2019年6月6日8:00
2020年春、「楽天ペイ」アプリで赤の「Suica」が登場へ
楽天グループの楽天ペイメントとJR東日本は、2019年6月5日に記者説明会を開催し、楽天ペイメントのスマホアプリ「楽天ペイ」アプリ内で、JR東日本が提供する交通系ICカード「Suica」の発行やチャージができるようになると発表した。
JR東日本にとって楽天はネットサービスをリードするベストパートナー
JR東日本のSuicaは、2001年に交通系ICカードとしてスタートし、2004年に電子マネーサービスを開始した。2013年には交通系ICカードの全国相互利用が実現したことにより、さらにサービスのすそのを広げている。現在は、全国の鉄道約5,000駅、バス約5万台のほか、電子マネーとして約60万店舗での支払いに利用できる。
モバイルでの展開として、2006年には世界で初となる本格的なモバイルIC乗車券「モバイルSuica」を開始。利用者は駅に行かなくても、自身のデバイス上で発行やチャージ、チケット購入が可能となっている。さらに、Appleの「Apple Pay」やGoogleの「Google Pay」と密接に関係することで、利便性をさらに向上させている。JR東日本 常務執行役員 IT・Suica事業本部長 野口忍氏は、「今後は移動にかかわる領域をコアにサービスを広げていきたいです」とした。Suicaはリアルでの利用に強みを持つが、圧倒的な会員数と国内最大級のマーケットプレイスを保有する楽天はネットサービスをリードするベストパートナーであるとした。楽天との提携により、JR東日本では、さらにSuicaの利用頻度を高め、便利に利用してもらえると期待している。
「楽天ペイ」に社会インフラともいえる強力なサービスが加わる
一方、楽天は、Eコマース、クレジットカード、アプリ決済、オンラインバンク、電子マネー、ポイントプログラム、トラベル、MVNO、ゴルフなどのサービスを展開。金融・決済サービスに強みを持っている。たとえば、支払いの原資を拡充したり、アプリでは多くの会員に向けたサービスを展開。また、認証法も多様なプロトコルに対応している。
楽天では、飲食・物販、コミュニケーション・エンターテイメント、毎日の生活シーンを幅広くサポートしているが、今回のJR東日本との連携で新たに“移動”が加わることになる。楽天ペイメント 代表取締役社長 兼 楽天 常務執行役員 中村晃一氏は、「楽天ペイとしては初めて本格的な連携をする運びとなりました。社会インフラともいえる強力なサービスが加わることになります」と成果を述べる。これにより「楽天Pay」は、より多くの人々の、より豊かな毎日を作り出す多機能アプリに進化することになる。
両社の連携により、2020年春から、「おサイフケータイ」に対応したAndroid端末の「楽天ペイ」アプリで「Suica」が発行可能となる。また、「楽天ペイ」アプリに登録した「楽天カード」から、「楽天ペイ」アプリ内で発行した「Suica」にクレジットカード決済によるチャージが可能だ。これにより、「楽天ペイ」アプリだけで鉄道・バスなどの交通機関や、交通系電子マネー加盟店における支払いができる。それに加え、また、「楽天ペイ(アプリ決済)」の利用者は、アプリ内での「Suica」のチャージで、「楽天スーパーポイント」が貯められるようになる予定だ。
チャージ可能なクレジットカードは「楽天カード」(Visa/Mastercard/JCB)が対象。また、定期券、Suicaグリーン券の購入等は、「モバイルSuica」アプリの利用が必要だ。さらに、注目されるiOSへの対応については今後検討していく。
楽天の「楽天Edy」との関係、SuicaのQR/バーコード決済対応についての見解は?
なお、楽天ペイメントでは、電子マネーの「楽天Edy」を展開しているが、オープンなキャッシュレス化を推進しており、決済のすそ野を広げる意味で同じ電子マネーである「Suica」に対応したという。また、「楽天ペイ」ではQR/バーコード決済を推進しているが、今後のSuicaでの対応の可能性を野口氏に尋ねると、「Suicaの代わりとして交通利用にはなりません」とした。対応に向けては、入出場のデータや運賃計算のすべてを変えないといけないこと、また改札機の前でスマホアプリを立ち上げるのは、安全上難しいと捉えており、「交通系はSuicaベースのNFC認証だろうと思います」と野口氏は見解を述べた。ただ、広い意味では、スマートフォンは認証手段であり、QRをどう組み込んでいくかは研究していきたいとした。