2024年8月30日8:00
クレディセゾンは、高単価・高稼働の顧客シェアを拡大し、収益性を向上させるプレミアム戦略に力を入れている。一般カードから「SAISON GOLD Premium(セゾンゴールドカードプレミアム)」(年会費1万1,000円〈税込〉)などのゴールド会員、個人事業主/SME(Small Medium Enterprise)の入会・利用につなげ、さらに「セゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード」や「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード」(共に年会費2万2,000円〈税込〉)といったプラチナ会員にランクアップさせるなど、ロイヤリティの向上を目指している。
池谷貴
ショッピングのプレミアム会員構成比は25%
プレミアム層の年の平均利用単価は60万円
2024年3月末時点のクレディセゾンのカード会員数は2,462万人で、ショッピングの取扱高は5兆6,800億円となる。そのうちゴールド会員以上のプレミアム層と法人会員を合わせたプレミアム会員の構成比は25%を占める。2018年度は8%だったが、現在は3倍を超える比率となった。
同社では強みである幅広いアライアンスにおいてもプレミアム戦略を進めている。ゴールドカードでは2023年3月から「JQ CARD セゾン GOLD」(年会費1万1,000円〈税込〉)の募集活動を本格化している。プラチナカードも強化しており、2024年3月にスルガ銀行と「スルガ・セゾンプラチナ・ビジネス・ アメリカン・エキスプレス・カード」(年会費2万2,000円〈税込〉)を発行し、発行枚数も着実に増加している。
プレミアム層の年の平均利用単価は60万円(月平均5万)。プレミアム層と法人会員を合わせたショッピング取扱高は約45%となった。プレミアム会員層は一般会員層の約2倍の取り扱いとなる。クレディセゾンでは「年100万円以上をご利用いただく会員数は2018年から2023年の間に約40%増加しています」と説明する。
高単価、高稼働の会員シェアを拡大
メインカード化で収益を確保へ
クレディセゾンがゴールドやプラチナの会員の獲得を強化する背景として、現在ポイント競争が激化し、また少子高齢化する中で、対面で若年層を囲い込む同社の戦略に加え、そこからビジネスモデルの転換を図る必要があった。中でも富裕層やSME領域をターゲットにすることで、高単価、高稼働の会員シェアを拡大させ、メインカード化を図ることで収益を確保する狙いだ。競争環境が変化する中、有料の年会費で取引額を大きく確保し、リボやキャッシングの利用率が高い人をメインカードとして取り込む重要性が増している。
例えば、家賃保証サービスで若年層、新規会員と接点を築くための金融サービスを提供し、「セゾンゴールドプレミアム」などの入会促進を進めている。
「セゾンゴールドプレミアム」は比較的若年層がメインの会員層となる。一方で、同社が主軸としているゴールドカード「セゾンゴールド・アメリカン・エキスプレス・カード」(初年度年会費無料、2年目以降1万1,000円〈税込〉)はもう少し上の年代が多い。「セゾンゴールドプレミアム」は、年会費無料で招待するパターンと、利用者自身で申し込み、年間100万円以上ショッピングを利用した場合に翌年から無料となるパターンがある。同社では「年会費無料のエントランスカードからゴールドにシフトしていただいた方は、会員の中でもご利用金額が増えたり、リボの利用が多くなる傾向がみられます」と特徴を述べる。
一方で、プラチナカードの保有者は40代以上のアクティブなビジネスオーナーが多い。年会費価値相当の特典を意識しており、それに向けた適正なサービスが求められている。今後ファイナンス事業でも富裕層向けの新しいサービスを考えているそうだ。
ゴールドやプラチナ会員の傾向として、高いリボの利用率があるそうだ。2023年度末のリボ払いの残高は前年比11%伸びており、過去最大となった。また、日常のショッピング、旅行、エンターテイメントなどで積極的にカードを利用してもらっている。クレディセゾンは「数年前に比べると若年層の方々がゴールドカードに対してポジティブな傾向が見えており、会員のリボや旅行関連での利用が増えています。プラチナカード会員は、富裕層や法人の経営層が多く、さらに高額利用される傾向にあり、旅行や高級レストランの利用が目立ちます」と説明する。
他社との差別化のポイントは?
ポイント還元競争ではない戦略強化
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