2025年6月23日7:20
トランザクション・メディア・ネットワークス(TMN)は、同社が推進する「クラウド型モビリティマルチ決済システム実証事業」が、新潟市の令和7年度「デジタルイノベーション創出推進補助金」に採択されたと発表した。
運転手の負担や運営コスト低減で公共交通の持続性向上に貢献へ(TMN)
同事業では、AIカメラによる顔認識技術を活用し、ウォークスルー型顔認証決済に必要となる認識精度の向上を図ることを目的としている。車内に設置するAIカメラによって得られる乗降OD(Origin-Destination)データの利活用についても検証を実施する。乗降ODデータはウォークスルー型顔認証決済にとどまらず、分析結果を利用者ニーズの把握や運行計画の立案などに活用し、路線バスの運営における省力化・効率化の実現に寄与することを目指す。
これまでに新潟市や渋川市で合計4回の実証実験を行い、カメラの設置位置や画像処理方法、クラウド環境での情報取得方法などさまざまな課題を抽出し顔認識の精度を高める取り組みを進めてきた。
令和7年度も昨年に引き続き新潟市の補助金を活用し、これまでの実証結果をもとに顔認証AIシステムの精度向上と実用化に向けたさらなる検証を図るとともに、決済領域との統合によるより高度なモビリティサービスの実現を目指す。
具体的に、顔認識データから作成した乗降データを活用することで、運転手不足や人口減少を要因とする運営課題を抱えるバス事業者の課題解決につなげることが可能になるという。
2023年4月に道路交通法が改正され、公道でのレベル4の自動運転(無人運転)が解禁された。新しい交通インフラの登場に伴い、決済の自動化・高度化は、安全かつ利便性の高い自動運転サービスの実現に不可欠だとしている。同事業は将来的な自動運転の普及も視野にいれており、地域の公共交通の持続性向上に資する取り組みとなると考えているそうだ。
運行計画の見直しに向けたデータ活用では、乗降データをもとに、路線ごとの利用実態や混雑状況を把握。これにより、地域ニーズに即したダイヤ設定や車両配備の検討を可能にする。。
また、乗降データをもとに、クラウド上で運賃を算出し決済端末と連携。運賃収受にかかる運転手の負担や設備コストの削減を目指す。バス利用者は乗車時の操作が不要になり利便性が向上する。
さらに、乗降時の認識・認証を自動で行う「ウォークスルー決済」の実現を目指す。
なお、同事業は、Amazon Web Services(AWS)を利用し、クラウドネイティブなアーキテクチャとエッジAIを活用して推進する。