2024年11月14日8:30
家計簿プリカ「B/43(ビーヨンサン)」を提供するスマートバンクは、シリーズBラウンド資金調達完了に際し、2024年11月12日に、資金調達の概要と、今後の事業戦略・公開予定の新サービスについて発表した。同社では、AIアシスタントがお金を使う、貯める、増やすのサイクルに伴奏することで、利用者がよりよい人生を送れる未来を創るための手助けをしていきたいとした。
池谷貴
累積調達金額は70.8億円に
お金を増やす、貯めるを提供へ
2019年設立のスマートバンクは、コンシューマー向けのFinTech(フィンテック)サービスを開発している会社でだ。資金移動業、前払い式支払手段の二つの免許を取得してビジネスを展開している。フリマアプリ「フリル」(現楽天ラクマ)を開発したFablicを起業したメンバーが中心となり、2回目の起業に挑んでいる。
これまでシード等シリーズAで累計30億円の資金調達を実施しているが、新たにシリーズBラウンドの1stクローズにおいて、SMBC-GBグロース1号投資事業有限責任組合をリード投資家として、既存株主からのフォローオンと共に、新たにセブン銀行、ゆうちょ Spiral Regional Innovation 1号投資事業有限責任組合を引受先とした第三者割当増資により29.3億円の資金調達を実施した。2024年4月に実施した複数金融機関からのデットファイナンス11.5億円と併せて、シリーズBラウンド 1stクローズの資金調達を完了した。今回の調達により、創業以来の累計調達額は70.8億円となった。
同社では「お金の悩みを解消しよりよい人生を送れる未来を創る」をビジョンに掲げている。スマートバンク 代表取締役 CEO 堀井翔太氏は「プロダクトを通して、ユーザーの長期のライフプランを実現するための資産形成をさせていただくことが重要だと考えています」と話す。
そのために、解決すべき社会課題として、貯蓄ゼロ世帯の増加を挙げた。人口でいうと約3,000万人が貯蓄ができていないという。資産運用、貯金、支出管理というステップがある中、ファーストステップでもある支出管理から解決していく必要があるとした。将来的には、お金を増やす、貯めるといった点もサービス提供していきたいそうだ。
「B/43」はペアカードが好調
ダウンロード数は3年で100万口座突破
同社は“プリペイドカード”と“家計簿アプリ”がセットになった支出管理サービス「B/43」を開発・提供している。堀江氏は「毎月の生活費をアプリにチャージし、付属のプリペイドカードで決済することで、日々の生活費をモニタリングしながら生活することができます」と説明する。チャージ式のVisaカードと、そのカードで支払うだけでリアルタイムに家計管理が可能だ。
家計管理は基本的に週次や月次で締めて振り返りをする必要がある。ブランドプリペイドはガソリンスタンドや飛行機の機内販売、高速道路料金などで利用できない課題があるが、「クレジットカードは後払いの決済のため、月次で締める点はプリペイドカードの方が優れている部分」だと堀江氏は述べる。チャージした予算内で生活費を管理することができ、リアルタイムに家計簿がつけられる点が大きな特徴だ。
なお、「B/43」アプリではクレジットカードや銀行口座連携も対応しており、プリペイドカードと合わせて一元管理可能だ。また、将来的にクレジットカードを発行する可能性も否定しなかった。モバイルペイメントのApple PayとGoogle Payに関しては現状のまま対応すると収益化が難しくなる課題があるとしながらも、ユーザーからの要望が最も多いため、早期の対応を目指したいとした。
カードは個人で家計管理ができる「B/43マイカード」、共働きの夫婦や、同棲中のカップルが共同で家計管理できる「B/43ペアカード」、親子で使える「B/43ジュニアカード」の3タイプがある。特に伸びているのはペアカードで、20代を中心に利用されている。
「B/43」の利用傾向として、半年以上継続したユーザーの継続率が98.1%と高い水準となった。生活費の管理に使ってもらうプロダクトであるため、週に1回、月に1回は使ってもらえるサービスとなっている。また使い始めてから、単価がどんどん上がっていくのも特徴だという。最初は食料品の購入などで利用されるが、水道・光熱費といった固定費の決済、サブスクリプションの支払いに利用されている。例えば、同棲をはじめたカップルがAmazonプライムやNetflixといったサブスクリプションの支払いを一本化するケースも目立つ。
リリースして3年で単月の決済取り扱い高は数十億円、「B/43」の累計ダウンロード数はサービス開始から3年で100万件を突破した。
また、新たな機能として、「B/43」アカウントにクレジットカードや銀行口座を連携できるアグリゲーション機能をリリースした。同機能により、家賃、電気代などの固定費の管理も実現できる。堀江氏は「これによって家計のPL(損益計算書)とBS(貸借対照表)といった全体の見える化も実現できます」と話す。さらに、ユーザーの要望を受け、現金手、入力レシート読み取り機能の2つをリリースしている。レシート読み取り機能は生成AI技術を活用することで、高確率でレシートの読み取りを実現した。近日中にはカードなしでも家計管理を体験できるようにアップデートする予定だという。
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