「priceless」や決済音等でブランド価値を高めるMastercardの独自マーケティング戦略

2023年2月3日9:00

Mastercardのマーケティング&コミュニケーション最高責任者兼ヘルスケア部門社長を務める、ラジャ・ラジャマナー氏がマーケティング論と解いた本である「クオンタムマーケティング」がこのほど発売された。それを記念した一橋大学での特別講演が2023年1月25日にオンラインで開催された。ラジャマナー氏は、世界のビジネススクールで学ばれている「priceless(プライスレス)」手法など、独自のマーケティング戦略について紹介した。

Mastercard マーケティング&コミュニケーション最高責任者兼ヘルスケア部門社長を務める、ラジャ・ラジャマナー氏(一橋大学に向けた講義をオンラインで実施)

5つのマーケティング・パラダイム
ソニックブランドとしても確立

ラジャ・ラジャマナー氏の著書「クオンタムマーケティング」は日経BP社より2022年12月25日に発売された。ラジャマナー氏は、インド経営大学院で経営学修士号を、オスマニア大学で化学工学の技術学士号を取得し、アジアン・ペインツ、ユニリーバで営業および製品管理を担当した後、シティグループでシティ・グローバル・カードのエグゼクティブ・バイスプレジデント兼CMO、ダイナースクラブ北米会長兼CEO、シティ中東湾岸マーケットのマーケティング&セールス・ディレクター等を経て、現在はMastercard マーケティング&コミュニケーション最高責任者兼ヘルスケア部門社長を務めている。「フォーブス」誌の「世界で最も影響力のあるCMO」の1人に2021年に選出されている。

日経BP社から発売された「クオンタムマーケティング」。本体2,200円(税込2,420円)

Mastercardでは、1997年からテレビCMを中心に「priceless」キャンペーンをスタート。約190カ国でキャンペーンを打ち出したが、感情、人のつながり、関連性といった魅力で瞬間的なヒットとなり、現在も継続してブランド価値を高めている。

ラジャマナー氏によると、「マーケティングは一定ではなく、2000年以上続いていた」という。例えば、フィンランドの考古学者がポンペイ市民の家々に書かれた政治家の資質や主張に関するメッセージを発見したという。

ラジャマナー氏は、これまでのマーケティングの変遷として、商品の良し悪しを基準にする「プロダクト・マーケティング」、感情自体が大きな役割を果たす「エモーショナル・マーケティング」、データアナリクスなどによる「データトリブン・マーケティング」、SNSやモバイル技術などによる「デジタル&ソーシャルマーケティング」、そして第5のマーケティングとなる「クオンタムマーケティング」を挙げた。

現在はさまざまなデータ、AI(人工知能)やブロックチェーンといったテクノロジーによって消費者の生活の変質が進んでいる。「クオンタム」とは、従来のアプローチで説明できない影響の意味だ。また、測定不可能なほど著しい速さや量の変化という意味を持っている。「クオンタムマーケティング」では、新たなテクノロジー、メディア、枠組み、インサイトを活用して商品に対する感動を高めていくことだという。

Mastercardでは、ブランディング強化として、ブランドロゴ構築の努力を重ねてきたが、2019年にはMastercardの文字をロゴから外し、赤と黄色のシンプルなロゴに変更した。これは、世界的にも少ない、シンボルだけのブランドロゴだが、視覚に訴えるマーケティング等により「84%の方がMastercardだと認知しています」とラジャマナー氏は述べる。また、Mastercardでは、メロディを作ることで、ソニックブランディングを強化している。同社のメロディは、世界各国、さまざまなシーンで自然に溶け込むことを意識した。また、決済時に流れる1.3秒のアクセプタンスサウンドもあるが、「この音を聞くたびにMastercardの認識が評価され、現在3億箇所で流れています」と同氏は説明する。さらに、Mastercardのソニックブランディング強化に向けたアルバム「Priceless」も制作。Mastercardでは、世界のベストソニックブランドにも選ばれているそうだ。

注目している3つのテクノロジー
ロゴを強調する他ブランドに比べての強みとは?

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