2024年6月28日8:08
Jammは、2024年6月27日に記者説明会を開催し、A2A決済ブランド決済サービス「デジタル現金払い!Jamm」をリリースした。同サービスは銀行口座直結の決済を売りとしており、2025年末まで1.8%の決済手数料を設定(その後は2.5%)。認証方法としてFIDOアライアンスの推奨する「パスキー(Passkeys)」の採用やトークン型決済によるセキュアな支払いも強みとなる。利用者は、ECサイトの支払いページにて「デジタル現金払い!Jamm」を選択すればワンクリックで決済が可能だ。
A2A決済で回収コストなどを削減
国内キャッシュレスを加速させる方法に?
Jammは、VC支援者 DCM Ventures、 ANRI、Angel Bridge、エンジェル支援者 新井悠介氏などを引受先としたJ-KISS型新株予約権により1.55億円の資金調達を実施している。今回の記者説明会は六本木ヒルズ森タワー(東京都港区)の「Cirle By ANRI」で開催。同サービスでは、2019年までGMOイプシロンの元代表取締役を務め、現在はJammの顧問を務める新井氏が日本の決済の現状、新サービス「デジタル現金払い!Jamm」への期待を語った。
米国でのクレジットカードとデビットカードの発行をみると、2000年代後半からデビットが伸び、発行枚数ではクレジットカードの倍となっている。米国では2008年のリーマンショックを機に個人の与信が大幅に引き下げられた。過剰な支出による国民の生活を担保するために過剰な消費を防ぐ目的で、2009年に約11%、米国の消費者のクレジットカードの上限が引き下げられている。現状、日本で同様の影響があるかというと、「いまだにありません」と新井氏は話す。日本のキャッシュレス比率のうちデビットは3%ほどだ。クレジットカードは倍に伸び、コード決済も存在感を高めているが、デビットカードは微増にとどまる。
クレジットカード決済のビジネスにおける主要コストをみると、①立替払い・回収コスト、②未払いコスト、③不正対応コスト、④ネットワークコスト、⑤ブランド費用に分類される。新井氏は「デビットカードの発行枚数が逆転すると、①と②がかかりません」と話す。デビットカードは銀行直結の決済のため、立替払いがなく、同時に債権回収のコストがほぼなくなるそうだ。新井氏は、カード会社の視点では、デビットカードがさらに普及してほしいと考えているとした。例えば、同様のネットワークを活用していれば、クレジットカードよりもデビットカードを使用していれば収益が高まるという。
また、デビットが普及しないため、日本での決済コストは高止まりしたままになっているとした。新井氏は「海外のカード会社はデビットカードの普及が高く、銀行直結決済の比率が高いのでコストかかりません。だから手数料を安くできます。日本の場合、クレジットカードの発行枚数の方が多いがゆえに、普及がとどまり、加盟店手数料は一定のままになっている構造です」と分析する。実際、Square(Block)の決済手数料は、米国の対面決済で2.6%、日本で3.25%と、日米で0.65%違う。日本で米国のデビットカードに代わるものとして、「Jammのビジネスモデルに未来を感じました」と新井氏は述べる。
新井氏は低決済コストのデビットを普及させるインセンティブは現在の決済業界にはないため、日本の決済手数料は大きく下がらないとした。日本のイシュア(カード発行会社)からすると、貸付を行うクレジットカードは収益が高まるので、デビット普及のインセンティブがないそうだ。現状、カード会社の収益の3.5%のうち、1.4%が分割・リボルビング払い・キャッシング手数料だという。
「デジタル現金払い!Jamm」では、A2A決済として、銀行直結型の決済が可能だ。新井氏は「デビットカードで、米国で普及しているような、立替払コストや未払いコストを圧縮することによって、お店やサービス提供者がクレジットカードのような3%みたいな手数料を負担しないで、もっと安い手数料でキャッシュレスを実現できます」と話す。またBNPL(後払い)は、カードを持てない若年層には普及しているが、同時に支払い能力以上の支出を増やすことで、結果米国では最終消費を引き下げたという。「支払い能力以上のサービスを提供することは一定のリスクが伴います」(新井氏)。A2A決済はオーストラリアなどでは広がっており、日本がキャッシュレスをさらに普及させるにあたって、健全なサービスになると新井氏は期待する。A2A決済は将来的に「PayPayと並ぶ(決済手段になる)と思っています」と新井氏は語った。また、決済代行サービスなどと連携して提案することで、加盟店負担が少なくなるサービスとして共存できるとした。
「Bank Pay」連携で305行で直結型決済
サービスの強みや今後の展開は?
続いて、Jammの詳細について、代表取締役CEO 橋爪 捷氏が紹介した。Jammは、橋爪氏と5名の多国籍メンバーで活動し、来年末には約50名まで採用を増やす予定だ。
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