会津若松市の「会津コイン」、プレミアムポイント事業採用など2023年度は地域での浸透を目指す

2023年8月23日10:12

TIS、みずほ銀行、一般社団法人AiCT コンソーシアムは、2023年8月22日、地域課題解決型デジタル地域通貨サービス「会津コイン」の最新の取り組みについて記者向けの説明会を開催した。会津コインは、2023年12月から開始される予定の会津若松市のプレミアムポイント事業でも活用される予定だ。2023年度は地域へのさらなる浸透を図り、店舗、利用者の大幅な拡大を目指す。

左からみずほ銀行 デジタルイノベーション部長 柿原愼一郎氏、AiCTコンソーシアム 代表理事(アクセンチュア マネジング・ディレクター)海老原城一氏、会津若松市長 室井照平氏、AiCTコンソーシアム 理事(TIS デジタル社会サービス企画ユニット デジタル社会サービス企画部 会津サービスクリエーションセンター長)岡山純也氏、TIS DXビジネスユニット DX企画ユニット ジェネラルマネージャー 中村健氏

記事のポイント!
①「三方良し」の地域社会実現を目指す
②プレミアムポイント事業で活用
③デジタルクーポン・ポイントで地域DX
④独自の手数料体系にチャレンジ
⑤539店舗、利用者1万人を視野に、達成目標の根拠は?
⑥他の地域通貨にない金融機関のネットワーク?

⑦会津コイン事業へのみずほの貢献は?
⑧会津コインとJ-Coin Pay相互利用の見解

市民、地域、企業の「三方良し」の地域社会実現へ
会津若松市プレミアムポイント実行委員会が組成

会津若松市は、スマートシティの推進によって、市民、地域、企業の「三方良し」の地域社会実現を掲げている。同市では、年間1,000人以上の人口減少が続いているが、デジタル技術を使って、生活が便利な街づくりを目指している。例えば、介護事業所においてスマートフォンアプリ「ケアエール」を活用して家族や友人との情報共有をデジタルで行ったり、申請書の事前作成サービス「手続きナビ」を活用して市役所窓口での応対時間を削減している。

あゆむCaféでの会津コインのデモ

デジタル技術は魅力的な仕事づくりにも生かされる。「スマートシティAiCT」を中心に地元企業と進出企業が密接に連携し、新たなサービスを開発し、地元の産業を活性化させる狙いだ。さらに、地域を元気にする仕組みづくりとして、地域にお金だけではなく、利用者の同意のもと、さまざまな情報を地域に還元し、その情報で新しい仕事を生み出しながら地域を豊かにしていくことを目指す。

そのために構築してきた仕組みの1つがデジタル地域通貨サービス「会津コイン」だ。会津若松市長 室井照平氏は「決済はさまざまな分野に横串でかかわるものであり、スマートシティ会津若松の中で基軸となる取り組み」だとした。会津コインは、一般社団法人AiCT コンソーシアムが受託した内閣府のデジタル田園都市国家構想推進交付金(Type3)事業に採択された、福島県会津若松市の「複数分野データ連携の促進による共助型スマートシティ推進事業」の取り組みとして、同市が提供するデータ連携基盤と接続する決済手段となる。同市では、出産子育て応援給付金で会津コインを活用したデジタル給付と、行政手続きをオンラインで申請できる「手続きナビシステム」を組み合わせて簡単で迅速なデジタル行政手続きの実現に取り組んでいく方針だ。

会津若松市では、8月23日に会津若松商工会議所とあいづ商工会、AiCTコンソーシアムの3者により会津若松市プレミアムポイント実行委員会が立ち上がり、「会津プレミアムポイント」の秋の実施に向けて準備を進めている。物価やエネルギー価格の高騰を受けて、地域の消費喚起事業の必要性を議論する中で、会津コインを活用することになった。昨年度紙で実施したプレミアム商品券とほぼ同様の商品性で会津プレミアムポイントをデジタル化する。さらに、スマートフォンが利用できない高齢者や子供の分も、家族を代表して購入可能だ。

会津コインを活用することで、地域内の経済循環を効果的に生み出すことができるとした。室井氏は、会津コインはアプリとしての完成度や運用面は大手企業と比較するとまだ成熟していないとしながらも、会津若松市のような地方都市を元気にするデジタルサービスとして育てていきたいとした。

地域・市民のデータ利活用を進める
「会津モデル」「都市OS」は8カ所で導入

続いて、AiCTコンソーシアム 代表理事(アクセンチュア マネジング・ディレクター)海老原城一氏が、会津地域でスマートシティ事業を推し進めるAiCTコンソーシアムの活動について紹介した。アクセンチュアは2011年からスマートシティ事業にかかわっており、会津若松市で地域DXのためのプラットフォームの整備をしてきた。市民生活のDX、地域産業のDX化を進めるとともに、市民の主体的な同意・参画に向けて、データ連携基盤は、データの共有についてあらかじめ市民に同意(オプトイン)してもらうことで、市内の各サービス間で当該データを活用できるように進めている。

同市における令和4年度デジタル田園都市国家構想の取り組みとして、「食・農業」「観光」「決済」「ヘルスケア」「防災」「行政」などのデジタルサービスを実装した。令和4年度の取り組みの1つに「デジタルクーポン・ポイントサービスによる商店街・店舗DX」があり、会津コインを使った地域店舗の効率化、高度化を進めていく予定だ。また、「環境価値の地域循環サービス」では、太陽光パネルを使って減らしたCO2についての還元も会津コインで行う。なお、会津若松市では、環境省の脱炭素先行地域に採択された。

会津若松市で取り組んできたスマートシティの「会津モデル」および「都市OS」はすでに8カ所で導入されており、現在、複数都市で導入に向けて準備が進められているそうだ。

2023年度は加盟店、利用者の大幅拡大で地域定着へ
会津地域における金融機関をほぼカバー

AiCTコンソーシアムは現在16のコンソーシアムで運営されているが、その中の1つに「決済WG」がある。決済は、地域にデータを残すことは難しかったが、会津コインにより地域にデータを残し、利活用していくことで、地域の生産性を向上させることが可能になる。

会津コインは地域ウォレット「会津財布アプリ」内のサービスの1つとして提供している。AiCTコンソーシアム 理事(TIS デジタル社会サービス企画ユニット デジタル社会サービス企画部 会津サービスクリエーションセンター長)岡山純也氏は会津コインの特徴を3つ挙げた。

1つ目は、地域貢献に参加できる点だ。会津コインの支払いの一部を子ども食堂に寄付したり、会津コインで地域貢献への謝礼を渡すなど、地域を良くする仕組みを目指している。2つ目は、買い物データを地域団体や事業者へ分析して還元することで、時点での来店動向、街の分析など、地域を活性化させる仕組みに活用可能な点だ。3つ目は、店舗が支払う手数料体系だ。

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