2025年1月27日8:00
フィンテック、キャッシュレスは、アーリーアダプターが飛びつく目新しいものから、すべての人々の生活、ビジネスになくてはならない当たり前のものへーー。2025年をフィンテックにとっての節目の年と位置付けるインフキュリオンは、10の注目キーワードを提示し、それぞれのポイントについて解説した。
コロナ禍を経てユーザーの決済行動が変容
フィンテックは次なるフェーズに突入
日本のキャッシュレス決済比率は2023年時点で39.3%に達し、経済産業省が2018年に掲げた「2025年までに40%」という目標は達成できる見通しだ。しかしこれはグローバルで見ると、まだまだ低い数値。最終的に目指すべき目標が80%だとすれば、ちょうど中間地点に到達したところだ。
一方、フィンテックという言葉が登場し、一般社団法人Fintech協会が発足したのが2015年。今年で10年目を迎える。インフキュリオンはこれらの市場動向を見渡して、2025年を「キャッシュレス、フィンテックが本格的なフェーズに向けて次の段階に移る節目の年」(同社 代表取締役社長CEO 丸山 弘毅氏)と位置付ける。
コロナ禍の自粛期間を経て、ユーザーの決済行動は変容した。インフキュリオンが行った2020年6月の調査によると、自粛期間にスマホやパソコンで金融サービスを「初めて利用した」あるいは「利用が増えた」ユーザーは、「銀行口座の残高や明細の確認」でそれぞれ9%、8%、「銀行口座からの振込・振替」で5%、7%、「決済アプリでプリペイド残高を送金」で7%、4%などとなっている。
同社の2024年上期調査では、過去1年間のスマホでの資金移動の経験について聞いている。これによると、ポイントチャージ(41%)、クレカチャージ(25%)、証券口座への入金(21%)といった自身の口座間の資金移動、また、コード決済(68%)、口座振込(33%)、コード決済アプリでの送金(28%)といった他者口座への移動など、多様な利用が活発に行われていることがわかる。このユーザーの行動変容こそが、フィンテックのさらなる普及拡大の土壌になるというわけだ。
フィンテックのスタートアップと
伝統的金融機関の融合が加速
インフキュリオンはフィンテック、キャッシュレスを取り巻くキーワードとして、戦略の観点から3つ、サービスの観点から5つ、業界の観点から2つの、計10を掲げている。
戦略のキーワードとして挙げられたのは、「パートナー連携の活発化」「モダンな金融ITインフラの拡大」「法人・個人への複線的アプローチ」。
2024年の「パートナー連携の活発化」の例としては、三菱UFJファイナンシャルグループとウェルスナビ、マネーフォワードと三井住友カード、みずほ銀行とGMOインターネットグループの協業などがあった。10年前には、金融機関とフィンテックは敵対するもの、フィンテックは破壊的イノベーターと見る向きもあったが、今では金融機関とフィンテック企業との融合が進んでいる。
それを技術的に支えているのが、柔軟な接続を可能にする「モダンな金融ITインフラの拡大」だ。ここでも協業の事例が続々と出現している。
「法人・個人への複線的アプローチ」の典型例は、デジタル給与。給与を支払う法人の後ろにいる個人、あるいは、決済サービスを利用している個人が属している企業といったように、企業と個人は分かちがたくつながっており、金融機関やフィンテック企業にとっては、個人と法人、両方の顧客を同時に獲得するアプローチが可能になっている。
利便性で拮抗するクレカとコード決済
どちらに軍配が上がるかは今のところ未知数
サービスの観点から挙げられたキーワードは、「支払DX」「タッチ決済と少額クレジットカード決済」「送金型サービスの多様化と利用拡大」「与信型サービスのレベルアップ」「急成長するデジタル証券市場」の5つ。
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