2023年9月7日9:00
インド・ムンバイで「Global Fintech Fest (GFF) 2023」が2023年7月5日~7日まで開催されている。GFF2023は、インド国家決済公社(NPCI)、インド決済カウンシル(PCI)、およびフィンテック コンバージェンス・カウンシル(FCC)が共同で主催する最大級のフィンテック カンファレンスおよび展示会だ。主催者の発表によると、800のスピーカー、500名の出展者、3日間で5万人の参加者が訪れるという。
同イベントの基調講演で国際金融サービスセンター機構(IFSCA)委員長のK・ラジャラマン(K Rajaraman)氏は「インドにとって、FinTechは金融包摂の観点から成果を上げています。金融サービスの所要時間の大幅短縮、手続きの簡素化、非常に効率的な異なるビジネスモデルの出現につながりました。それに加えて、FinTechは金融仲介業者のコストを削減し、データの集約を可能にし、信用と保険のリスクの軽減にもなりました。インドのフィンテックによってもたらされた金融包摂と電子政府は、インドの社会経済成長の軌道を変える上でまさにゲームチェンジャーとなっています」と成果を述べた。
インドは、約14億人の生体認証を可能にし、国民を5Gで接続し、口座を持たない5億以上の層に銀行口座を提供している。また、2023年第 1 四半期の時点で23社のユニコーン企業があり、2014 年から現在までに 2,600 万ドル近くの資金提供を受けているスタートアップ企業は 660 社を超えるという。また、フィンテック導入率は約 87%だ。
なお、7日には「国境を越えた決済: 世界経済の橋渡し」と題したパネルセッションも行われ、日本銀行 FinTechセンター長の別所 昌樹氏も登壇する予定だ。
NPCIはGFFの同社ステージ内でさまざまな発表を行っている。5日のステージでは、UCO BANKと「RuPay Merchant Credit Card」、Canara Bankと「RuPay Merchant Credit Card」、Bank of Maharashtraと「Merchant Credit Card at the GFF Premier」を発行すると発表した。
中小企業向けにサービスを提供するPepper Money Indiaは、キャッシュバック特典の付いたシティカード「PepperMoney Dreams RuPay プリペイド カード」を発行すると発表した。
DCB BANKは「DCB Bank Payless RuPay Selectクレジットカード」を発表した。
日本でもCBDC(中央銀行デジタル通貨)の動きが注目されているが、Canara Bankではインド準備銀行(RBI)のCBDCのパイロットの一環として「Canara Digital Rupeeアプリ」を開始した。利用者は、「Unified Payments Interface (UPI、統一決済インターフェース) 」のQRコードをスキャンしてデジタル通貨「Digital Rupee」の支払いが可能だ。
日本のPayPayとの連携でも有名なPaytm(ペイティーエム)は、「Paytm Soundbox」のデモを実施。店舗は利用者が決済するごとに音声で支払通知を受けることが可能だ。
「PhonePe(フォーンペ)」はインドのモバイル決済サービスのシェアで「Google Pay」や「Paytm」を大きく上回るというデータもある。また、1つのアプリで決済以外にもさまざまなサービスを提供しているのも特徴だ。
Amazonの「Amazon Pay」、Googleの「Google Pay(Google Wallet)」といった日本でも展開されている決済サービスもブース出展していた。インドのGoogle PayはQRコード決済の利用が多い。
会場では、機器に表示されたQRコードをスマートフォンで読み取ることにより出金が可能な「UPI-ATM」が展示された。インドで決済ソリューションプロバイダーとして展開する日立ペイメントサービスにより発売される。
MG Motor Indiaは、UPIの決済インターフェースと連携して、車内で支払いができる「MG Pay」のデモを実施。
Visaのブースでは、SumSungがGalaxy Watch6による「SumSung Wallet」による支払いデモを行った。
会場では、日本のクレディセゾンのインド子会社であるCredit Saison Indiaも出展。2018年にレンディング事業を開始したが、事業や人員、拠点は順調に拡大しているそうだ。
NTTデータは日本でCAFISが有名だが、アジアを中心にペイメント領域でも展開国を増やしている。NTTデータペイメント・サービスでは同社の取り組みを紹介した。