DNP、次世代カードの開発や多様な環境配慮型カードでカード発行会社を支援へ

2022年9月20日8:30

大日本印刷(DNP)では、ICカードの主要ベンダーとして、さまざまな用途に合わせた製品を提供してきた。中でもクレジットカード会社など、金融向けのセキュアなICカードに強みを持つ。同社では、接触・非接触対応のデュアルインターフェースカード、指紋認証カード、さまざまな素材の環境配慮型カードなどのラインナップを拡充させ、金融機関やクレジットカード会社のカード発行を支援している。

DNP 情報コミュニケーション製造統括本部 技術ユニット スマートカード企画開発部 第2グループ リーダー 橋本崇彦氏(左)と同部 第1グループ リーダー 石川勝章氏(右)

記事のポイント!
①製造の半数以上はすでにデュアルインターフェース
②コロナ禍や半導体不足の状況
③TypeA/BとFeliCaの両対応は継続したニーズ
④メタルカードの引き合いも増加
⑤FeliCa対応の生体認証カードを開発、将来的な広がりを見据える

⑥環境配慮型カードの開発に注力
⑦「リサイクルPVC」はエポスカードやイオン銀行が採用
⑧リサイクルプラスチック材を使用したICカードを開発
⑨植物由来の原料を使用したバイオマスカード
⑩環境配慮型カードのコストは?
⑪新たな環境配慮型カードの製品化に取り組む
⑫カード媒体とモバイルの両輪で成長
⑬2023年のクレジットカード発行の見込みは?

デュアルインターフェースカードが増加
近年は半導体枯渇等の影響も

クレジットカード会社が発行するクレジットカードでは、数年前からVisa等の国際ブランドで接触・非接触対応のデュアルインターフェース搭載を求める動きが出てきている。DNP 情報コミュニケーション製造統括本部 技術ユニット スマートカード企画開発部 第2グループ リーダー 橋本崇彦氏は「DNPが製造するICカードの半数以上はすでにデュアルインターフェースとなっています」と話す。また、Visaの「Visaクイックリード」をはじめ、クレジットカード番号や有効期限を裏面に表示するニーズも増えてきた。さらに、最近ではカード番号を一切記載しない、完全ナンバーレスのクレジットカードも登場している。加えて、JCBが「JCB ORIGINAL SERIES」で展開しているような、カラー基材を使用したカードニーズも黒色を中心に高まっているそうだ。

クレジットカード会社の動きをみると、キャッシュレス化でクレジットカード需要が伸長している反面、コロナ禍で会員募集し難い環境にあり、デザインのリニューアルや新規カード発行等で従来とは異なる会員獲得を目指している。また、カード製造についても半導体不足の影響もあり、クレジットカード会社の発行計画に合わせ、必要なカードから優先して製造しているという。橋本氏は「半導体市場全体から見るとICカード向け数量は非常に少ないと言われておりますが、価格アップと納期の長期化のため調達がしづらくなっているのは事実です」と述べる。また、カード材料の費用も円安などの影響で高まっており、カード製造を行う上で課題となっている。

デュアルインターフェースカードでは、ソニーが開発したTypeA/BとFeliCaの両対応のチップの動きも注目される。クレジットカードに、WAON、nanaco、楽天Edy、iD、QUICPayなどの電子マネーを搭載したカードは継続した引き合いがある。FeliCa対応のカードは性能検定が必要となるため、TypeA/Bのみのデュアルインターフェースに比べてややコストは高くなる。

また、金属製のメタルカードの引き合いも増えている。同社ではメタルカードの発行機を用意しており、クレジットカード会社などの要望に応えている。

生体認証カードのFeliCa対応をいち早く開発
タッチ決済の浸透でニーズは高まると見込む

DNPでは、次世代カードの開発も積極的に進めている。2021年2月には、FeliCaに対応した指紋認証による生体認証カードを世界で初めて開発した。同カードは、FeliCaカードに搭載された指紋センサーに登録した指を触れながらリーダーにかざすことで、認証や決済が可能だ。

DNPの強みは、指紋認証の付いたアプリケーションをソフトウェアの部分から開発している点だという。同部 第1グループ リーダー 石川勝章氏は「生体認証カードのニーズがあることは確認できていますが、課題を改善している段階です」と説明する。また、部品点数が多いとコストが高くなるため、チップベンダーがモジュール化することでより安価になると期待する。今後は、タッチ決済がさらに普及することで、1万円以上の高額決済での非接触ニーズが高まると見ている。将来的には、PIN入力が不要で決済が可能な指紋認証カードは求められると考えており、国内でいち早くクレジットカードへの搭載を実現させたい考えだ。

多様なラインアップの環境配慮型を揃える
廃プラスチックリサイクルカード開発へ

DNPが現在、積極的に開発を進めているのは環境配慮型のカードだ。DNPでは、印刷会社としてさまざまな印刷を手掛けているが、2020年に策定した「DNPグループ環境ビジョン2050」では、持続可能な社会の実現に向けて、P&Iイノベーションによる新たな価値の創出により「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」を目指すとしている。グループとして環境に対するビジョンを掲げる中、ICカードはリサイクルが難しいため、環境に配慮した資材を使うことでSDGsへの貢献を目指す。

2021年4月には、塩ビ材料メーカーで発生する不良品や端材を回収してリサイクル可能な「リサイクルPVC(ポリ塩化ビニル)カード」を発表し、すでにエポスカードやイオン銀行が採用している。一方で、カード発行時にカード番号等を印字するレーザー加工適性に課題が残っていた。

これを解消するため、2022年4月から提供を開始した「リサイクルPCT-G(ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート)」は、高い耐衝撃強度を持つプラスチック(グリコール変性ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート)であり、このPCT-Gの加工段階で排出される端材等をリサイクル加工して、ICカードに使用可能だ。レーザー加工が可能になることに加え、インクリボンを使用しないため、ICカード発行時の廃棄物やCO2排出量を削減できるメリットがある。

リサイクルPCT-G(左)とバイオマスカード(右)

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