三重県の5町 マイナンバー、デジタル通貨、ヘルスケア連携の「美村パスポートアプリ」で目指す世界とは?

2024年2月14日8:30

三重県の多気町・大台町・明和町・度会町・紀北町が連携する「美村(びそん)プロジェクト」は、広域を中心とした地域の活性化に向けて、さまざまなデジタル技術を活用した取り組みを推進している。2024年2月6日には、5町での住民サービス・デジタル地域通貨・ヘルスケアなどと連携する「美村パスポートアプリ」がスタートした。同日に行われた記者説明会では、各自治体やアプリ事業の代表者が意気込みを語った。

前列左から度会町長 中村忠彦氏、大台町長 大森正信氏、多気町長 久保行央氏、明和町長 世古口てつや氏(故)、紀北町長 尾上壽一氏、後列左から司会の中田裕里氏、Fukui coffee 店長 福井良隆氏、三十三銀行 常務執行役員 熱田渉氏、大日本印刷モビリティ事業部新事業開発部長 椎名隆之氏、MRT 代表取締役社長 小川 智也氏、ヴィソン多気 代表取締役 立花哲也氏(2024年2月6日の記者説明会時点)

「Vison」を中心に広域観光周遊に取り組む
デジタル地域通貨「美村PAY」を構築

美村プロジェクトは、多気町・大台町・明和町・度会町・紀北町において、デジタル田園都市国家構想交付金を活用し、産学官民が連携して行う事業だ。広域5町では、共通のデジタルシステムを活用した地域づくりを進めている。年間約350万人が訪れる複合リゾート施設「Vison(ヴィソン)」を核に、近隣五町への広域観光周遊に取り組んでおり、その手段として住民向けの地域共通ポータルサイト「美村」、観光客向けの広域観光ポータルサイト「美村 Travel」、デジタル地域通貨「美村PAY」を構築した。美村PAYは2024年1月末現在、152店舗で利用でき、3,346人が支払い可能だ。

美村PAYのデモンストレーションを行う椎名氏

今年度はこれらのデジタルサービスを1つにつなげ、地域の魅力を住民や観光客に体験してもらう「美村パスポートアプリ」を開始する。

決済の都度ポイントが貯まり、利用可能
健康増進アプリ「美村ヘルスケア」開始

美村パスポートアプリは、美村PAYと連携し、決済するたびにポイントが貯まり、加盟店でポイントを使用できる。また、マイナンバーカードの認証機能の活用により、住民や観光客向けの限定サービスを提供するなど、新たなDX(デジタルフォーメーション)の取り組みを推進する。

さらに、美村パスポートと連携する新たなデジタルサービスとして、健康増進アプリ「美村ヘルスケア」も開始する。美村ヘルスケアは、美村地域で活動する人々の健康増進を目的とし、楽しく・お得に健康活動に取り組むことができるという。特徴として、健康に対して気になったことを医療のプロに相談したり、健康イベントに参加してポイントを獲得したり、スマホのカメラで健康状態を確認可能だ。さらに、美村PAYのリニューアルとして、クレジットカードからチャージ機能を追加した。これにより利用者は店舗に行くことなくチャージでき、さらに利便性が高まった。

また。美村Travelはアンバサダーにより地域の魅力を発信しやすいポータルにリニューアルする。美村パスポートを通じて、マイナンバーカードを活用した観光周遊促進を起点とし地域の人々と多面的な地域活性化などにつなげていきたいとした。

美村プロジェクトは、デジタル田園都市国家構想交付金のTYPE3に採択されたが、大きな一歩になったという。多気町長の久保行央氏は、「美村PAYはお金のチャージが難しかったですが、クレジットカードからチャージできるようになりました。一歩一歩続けていくことができています。5町が連携をして地域の皆様が健康で、関係人口の拡大につなげていきたい」と意気込みを見せた。大台町長 大森正信氏は「(美村パスポートアプリに)多くの方に入会していただくようお願いします」と語った。明和町長 世古口てつや氏(故、当時)は、「美村PAYの加盟店が少ないのでもっともっと加盟店を増やして、地域経済の活性化につなげていきたいです。5町の地域経済の活性化、観光の振興、関係人口の増加につなげていきます」と話す。

度会町長 中村忠彦氏は「この取り組みで共に全体の魅力を発信して発展を遂げていくことを期待しています。まだ種をまいたところなのでしっかりと育てていきたい」とした。

紀北町長の尾上壽一氏は「一昨年、健康寿命アワードで優秀賞をいただきました。これまでは紙ベースで申請したり、データをチェックして、役場に提出して懸賞が当たるシステムでした。アプリはそういったものが省かれてスマホ一本で申請ができますので、高齢者が中心でしたが若い世代に使っていただき、しっかりと健康づくりの街にしていきたい」と述べた。

なお、一般社団法人三重広域DXプラットフォームは、「デジタル田園都市国家構想・三重広域連携モデル事業」の運営を担う法人として2022年8月に、三十三銀行、ヴィソン多気、大日本印刷(DNP)、MRT、オリエンタルコンサルタンツによって設立された。決済系の事業であれば三十三銀行、ヘルスケア事業ならMRTというように、各社の得意とする分野で事業を推進している。

マイナンバー連携で住民、観光客へサービス提供
デジタル商品券の機能もリリース

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