2024年4月16日8:00
ANAマイレージクラブの企画・運営、新規事業開発などを通してANA経済圏の拡大を目指す、ANAグループのプラットフォーム事業会社ANA Xは、すべての移動でポイント・マイルが貯められるモバイルアプリサービス「ANA Pocket」を使って、顧客サービスの充実を図る新たなマーケティング戦略の構想を明らかにした。航空サービスを活用した空の移動データに加え、地上の細かい移動データを収集することで、新しいビジネスモデルの創出を目指している。
徒歩、自転車、自動車、電車、飛行機など
移動によりポイントが貯まるアプリ
「ANA Pocket」は、徒歩、自転車、自動車、電車、飛行機などの移動によりポイントが貯まるモバイルアプリサービスだ。家から駅へ歩いて行き、電車で移動して職場へ出向いたり、昼休みにランチを食べて、近所の公園を散歩したり、仕事帰りに買い物をしてから帰宅するなど、そんな日常の何気ない行動を続けることによって、ポイントが貯まる仕組みだ。
スマートフォンにこのアプリをダウンロードして始めるだけで、移動手段や距離に応じてポイントが貯まっていく仕組みだ。貯まったポイントで、コンビニやカフェなどで使えるクーポンへの特典交換や、「ANAのマイル」が当たる「ガチャ」にもチャレンジできる。日常生活を送っているだけなのに、ポイントが貯まっていくという驚きと、そのポイントで買い物や旅行ができるというワクワク感を提供するのが狙いだ。
ANA Pocketには、日々の移動でポイントがもらえることに加えて、さまざまな「移動チャレンジ」が設定されている。自分のペースやライフスタイルなどにあわせて気軽に参加できるのも大きな魅力だ。アプリの移動チャレンジ画面では進捗状況を確認でき、目標を達成すれば報酬としてポイントももらえる。ANA Xの担当者は「ANAグループが新しい経済圏を構築する中で、日常を含めたお客様との接点を生み出すツールとして、2年前にANA Pocketが誕生しました」と話す。
ANA Pocket Proなど3つのプラン
有料・無料会員合わせて130万人超
ANA Pocketは有料と無料の会員の設定がある。ANA Pocket Lite(エイエヌエー ポケット ライト)は、会費無料。アプリをダウンロードするだけで、気軽に始められるプランで、デジタルギフト券などが当たるガチャに挑戦できる。ANA Pocket(エイエヌエー ポケット)は、ANAマイレージクラブ会員の無料プラン。航空券や旅行商品の支払いに使える最低1マイルの「ANAのマイル」が当たるガチャにも挑戦できる。
そして、ANA Pocket Pro(エイエヌエー ポケット プロ)は会費が月額550円(税込)で、最低7マイルのANAのマイルが当たるガチャに挑戦できる。ANA Pocketで貯めたマイルを使って、特典航空券の予約・移動ができる。
2023年12月20日でサービス開始2周年を迎え、それまでのユーザーの移動情報の集計を行った。その結果、約2年間で、会員の総移動距離は13億9,615万キロメートルで、地球を約3万4,904周分と、大きな数字を記録した。担当者は「会員は2年で100万人を突破し、キャンペーン効果もあってその2カ月後には130万人を突破しました。この移動データは生活者の行動を読み解く貴重なビッグデータとなるほか、各種マーケティングなどへの活用も計画しております」と構想を述べる。
このデータを用いて、個人を特定することはなく、予め同意を得たユーザーのスマートフォンから送信された位置情報データのみ、収集・利用する。
130万ユーザーのビッグデータ活用
ANA経済圏のハブ機能を目指す
ANAの経済圏には、ANAグループが運営するインターネットショッピングモールのANA Mallがある。 ANAグループならではのグッズから、日用品や食品、ファッションまで、たくさんの商品を取り揃える。また、スマートフォン決済サービスのANA Payは、さまざまな方法でチャージして、ANA Payを通してiDやVisaのタッチ決済で決済できる。また、地産品の販路拡大や地域活性化に向けて、ライブ視聴をしながら、日本全国の名産品をリアルタイムで購入できるライブコマースサービス「ANA LIVE SHOPPING」も展開している。
ANA Pocketも、ANA経済圏の一角を占める存在として、トップページには広告機能があり、顧客企業に対し、広告サービスなどを提供している。担当者は「歩くとポイントが貯まる健康アプリが登場していますが、ANA Pocketの特徴は、マイルが貯まり、ANA経済圏で使っていただくワクワク感を提供できることです。ANA PocketはANA経済圏のさまざまなサービスのハブの役割を担っていると考えています」と話す。
航空サービスだけでは、取得することができなかった陸上移動のデータが蓄積されたことで、空と陸の移動データを活用した未来型のコンテンツ・サービスの実現も見据えている。担当者は「旅行前から旅の後まで、気象状況や旅の情報などを盛り込んだ独自のコンテンツの開発や、ANA Payの決済データなど、あらゆる角度からデータを取り込み経済圏事業に活かせるのではないかと考えています」と話す。
なお、環境省による、環境にやさしい行動に対し、企業・自治体などが「ポイント」を発行する取り組みを支援する「食とくらしの『グリーンライフ・ポイント』推進事業」に採択され、けいはんなサステナブルスマートシティ事業へスマートライフサービスを提供開始するなど、エコのプロジェクトやヘルスケアのプロジェクトも開始している。
ANAグループとしては、移動情報・行動情報を使ったプッシュ型マーケティング施策の提案などのビジネスの展開を検討している。「2024年2月中旬にアプリをリニューアルし、誕生日等の登録データの情報の取得を進める工夫を施したので、マーケティングの精度は上がると期待しています」(担当者)。また、他のデータを持っているパートナー企業とも連携し、さらに広告効果を上げるような取り組みも進めているという。