天経済圏が47.8%(前回調査46.8%)と半数弱を占め、トップ。楽天は、2002年に楽天ポイント、2005年に楽天カードをスタートさせ、2006年に楽天エコシステム構想を発表。その構想が着々と形になってきた印象だ。

この調査では、スクリーニング調査対象の2万5,000人の中から、5つの各経済圏を意識し、かつ、それぞれの経済圏のポイントをメインで利用している人を500人ずつ、計2,500人を抽出し、本調査を実施した。

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