2023年6月6日8:00
会員向け定期購読誌「ハルメク」の出版や、通販、講座・イベント開催など、シニア女性向け事業を手掛けるハルメクホールディングスが波に乗っている。2023年3月に東証グロース市場に上場したのに加え、同年3月期決算では「ハルメク」の部数を約50万部まで伸ばし、大幅な増収増益を達成した。成長の背景には、書店では購入できない情報誌「ハルメク」というサブスクサービスの存在がある。「年額一括支払い」という強気な決済方法にもかかわらず、広く支持を得ている。
通販研究所 渡辺友絵
記事のポイント!
①ハルメクグループの読者数と通販事業が伸⾧
②サブスクで盤石な会員基盤
③新たな会員制「ハルメク365」
④支払い方法に「アプリ決済」も
⑤「ロボホン」を会員に貸与する実証実験
⑥顧客ニーズに合わせたマーケティング活動へ
⑦ポイント付与率や有効期限を変更
⑧サブスクをフックにマーケットを拡大へ
定期購読者数は50万人に達し上場後初の決算も絶好調
ハルメクグループは、「50代からの女性がより良く生きることを応援する」を経営理念に掲げて事業展開。定期購読形式の月刊誌「ハルメク」のほか、通販カタログ「ハルメク 健康と暮らし」と「ハルメク おしゃれ」の発行や百貨店への出店、旅行・イベント・講座の開催、Webサイト「ハルメク365(サンロクゴ)」の運営など多岐にわたる事業を手がけている。
上場後初の決算となった23年3月期連結業績は、売上収益が前期比13.9%増の287億 3,800万円、営業利益が同49.5%増の20億3,000万円と大幅に増加。雑誌「ハルメク」の読者数と通販事業が大きく伸⾧したことが増収増益につながった。
「ハルメク」は日本ABC協会が集計する女性誌分野で2019年上期から販売部数7半期連続1位となっており、 2022年12月号では定期購読者数が初めて50万人を突破。漫画誌を除く全雑誌で1位となった。
1年間と3年間の年間購読者を他の自社事業に誘導
「ハルメク」12冊分の年間購読料(送料・税込)は6,960円のサブスクサービスで、購読料だけでもかなり安定した事業収入となる。さらに支払金額が1万8,900円となる3年間・36冊分のコースもあり、1冊あたりの金額がお得になるため、コアな読者はこちらを選んでいるようだ。
50万人の会員はカタログ・Webで展開する通販事業をはじめ、「繋がりの場」を提供するオフライン・オンラインの講座やイベント、旅行などに誘導。シニア女性のリアルな声をもとに自社商品も開発する通販では昨年4.3万セットのオリジナルおせちを売り上げ、「繋がりの場」には延べ2.1万人が参加した。通販で手がけるファッションアイテムや化粧品、生活用品を扱うリアル店舗も全国で8店舗展開し、「ハルメク」からの誘導を図る。
サブスクサービスで形成される盤石な会員基盤が他の事業にも大きく貢献し、業績底上げにつながっているといえよう。
会員制Web事業でも新たなサブスクサービスを開始
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