2024年1月16日8:00
日産自動車、ダイキン工業、TIS、マツモトプレシジョンの4者は、参画する一般社団法人AiCTコンソーシアムのもと、再生可能エネルギーを活用して、電気自動車(EV)の充放電制御システムと業務用空調制御のデマンドシステムを組み合わせた新たなエネルギーマネジメントの構築に向けた実用化検証を福島県喜多方市で実施している。5者では2023年12月19日に記者説明会を開催し、同取り組みを紹介した。
“需給調整力の創出”が求められる
脱炭素化に向けた業界横断の取り組み
日産自動車 常務執行役員 土井 三浩氏によると、今回の取り組みのポイントして「業界横断で地域の脱炭素化にチャレンジ」「パートナー企業との共創」「地域との共創」の3つを挙げた。
昨今、各地域で再生可能エネルギーの導入が進んでいる。しかし、再生可能エネルギーは太陽や風力など、安定しているわけではなく変動が起きている。また、家庭や工場など“需給調整力”も必要となる。この2つの変動しているエネルギーのバランスをとる“需給調整力の創出”が求められる。今回の取り組みはメンバー一体となって需要調整力をつくるもので、電気自動車からのエネルギー、ビルの空調をコントロールするマネジメントだ。
今回は電気自動車とその制御技術を持つ日産自動車、空調機器や制御技術を持つダイキン、電力のアグリゲーション技術を持つTIS、環境の価値経営に取り組むマツモトプレシジョンがAiCTコンソーシアムのもと集い、業界横断の取り組みを行うものだ。この4社が連携するきっかけとして、日産自動車、ダイキン、TISがAiCTコンソーシアムで各社のソリューションを融合し、地域から脱炭素化を推進することができないかという議論を行っていた。
また、マツモトプレシジョンでは再生可能エネルギーの効率活用と地域社会への貢献に関してロードマップを掲げており、ステップ1でエネルギーを作り、ステップ2で省エネ・電化に取り組み、ステップ3で再エネの効率活用と地域社会への貢献を行うビジョンを持っていた。4社では1年以上の議論を重ねてきたが、その想いが共感し、次世代エネルギーマネジメントへのチャレンジを行うこととなった。
EV・空調の制御技術を連携
快適性を損なわずエネルギーマネジメント実現へ
電力調整力に関してのリソースはそれほど多くはない。その中で、EVと空調・給湯機などのヒートポンプ(HP)設備に関してダイキンと日産自動車はリソースを有している。
今回の実用化検証では、マツモトプレシジョン本社(福島県喜多方市)で、同社が社用車として保有するEV 3台(日産アリア、日産リーフ、日産サクラ)と、従業員が通勤に利用するEV 1台(日産サクラ)の計4台を使用し、EVの充放電を自律的に行う日産の制御システムと、ダイキンの高効率空調機と空調制御デマンドシステムを組み合わせ、EVと空調の協調制御を検証する。
マツモトプレシジョン敷地内に設置されている太陽光発電による再生可能エネルギーを活用しながら、電気自動車の充電や放電(電気をビルに戻すこと)を行う。充放電の整備をつかさどるのが日産自動車の整備したIntelligent Charging Management System Serverだ。これは、電力側のデマンドに応じて、各電気自動車の充電や放電をコントロールするものだ。EVが使われる時間を把握し、車ごとに何パーセント充電されているのかを調整し、それをコントロールして充放電を行う。また、空調制御はダイキンのDK-Connect Serverを活用する。
重要なのはIntelligent Charging Management System ServerとDK-Connect Serverが協調することだという。2つのリソースを活用することより、空調による職場環境の快適性も損なうことなく、効率的なエネルギーマネジメントの実現を目指す。
従来、夏の暑い時期などの電力ひっ迫時は空調がOFFになるため、室温が高くなり社員は不快となる。また、全EVから均等に放電するため、使いたいときに充電量不足になる可能性がある。
今回の仕組みでは、空調ONのまま部屋ごとに段階的な抑制・制御が可能だ。また、EVの電力も利用して快適性維持できる。さらに、充電量・利用時刻などを元に充放電でき、使うときには充電される仕組みだ。
会津コインのインセンティブでEVユーザーの利用促進
マツモトプレシジョンは社内店舗で福利厚生等に活用
全体の制御を行うのがTIS提供の電力のアグリゲーションのプラットフォームだ。例えば、EVや空調、ビルからデータを取得しデータを活用してエネルギーを調整する。
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