2023年7月26日7:50
大日本印刷(DNP)と、デジタルアートのブランドGASHO2.0を運営するRaptorsは、Web3カンファレンス「WebX」(7月25、26日)に共同で出展し、DNPによるNFC(近距離無線通信)タグとNFT(非代替性トークン)を組み合わせた正規品証明およびデジタル上での所有証明システム(試作版)のデモンストレーションを行っている。
NFTをはじめとしたデジタル作品への注目が世界的に高まる中、デジタルでしか存在しない作品を現実に出力するニーズも高まっている。DNPは長年培った印刷技術を強みとし、作品の色味を忠実に再現するカラーマネジメント技術や作品の世界観を豊かにする表現技術を有し、GASHO2.0はレリーフ・ペインティング技術を応用して、アルミ板に何層も重ねて塗装することで立体的な表現を可能にする出力技術を有しているという。
こうした両社の強みを掛け合わせて、WebXでは、イラストレーター・藤ちょこ先生の繊細で色彩豊かな作品をモチーフにして、日本の表現力と技術力を世界へアピールしていく。
近年、ブランド品や高付加価値商品を中心に、巧妙化した偽造品の流通が増えているが、DNPはこうした状況に対し、セキュリティー技術や認証技術の開発に取り組んでいる。近年は2022年3月から提供している「DNP NFCタグ認証プラットフォーム」を活用し、ブロックチェーン技術と連携することで、商品が正規品である証明を行うとともに、デジタル証明書のNFTを所有者に提供できるシステム(特許出願済み)の開発を進めている。同システムを応用することで、誰でもスマートフォンを使用して即座に真贋判定を行うことを目指すそうだ。
DNPは、リアルとバーチャルの空間を融合して新しい体験価値を創出する「XRコミュニケーション」事業を展開している。その一環で、アニメ・マンガ・ゲーム等のIP(知的財産)ホルダーと協業して、印刷技術を通じてデジタル作品を現実に出力するソリューションをグローバルに展開し、リアルとバーチャルの双方で世界中のコンテンツファンが利用できるサービスの開発に努めていくという。また、セキュアな認証技術とブロックチェーンを組み合わせ、欧州で進むDPP(Digital Product Passport)をはじめとした「モノの来歴証明」として将来的に活用することを見据えたソリューションの開発にも取り組む。
GASHO2.0は、多様な技術を駆使して、デジタルアートの魅力を最大限に引き出す活動を展開していく。クリエイターコミュニティーのさらなる拡大や、さまざまなクリエイターとのコラボレーション、プロジェクトでの活用を促進し、2023年9月に開催するシンガポールでの個展をはじめ、世界各地での展示会やイベント、現代アートの分野への展開も予定しているそうだ。
この記事の著者
ペイメントナビ編集部
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