神姫バス、観光周遊バスでタッチ決済やQR企画券による実証実験

2023年4月7日8:10

1 日の利用上限額を定めたサービスの効果検証も実施

兵庫県のバス会社である神姫バスでは、2022年10月1日から、バス路線の「シティループ」「ポートループ」の運賃の支払いに、Visa のタッチ決済と QR 企画券を活用する実証実験を行っている。Visaのタッチ決済の利用で当日利用分の請求上限額(700円)を設定する国内初の事例となった。

バスにはキャッシュレス決済端末「BOSS」を設置するとともに、「上限運賃適用サービス」を案内している

外国人対応の乗務員の負荷軽減
上限以上の支払いは不要に

神姫バスは、兵庫県神戸市を中心に路線バスなどを運行している。同社では、独自の交通ICカードとして「NicoPa(ニコパ)」を導入している。また2016年1月には関西共通ICである「ICOCA」と「PiTaPa」への対応も行っており、現在は7~8割がIC乗車券の利用となっている。

タッチ決済の導入を以前から検討していたところ、2022年4月からシティループの運行を神戸交通振興から引き継ぐことになった。神姫バス バス事業部営業課課長の佐藤匡氏は「シティループは観光周遊の利用が中心のため、インバウンド決済への対応としてタッチ決済を導入しました」と話す。また、同社が運営主体となり、2021年4月から連節バスであるポートループの運行を行っている。神戸を訪れる観光客の多くがバスに乗って街を周遊するため、かざすだけで利用できるタッチ決済の導入がプラスになると考えた。

観光客に対しては、1日券、2日券をインフォメーションセンターと車内で販売していたが、特に車内では金銭のやり取りが発生するなど、乗務員の負担になっている。タッチ決済の導入により、スムーズな乗車に加え、700円を超えると乗車運賃が割引になる「上限運賃適用サービス」の効果検証を行っている。

同実証実験は、三井住友カード、ビザ・ワールドワイド、小田原機器、QUADRAC、RYDEの協力を得ている。「2年間の実証実験となっていますが、継続を前提に進めています」(佐藤氏)。また、観光庁による「訪日外国人旅行者受入環境整備緊急対策事業費補助金」に加え、三井住友カードから導入費の支援を受けたという。

車内には、小田原機器製キャッシュレス決済端末「BOSS」を設置。前ドア付近に設置してある端末の読み取り部にタッチ決済対応のカードやスマートフォンをかざして利用が可能だ。また、QR企画乗車券は乗務員に利用することを告げた後、端末のカメラにQRコードをかざすことで検札が完了する。

上限運賃適用サービスは、日単位(月単位も可能)の利用金額に上限を設定し、上限に達した場合はそれ以上の支払いが不要となる仕組みだ。QUADRACのSaaS型プラットフォーム「Q-move」では上限運賃に対応したサービスを準備していたが、実際に運用した全国初の事例となった。

QR企画券をかざす仕様に変更
施設との連携など新たな展開を模索

神姫バスでは、RYDEと連携して2022年4月から「RYDE PASS」による1日乗車券「Kobe 1-day loop bus ticket」、2日乗車券「Kobe 2-day loop bus ticket」を導入しているが、QR企画券による実証実験の開始後は、1日乗車券を乗務員に見せる形から、QRコードを端末にかざすタイプに切り替えた。

佐藤氏は、今後の発展形として、「市内の施設と連携した取り組みなども検討していきたい」とした。今回の仕組みは700円を上限としているが、例えば、利用客が少ない冬場は金額を変更するといったことが展開できれば、より柔軟性が高まる。また、「現在は1券種のため見せるタイプでも判断しやすいですが、例えば施設でのセット割引などの導入で券種が増えた場合、乗務員の対応が煩雑になります。QRコードの読み取りによってサービスが拡大しても1オペレーションでできます」と説明する。都度の乗車券のQR対応も検討していきたいとした。

今後はタッチ決済のニーズが高まる?
時代に合った運賃収受も検討へ

サービス開始時点では、タッチ決済は月に300件ほどの利用がある。サービス開始後2カ月の時点では、国内在住者の利用が多い。まだ全体の利用に占める割合は数%程度と少ないが、認知度の向上に加え、インバウンド観光客がコロナ前の状態に戻れば、さらにニーズが高まると見ている。

神姫バスでは、交通系ICカードの利用を現在の7~8割からさらに拡大させることが必須事項となっているが、タッチ決済などの新たな決済手段への対応、MaaS(Mobility as a Service)など他のサービスと連携した取り組みの可能性も模索していきたいとした。例えば、空港バスなど、インバウンド利用を前提としたアクセスではタッチ決済の導入も考えられるという。また、Visa以外のブランドの導入も関係者と協議して進めていきたいとした。

佐藤氏は「現在検討中のICカードシステムのリプレイスのなかで、さらに発展したサービスが提供できればと考えています。15~16年前よりも技術的な可能性が広がっていますので、多様な生活スタイルに合わせた運賃サービスを検討したいです。また他の事業者と連携して、新しい交通利用の形を作っていきたいですね」と構想を述べた。

「決済・金融・流通サービスの強化書2023」より

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