シンガポールの決済用統一QRコードの新規格「SGQR+」のメリットは?

2023年11月28日8:00

複数社の決済QRコードを1枚にまとめるのが統一QR規格だ。たとえば、日本では、QRコード決済の統一規格「JPQR」があり、現在は東南アジアのQRコード決済の統一規格を、今後相互運用できるよう検討している。QRコード決済が普及する国やサービスでは1つのQRコードで複数の支払いが受け付けられる動きが進められている。シンガポールでは、2023年11月に統一QRコード「SGQR(Singapore Quick Response Code、シンガポール統一QRコード)」の新規格「SGQR+」の概念実証(PoC)が行われている。Singapore Fintech Festival2023のNETSのブースでは、EY シニアコンサルタント TING QUAN ONG(ティン・クアン・オン)氏が「SGQR+」のメリットやPoCの目的について紹介した。

EY シニアコンサルタント TING QUAN ONG(ティン・クアン・オン)氏

PoCは23の決済スキームで展開
複数の決済プロバイダーを集約

2018 年にシンガポールで標準化されたQRコードである「SGQR」は、複数のQRコード決済を1つのQRコードにまとめるように設計されている。国際的に標準化された仕様(EMVCo)に基づくQR仕様となる。以前は決まった加盟店(マーチャント)が決まったQRコード決済アプリしか受け取れなかったが、統一することで複数の決済用QR コードが 1 つの SGQR ラベルに統合されることとなった。

ただし、SGQRはできないことがあるという。Alipay、GrabPay、NETS、ShopeePay、UnionPayなど、複数の支払いスキームの受け入れを希望する小売などの加盟店は、各金融機関、決済サービス会社と提携する必要がある。利用者は、販売者がそれらの支払いスキームに対応する金融機関と取引関係を維持している場合のみ決済アプリケーションを利用可能だ。たとえば、10のアクワイアラ(加盟店開拓事業者)がいたら10のプロセスが必要となる。これにより加盟店に負担がかかり、また、互換性がないため顧客体験も損なわれるという。

加盟店は複数の契約が必要となるとともに、決済状況を把握するための明細書へのアクセスも分散する。また、決済スキームはクローズドループの性質が残っているため、相互運用性は確保されないとした。

「SGQR+」は相互運用性のある加盟店向け決済ソリューションとして設計されているそうだ。SGQR+により、加盟店はSGQRもしくはSGQR+を選ぶ選択肢ができる。また、SGQR+により、加盟店が受け入れられる決済数が増加するとともに、店舗ではシームレスな支払いプロセスになり、新規顧客の拡大によって取引量が増加するそうだ。加盟店は1つの金融機関と提携することで、SGQR+を使用して複数の決済プロバイダーを集約でき、異なる決済スキームを受け入れることが可能だ。

プロジェクトオーナーはMAS(Monetary Authority of Singapore)が務め、PoCはBanking Computer Services Pte Ltd が管理し、PoC 参加者に技術サポートを提供するという。トラックIをLiquid Group、トラックII を NETSが主導する。また、EYは共同ナレッジパートナーとなっている。

SGQR+のPoCは23の決済スキームで展開。現地の決済に加え、国際的な決済スキームの受け入れも可能だ。国際決済は、Alipay+(中国、香港、マレーシア、フィリピン、韓国)、GLN(韓国)、ITMX(タイ)、PayNet(マレーシア)、WeChat(中国本土)に加え、国際的なGoogle Pay(XNAP経由)、XNAPによるMastercard、UnionPay、XNAPによるVisaで使用可能だ。

シンガポールのチャンギ地区(16/17地区)にある1,000以上の販売ポイント、およびSingapore Fintech Festival2023の会場で、加盟店がリアルタイムで相互運用可能な決済を受け付けられるかをテストしている。

Liquid GroupとNETSが主導して展開
実験のスキームや共通IFを持つソリューション構築へ

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