2024年6月18日7:05
パナソニック コネクトは国内の顔認証技術を代表する企業の１つだ。同社の技術はNIST（米国国立標準技術研究所）の顔認証ベンチマークテスト(NIST FRVT 1:1)において、世界 1 位の評価を獲得するなど、高い技術とセキュリティを売りとしている。すでに顔認証技術は決済や乗車サービスでも活用されており、さらなる広がりが期待される。同社の顔認証サービスの概要やこれまでの実績、決済分野での展開などについて、説明してもらった。
池谷貴
NISTの評価で世界最高水準に
顔認証付きカードリーダーは約12万台の実績
パナソニック コネクトの顔認証ソリューションは、読売巨人軍、読売新聞東京本社、東京ドームの3社に、東京ドームでの一般来場者を対象とした入場・決済サービスに採用されるなど顔認証決済でも注目が高まっている。
直近では、デイサービス事業所№１のツクイとICTを活用した次世代デイサービス実現に向けて共創を開始した。また、ウォークスルー型の顔認証改札機が財務省と出入国在留管理庁が実施する羽田空港におけるスムーズな入国審査・税関申告を目指す実証実験に採用され、運用を開始している。さらに、中部国際空港島と周辺地域の周遊性向上に向けて顔認証システムを活用した実証実験も実施した。
同社の顔認証ソリューションは、キャッシュレスに加え、なりすまし防止、点呼・勤怠管理、入退場管理、セキュリティ対策、チケットレス、感染症対策など、さまざまな分野で実績があるという。
――貴社の顔認証のこれまでの実績についてはいかがか？
パナソニック コネクト（以下、パナソニック）：弊社の顔認証は、NISTの顔認証ベンチマークテストにおいて、世界最高水準（※）の評価を獲得しました。
※ 2022 年 11 月 6 日に公開された NIST FRTE 1:1 評価結果において、Mugshot（人種・経年変化を含む正面顔データ。他人受入率 10 万分の 1）で世界 1 位を獲得。さらに、2024 年 3 月 26 日に公開された NIST FRTE 1:N 評価結果（検索精度）において、Mugshot（経年変化を含む正面顔データ。160 万名登録）、Border（顔の向き変化や画質劣化を含む顔データ。160 万名登録）の2つの評価カテゴリで世界 1 位を獲得。
現在、顔認証付きカードリーダー（医療機関・薬局向け オンライン資格確認端末）は、累計で 11 万 9,000台（2024 年 3 月現在）を納入させていただいております。顔認証SDKは、PCログオンの多要素認証で実績のある、ソリトン様の「SmartOn」「OneGate」、両備システムズ様の「 ARCACLAVIS Ways」、ディー・ディー・エス様の 「EVEMA」「Themis 」に採用いただいております。
――長らくビジネスを展開されてきたが、市場への浸透には時間がかかる部分もある。現在の成果についてはどう捉えているか？
パナソニック：顔認証の社会実装は着実に進んでおりお役立ちの手ごたえを感じるとともに、さらなる社会課題やお客様の経営課題にむけて、顔認証だけでなく弊社の強みを掛け合わせた価値提供を検討しております。
――競合製品に比べた優位性について聞きたい。
パナソニック：優位性としては、世界最高水準の顔認証精度、家電のDNAを受け継いだ誰もが使いやすいデザインとユーザビリティ、SaaS サービスからエッジデバイスまでの幅広いラインアップ、パートナー様との共創を加速するパートナープログラムなどになります。
――貴社以外も含め、顔認証はこれまで、初期登録の手間などが課題だったが、解決されてきているか？
パナソニック：一般的に、静脈認証などの他の生体認証では、登録時に専用端末などが必要で、端末の購入や、設置された場所で登録作業を行う必要がありますが、顔認証は、顔画像を使用できます。写真を撮ってメールなどで送付して運用できるため、簡単かつ迅速な登録が可能です。
