2024年5月29日8:20
楽天グループ(楽天)は、国内でもいち早くグループ内外の経済圏やポイントの循環を掲げてきた企業だ。楽天は他に類を見ない独自の楽天エコシステム(経済圏)を確立してきたが、「楽天ポイント」はグループ内外で数多く循環しており、同社の成長を支えてきたことは間違いない。楽天ペイメントにこれまでの「楽天ポイント」の成果、サービスの強みや差別化、今後の展開などについて説明してもらった。
池谷貴
最も支持されるポイント経済圏に成長?
貯まりやすく使いやすい、失効率は約2%未満
――貴社は「Rポイント」で共通ポイント事業に進出し、その後「楽天ポイント」に改名してサービスを展開しているが、これまでの成果について聞きたい。
楽天ペイメント:楽天グループは、2002年11月から常設のプログラムとして「楽天スーパーポイント」を本格導入しました。2014年10月に「Rポイントカード」として共通ポイント化、2020年3月に同「楽天スーパーポイント」の名称を「楽天ポイント」に改名をしております。楽天グループは現在、70を超えるサービスを展開し、国内において1億以上の利用者様に利用いただいております。
楽天グループのエコシステムの軸となる「楽天ポイント」は、2023年7月下旬~8月上旬に実施の「J.D.パワー2023年共通ポイントサービス満足度調査」でも総合満足度1位の評価を獲得しています。さらに、MMD研究所が2024年1月19日~1月22日に実施した「2024年1月ポイント経済圏のサービス利用に関する調査」によると、主要経済圏の中で最も意識している経済圏は「楽天経済圏」が首位を獲得しており、多くの方にご支持いただいているポイント経済圏へと成長しています。
――2023年は約6,500億ポイントを発行しているが、他社より多くのポイントを発行できる理由について聞きたい。
楽天ペイメント:「楽天ポイント」は、グループの各サービスでの利用をはじめ、街の加盟店様など多くの場所・サービスで使えるため、貯まりやすいだけでなく使いやすいという点が魅力です。実際に「楽天ポイント」の失効率は約2%未満(2022年の総失効ポイント数÷2022年の総発行ポイント数)と、発行したポイントの多くを失効することなくご利用いただいています。
さらに、楽天グループのサービスや街中の加盟店様において「貯める」「使う」に加えて、最近は「楽天ポイント」を “運用する” サービスも多く展開しており、新たなポイント活用の選択肢を提供しております。また、グループ内での各キャンペーン施策の継続実施が挙げられます。楽天グループでは「楽天市場」での大型セール企画である「お買い物マラソン」や「楽天スーパーSALE」、楽天グループサービスを使えば使うほど「楽天市場」内でのお買い物のポイント倍率がアップする「SPU(スーパーポイントアッププログラム)」など、各サービスでのキャンペーン施策を通じて利用者様へのポイント進呈を継続的に行っています。
サービス例
・「楽天ポイント運用by PointClub」2018年10月~
投資の疑似体験ができるサービス。証券口座を開くことなく、ポイントのまま運用することができるので、運用に初めてトライされる方、ビギナーの方にもおすすめです。
・「ポイントビットコインby楽天PointClub」2021年3月~
暗号資産(仮想通貨)の一つであるビットコインの取引体験ができるサービス。
・「楽天ポイント利息」2021年10月~
所定の利率(年0.108%(月0.009%))に応じて「楽天ポイント」を増やせるサービス。
加盟店は拡大が続く?
提示率が9割を超える加盟店も
――楽天ポイントが貯まる加盟店数について教えてほしい。ポイント加盟店はある程度広がったが、今後も拡大の見込みはあるか?
楽天ペイメント:加盟店様の数はおかげさまで年々増加しております。具体的な数値に関しては、非開示としておりますが、昨年はイエローハット様、日本ケンタッキー・フライド・チキン様など、今年度は、スーパーアルプス様、丸喜様、HOYA様、など数多くの加盟店様にご導入いただき今後もますます拡大していく予定です。すでにリリースしておりますが、「ドラッグセイムス」や「アメリカンドラッグ」を運営する富士薬品様をはじめとした加盟店様でも新規で利用可能となる予定です。
例えば、スーパーなどの小売企業では「楽天ポイントカード」の提示率が90パーセントを超える加盟店様もおり、多くの方に高頻度でご利用いただいております。
――加盟店の原資負担のビジネスモデルについて聞きたい。また、貴社が提供する「楽天ペイターミナル」での楽天ポイントの利用状況はどうなっているか?
楽天ペイメント:「楽天ポイントカード」で進呈している「楽天ポイント」の原資は加盟店様にご負担いただいております。また、「楽天ペイターミナル」に関してもおかげさまで多くの加盟店様にお申し込みいただき、好評をいただいております。
楽天カードとの連携強化、独自のエコシステムの強み
「楽天ペイ」アプリをフィンテックの入り口に
――例えば、三井住友カードや三菱UFJニコスはクレジット利用でポイントアップを強化しているが、楽天カードと連携してそういったことを強化する可能性はあるか?
楽天ペイメント:具体的なことは申し上げられませんが、「楽天ペイ」としては、昨年と今年3月に「楽天カードもしくは楽天キャッシュでのコード払いで最大20%還元!」キャンペーンなどを実施しており、今後も「楽天カード」との連携は引き続き強化して参ります。
――ポイントサービスでは「Vポイント」と「Tポイント」の統合による新生Vポイントなど共通ポイントを巡る動きが変化している。
楽天ペイメント:他社様に関して弊社からの回答は控えさせていただきますが、楽天グループはECや旅行、金融、通信、スポーツなどをはじめ70以上のサービスと独自の「楽天エコシステム(経済圏)」を形成しています。「楽天ポイント」は、楽天グループの各種サービスや街のコンビニエンスストアやドラッグストア、飲食店など600万箇所(2022年10月時点での「楽天ペイ」「楽天Edy」「楽天ポイントカード」の利用可能箇所数合計)の提携加盟店様で利用可能です。
また、「楽天ペイ」アプリを通じて「Suica」を利用でき、交通系ICカード150万店舗(2022年10月時点)でも利用いただけます。さらに、提携企業が発行する約50種類のポイントやマイルとの交換や、「楽天ポイント」を “運用する” サービスなど、活用機会がさらに広がっています。
また、楽天グループには「楽天市場」においてSPU(スーパーポイントアッププログラム)という独自のポイントプログラムがあり、対象サービスをご利用いただくと、「楽天市場」内でのお買い物の倍率がアップするなど、楽天グループのサービスでまとめていただくとポイントが貯まりやすくなることも利用者様にご支持いただいている点かと思います。
特に現在、「楽天モバイル」利用者様は「楽天市場」での買い物のポイント還元が「毎日全員5倍」になるなど、「楽天モバイル」利用者様への特典を高めておりますので、よりお得感をご実感いただけるかと思います。楽天グループは今後も、利用者様へよりお得で楽しい消費体験ができる環境の提供を目指し、「楽天ポイント」や「楽天エコシステム」を通じた新たな価値提供に努めてまいります。
また、引き続き、加盟店様には質の高いサービスを提供すべく、サービスの改善を行っていきます。
――最後に今後の目標についてはいかがか?
楽天ペイメント:おかげさまで2023年12月より営業黒字化に転換しました。引き続きオープン化戦略でより進化させていきたいと考えております。チャージソースが広がり、だれでも1.5%還元を受けることができ、「楽天ポイントカード」アプリ・「楽天Edy」アプリを「楽天ペイ」アプリに統合することで、ひとつのアプリで以前よりも簡単にポイントを貯め、お支払いをしていただけるようになります。
今後は「楽天カード」をはじめ、「楽天証券」や「楽天銀行」といった金融系サービスと「楽天ペイ」アプリとの連携を強化し、「楽天ペイ」アプリを楽天フィンテックサービスの入口として拡大することで、利用者様の満足度の向上を図っていくのと共に、「楽天エコシステム」にも貢献していければと思っています。