ウエスタンユニオンと提携し「国際送金サービス」をスタート(大黒屋)

2011年6月15日8:00

ウエスタンユニオンと提携し「国際送金サービス」をスタート
外貨両替サービスとの親和性を生かし、市場を開拓へ

大黒屋

チケット・金券類の売買、ブランド品・古着・電化製品・携帯電話の新品・中古の売買などを行う大黒屋では2011年4月27日から、32店舗でウエスタンユニオン(Western Union)と提携した「国際送金サービス」を開始した(http://www.e-daikoku.com/moneytransfer/)。同社が送金サービス事業に参入した狙いについて話を聞いた。

990円の手数料から海外送金が可能に

口座を持たずともスピーディな送金を実現

「大黒屋では、外貨両替サービスを2004年より実施しており、数多くの方にご利用をいただいています。そのため、店頭での現金の収受や身分確認などは日頃から店頭で通常業務として行っており、送金事業との親和性も高いことから、ウエスタンユニオンと提携し、国際送金サービスを開始しました」(大黒屋 営業サポート課 課長 武捨佑介氏)

大黒屋 営業サポート課 課長 武捨佑介氏

ウエスタンユニオンは、世界最大の海外送金事業者である。同社と提携することにより、利用者は約200カ国40万カ所以上の受取拠点で、銀行口座不要で送金の受け取りができるようになる。また、送金手続き完了後、数分程度で、受取人は送金先で現金の受け取りが可能だ。

現金を送る利用者のメリットとしては、なんといっても手数料の安さである。1万円までの海外送金なら、990円で海外送金を行うことが可能だ。また1万1円から5万円で1,500円、5万1円から10万円までは3,000円の手数料で資金を送ることができ、 受取時の追加手数料は不要である。

国内には、ウエスタンユニオンと提携して送金サービスを行う企業はほかにもあるが、大黒屋が送金事業を提供するうえでの強みとしては、まず都内の主要駅の近くに店舗を構えている点が挙げられる。また、土日や祝日に営業している店舗も多く、銀行や郵便局などと比べて顧客がサービスを受けられる時間が長いことも強みとなる。さらに、「外国人旅行者などが国内の銀行の口座を開設するのは難しいですが、弊社の場合はその必要がなく、申込用紙の記入と身分証の提示で簡単にサービスが利用できることも喜ばれています」と武捨氏は説明する。

なお、日本から海外へ送金する際、店頭では日本円以外の受付はできないが、「大黒屋店頭でドルやユーロを日本円に両替したお客様がそのままウエスタンユニオンの海外送金サービスを利用できることも強みとなっています」と武捨氏は自信を見せる。

利用者の約6割が外国人

東南アジア、中国、アフリカ諸国、ロシアへの送金が多い

サービス開始後の利用者の傾向としては、平均7~8万円の金額が送金されており、繰り返し利用するリピーターも多いという。また、送金の比率は、国内から海外が約7割、海外から国内が約3割となっている。

大黒屋秋葉原店

まだ、スタートから2カ月弱のため、本格的な展開はこれからだが、スタートしたその日から多くのユーザーが利用しているそうだ。利用者の約6割が外国人となっており、東南アジア、中国、アフリカ諸国、ロシアへの送金が多いという。

国際送金サービスに関しては、マス広告などの大々的な告知は行っていないが、「大黒屋は誰でも目にするところにお店がありますので、店舗にウエスタンユニオンの看板を設置するだけで認知してもらえます。また、外国人の方は口コミで情報が広がることが多く、認知は徐々に進んできました」と武捨氏は一定の成果を口にする。

現状、大黒屋ではウエスタンユニオン以外の送金サービスを行うことは考えておらず、海外専用のプリペイドカードについては検討段階である。

なお、送金サービスの需要については、世界中で5月が一番多いという。その理由としては、「母の日」に外国人が現金をそのまま送金サービスを利用して贈ることが多いからだ。

「将来的には収益の柱に育てたい」

全店舗での送金サービス実施も視野に

法務省 入国管理局のデータによると2009 年3 月末時点で日本に滞在している労働者が約220万人。送金規模は約4,000億円となっている。すでに外貨両替は大黒屋の収益を支える柱となっているが、「送金サービスにもそれを担うだけの可能性はある」と武捨氏は期待を込める。

「今は東日本大震災の影響もあり、外国人が国内から退去していますが、その影響が落ち着けば需要は間違いなく増えるでしょう。これまで銀行しか認められていなかった送金サービスが『資金決済に関する法律(資金決済法)の改正』により解放されたことで、送金規模も数年のうちに2009年の倍にはなると思います」(武捨氏)

同社では現在、32店舗で送金サービスを行っているが、今後は126店舗(※2011年6月現在)のすべてに広げていきたいとしている。

なお、同社ではチケットやブランド品なども取り扱っているが、例えば中国人観光客などは大黒屋でギフトカードを買ってから家電量販店などに向かう人もいるという。また、春日部には家電や生活雑貨を幅広く扱う総合リサイクル業態のショップがあるため、将来的には送金サービスと従来のサービスを連携させ、新たな顧客の獲得も視野に入れている。

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