2025年11月7日8:00
JR東日本は、2025年11月6日から2025年3月31日まで、上越新幹線の長岡駅と新潟駅で顔認証改札機の実証実験を実施している(除外期間2025年12月25~2026年1月7日)。新幹線で一般の利用者を対象に顔認証改札の実証実験を行うのは、日本で初めてだという。
顔認証改札は新幹線と相性が良い?
NECとパナソニックの顔認証システム採用
JR東日本は、中長期のビジネス成長戦略「Beyond the Border」に基づき、2024年12月に発表した「Suica Renaissance」の推進の1つである、「改札はタッチするという当たり前を超える」というコンセプトを実現するため、さまざまな方式でウォークスルー改札の検討を進めている。同社は10月6日~17日まで顔認証改札のモニターを募集し、約500名が集まったという。モニター対象者は新潟駅・長岡駅の「新幹線定期券(Suica FREXまたはSuica FREXパル)を持つ中学生以上の利用者となる。
JR東日本 新幹線統括本部 新幹線電気ネットワーク部 技術計画ユニットリーダー 恩田義行氏は「顔認証改札は新幹線に優位性が高く、より早く実装できるようにさまざまな検証をしていきたい」とした。恩田氏は「新幹線の場合、多くの荷物を持ったお客様、切符を複数枚持って改札を通ることに慣れていないお客様が多いと感じています。顔認証改札が利便性が高いということで、長岡・新潟で実証実験をすることになりました」と説明する。

顔認証改札機の仕組みは、顔認証技術で高い評価を受けるNECおよびパナソニックコネクトの協力を得て、JR東日本がJR東日本メカトロニクスと共同開発した。2社を選定したのは、同社の場合、駅や改札機の数が多いため、1社独占ではなく複数社で対応しているからだという。
既存改札機、未来型改札の双方検証
顔認証の範囲は1~2メートル
顔認証改札機は、新潟駅は既存の新幹線改札機にNEC製の顔認証改札機を上からかぶせて設置した。
長岡駅はパナソニック製の顔認証改札機を新設した。複数の改札機を検証することで、それぞれのメリットやデメリットを明らかにする目的もあった。
今回の実証実験では、顔認証機能を活用して改札をウォークスルーで通過することを利用者に体験してもらい、改札機の有用性を確認する目的がある。また、将来的な実用化に向けて、音や映像で利用者へ案内する顔認証改札の運用面についても検証する。顔認証で改札を通過した人は、顔認証で出場する必要がある。

モニターは募集期間の受付内に長岡駅の「Igottier Nagaoka」に訪れ、個人情報の取扱いに同意したうえで、スタッフが新幹線定期の内容を確認し、システム入力を行った。また、顔写真の撮影を行い、利用者の登録を実施した。
長岡駅に設置のパナソニック製の端末は、通行時に映像と音響による演出を行う未来型改札機だという。一方、新潟駅に設置したNECの端末では、既設の改札機を有効的に活用しつつ、短期間でスムーズな設置が可能だ。
顔認証改札は1人のみが通過でき、利用者が入場する際は、赤のランプで出場者は通過できないように案内している。仮に誰が入場しているゲートに入ると、NGランプが点滅する。例えば、JR西日本では入場、出場の両方向から顔認証可能な改札機を設置しているが、それはできない。新幹線統括本部 新幹線企画戦略部 安全・クロスリレーションユニット 田口慶子氏は「NG後、入場可能な状態に戻ると待ち受け状態に戻ります」と話す。なお、技術的な内容に関しては社外秘だが、「既存の仕組みと全く同じわけではありません」と田口氏は述べる。
2台(入場・出場の各2台)の顔認証カメラを設置することで、立ち止まったりカメラに顔をかざしにいくことなく、自然な歩行で認証可能で、子供連れや荷物の多い人でもストレスフリーな通行を実現するという。顔認証の範囲は1~2メートルだ。

JR東日本がウォークスルー認証で目指す未来
駅拡大の際は課題も、顔認証以外の方式も検証へ
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