ドコモが実現するSingle ID Marketingとは?1億超のデータを活用して顧客体験価値を最大化へ

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2026年6月18日8:30

NTTドコモ(ドコモ)は、1億超のドコモデータを起点としたSingle ID Marketingを強化している。ドコモは、2026年6月16日に説明会を開催し、どのようにデータを活用し、マーケティングのあり方を変えていくのかについて、NTTドコモコンシューマサービスカンパニー マーケティングイノベーション部長 真柴智宏氏が説明した。

NTTドコモコンシューマサービスカンパニー マーケティングイノベーション部長 真柴智宏氏

シングルIDに膨大なデータ蓄積
趣味・嗜好・購買データを活用

ドコモは、携帯電話事業や数々のサービスを通じて、人々の生活に密着した多くのデータを預かっている数少ない企業の一社だという。この強みを活かし、マーケティングそのものを進化させていただくことがドコモの役目だと考えている。ドコモは通信に加えて、金融、決済、エンタメなどの幅広いサービスやコンテンツを提供している。これらはすべて「d ポイントクラブ」「d アカウント」に紐付いており、それは単一のシングル IDにユーザーの日常の行動が蓄積されている。

つまり、一人一人のオンライン、オフラインの行動、購買、位置情報などを時間軸として捉えることが可能だ。この生活全体を捉えたデータ基盤が、ドコモが提供する次世代のマーケティングモデルの起点となる。

ドコモのマーケティングソリューション事業拡大を支えるエコシステムの全体像として、通信、決済、エンタメなど日常に密着したさまざまなサービスを展開している。これらはすべて共通のID 基盤で管理されており、一億IDを超える膨大な d ポイントクラブ会員基盤になっている。例えば、7,490万のd払いユーザー、約7,300万の回線契約、約1,890万のdカード契約といった多様な顧客接点が存在している。そのため、日常の行動や購買、コンテンツ接触といったデータがタイムスタンプとともに管理されており、一億規模で24時間365日連続的、継続的に蓄積されている。

「ドコモはこのデータをクライアント企業のマーケティング課題の解決に活用し、その成果がさらにデータとして蓄積されていくことで、提供するマーケティング基盤の精度を日々高めています。こうしたデータの価値の循環がこのエコシステムの本質です」(真柴氏)

2027年度の収益は2,700億を目指す
ファーストパーティーデータ活用を高度化

スマートライフ事業は金融、エンターテインメント、そしてマーケティングソリューションの3本柱で成り立っており、マーケティングソリューションは重要な成長戦略の1つとして位置づけられているす。また、年々順調に収益を拡大してきている。ドコモは、2027年度に2024年度比約50%増となる2,700億円規模の収入(売上高)を目指すことを掲げている。

2022年には購買データを活用したマーケティング支援を立ち上げ、メーカー向けビジネスを中心に展開を開始した。2023年にはインテージがグループ入りし、より高度なデータドリブンマーケティングの実現に向けた取り組みを進め、リテールDXなど支援領域も広げてきた。2024年には Amazon との戦略提携をはじめ、データ活用の領域をオフラインだけではなく、さらにオンラインにも拡張した。データクリーンルームの提供も開始し、企業のファーストパーティーデータ活用をさらに高度化している。

2026年1月にはCARTA HOLDINGSがドコモグループ入りし、広告領域にてドコモデータを活用してメガプラットフォームに広告配信ができる環境へ拡大した。統合的なマーケティング基盤を強化し、Single ID Marketingの本格的な実装に向けたチャレンジを進めている。

3つの領域のデータを保有
docomo Senseは今後の行動を予測

このデータの価値の源泉として、最大のポイントは一億超の会員基盤を保有しており、すべてが単一のID、シングルID に紐付いている点にある。具体的には大きく3つの領域のデータを保有している。

1つ目が属性データだ。これは携帯電話の本人確認を通じて取得された正確な属性情報を指す。年齢、性別、居住地域といった基本的な情報に加えて、アンケートを通じた趣味嗜好やライフスタイルの情報を把握している。

2つ目がオンライン行動データだ。検索履歴やニュース閲覧、アプリの利用ログなど、オンライン上での行動を把握することができる。3つ目がオフライン行動データだ。位置情報を基にした移動や来訪施設の推定に加えて、 d 払いといった決済や購買データを通じてリアルな購買行動まで把握することが可能だ。

「これほど規模が大きくかつ正確で、オンラインとオフラインが統合されたデータベースは、日本はおろか世界的に見ても極めてユニークな存在となっています。このデータを活用する中核がドコモ独自の顧客理解拡張推計AIエンジン『docomo Sense』です。docomo Senseは単なる属性分析にとどまらず、膨大な行動データを基に一人一人の特徴や関心、さらには今後の行動を予測することができます」(真柴氏)

これにより、顧客をより深く正確に理解し、一人一人に最適なタイミング内容でコミュニケーションを行うことが可能だという。こうした特性から、企業のマーケティング最適化と非常に相性が良いという。具体例として位置情報の活用について紹介した。

ドコモは基地局データを活用し、顧客の行動を高精度に把握できる。自宅や職場、来訪施設といった生活行動を推定することが可能で、さらにこうしたデータを時系列で捉えることで生活パターンも見えてくる。例えば、平日は自宅と職場を往復している一方で、週末には特定の施設、ゴルフ場への来訪が多い場合には、ゴルフが趣味である可能性が高く、趣味嗜好の推定につなげることができる。

その人がどのような生活をしているのか、ある程度の人物像までペルソナとして推定する。このように、単なる場所の情報ではなく、生活行動や関心まで読み解ける点がドコモデータならではの特徴だ。

一方で、データ活用において最も重要なのが信頼性となる。ドコモでは全社を挙げて厳格なプライバシー保護、明示的な同意管理、ダッシュボードによる透明性確保を徹底している。企業側の管理だけではなく、パーソナルデータダッシュボードを通じて、 dポイントクラブ会員がどのようなデータがどのようなサービスに活用されているのかをいつでも確認することができる。

また、自身のデータの取り扱いに関する同意事項を確認することも可能だ。このデータを活用して欲しくないということもあれば、利用者自身の判断で個別にオプトアウトを行うことも可能だ。こうした徹底的なセキュリティの担保、そして顧客に対する透明性の確保を両立させながら、ドコモは安全にサービスを展開している。

データ基盤、分析、メディア接点が一体に
Google、Metaなどでもマーケティング展開

従来のデータマーケティングの課題として、顧客のデータが断片化、分断されており、一人一人の生活者として統合的に理解できていない点にある。生活者データに着目した時、企業は一人一人の断片化した行動、いわば点在したスナップショットデータしか捉えることができていない。例えば、EC の購買データ、アプリの利用データ、 SNSの行動などはそれぞれの接点から取得されているケースが多く、日々の行動の流れとしては捉えられていないそうだ。また、企業側の視点では、店舗データやEC データ、サポートログ、アプリデータなど、部門ごと、組織ごとに分断化され、いわゆるサイロ化した状態になっていることが多いという。その結果、顧客理解の解像度が粗くなり、精緻な意思決定やマーケティングの最適化が難しいという課題が生じている。

「顧客理解の解像度を高めるためには、まず生活者の行動をスナップショットではなく、ストーリー流れで捉えることが重要になります。求められる連続的な顧客理解を可能にしていくことがドコモデータです。ドコモデータの価値は大きく4つです。規模、正確性、種類、さらに重要な点は鮮度です」

これらのデータがすべてシングルIDに紐付くことで、一人の生活者の行動をオンライン、オフラインを横断し、一貫して理解することができる。従来の断片的なデータに基づく意思決定ではなく、一人一人に紐付くシングルIDを軸に、継続的にマーケティングを最適化していくことが可能だ。これにより提供できる価値は大きく 2つある。

1つは、顧客を一人一人の生活者として継続的に理解し続けられること。これまでのように購入時や接触時といった一時点ではなく、認知、検討、購買、リピート、ファン化といった一連の流れを通じて顧客を捉えることが可能になる。2つ目は、マーケティング全体を横断して最適化できることだ。従来はテレビ、デジタル、店舗など接点ごとに分断された施策になりがちだったが、シングルIDを活用することで、例えばコネクテッドTVやDOH、ドコモメディアに加え、外部メディアやリテールメディアといったさまざまな接点を横断し、同一の顧客に対して最適なタイミングで最適なメディアを活用し、コミュニケーションをすることが可能になる。

それぞれの接点での反応や行動をシングルIDで把握できるため、施策の効果を横断的に捉えながら継続的に改善していくことが可能だ。それがシングルIDマーケティングの提供価値となる。

Single ID Marketingの実現において欠かせないのがグループ会社との連携だ。2023年にインテージグループが加わったことで、リサーチや分析といった領域が強化され、顧客理解や戦略設計の高度化が進んだ。2026年1月にCARTAをグループに迎え、マーケティングの実行領域における体制を拡充している。

従来、ドコモは高精度なデータ基盤を持っていた一方で、コミュニケーションの接点は主にドコモメディアに限定されていた。つまり、データはあるが、活用できる接点に制約がある状況だった。これに対し、CARTAの参画によって、生活者が接触する多様なメディア、特にコネクテッド TV やメガプラットフォーマーのデジタル広告へとシームレスに接続することが可能になった。データ基盤、分析、メディア接点が一体となったことで、Single ID Marketingの提供体制が整った。

「25年度の第4Qから、電通グループと一緒に営業することになり、実績に反映されてきました。これまでは、特にドコモメディアの中で広告配信事業を行ってきましたが、CARTAが接続できるサードパーティーのメディア、特にGoogle、Metaのようなサードパーティーのメガプラットフォーマーのメディアでもドコモのデータでターゲティングをして、その利用者に対するマーケティングコミュニケーションが実現できるようになりました」(真柴氏)

ID POS連携で購入情報までデータで可視化
顧客体験価値を最大化へ

具体的な事例として、金融業界では、ドコモの契約データを基に住所変更者を特定し、そのうち住宅購入者を特定した。住宅購入者イコール住宅ローン契約者と定義した予兆モデルを設計。住宅購入者の購入直前の行動情報として、住宅展示場来訪歴、週末行動履歴、住宅関連アプリサイトおよび金融関連アプリサイトの利用ログ、さらにはライフステージデータを統合的に活用し、住宅購入がその直前にどのような行動をするのかを特定することができた。これらのデータを基に、半年以内の住宅購入予兆者を特定し、 AIによる購入可能性の高いターゲットを高精度に特定することができたという。広告配信から効果検証までを一気通貫で実行することで、結果、クリック単価が約3倍、コンバージョンが約1.9倍、パフォーマンスが良くなる実績が出た。

小売流通業界における事例として、ドコモグループのインテージで、利用者からレシートデータを収集しているサービスがある。このデータを基に、ドコモのリテールパートナー企業とその競合企業との比較分析などを実現できるようになった。レシートデータおよびID POS データを基に店舗売上に関する競合比較を行い、対策すべきカテゴリーを選定した。併せて、来店客に購入されやすい高付加価値商品を特定し、競合と差別化可能な商品を中心とした売り場改善を行った。さらに、改善した売り場と連動し、 ID POS データに基づく購買履歴や購入者のペルソナ分析を活用することで、広告配信のターゲットを抽出し、対象カテゴリーのクーポン配信を連動することで、来店および購買の促進を図ったそうだ。これらの取り組みにより、来店購買データの分析を起点とした対策カテゴリーの売上伸長および売上成長を実現するとともに、 ID POS連携を通じてデータドリブンな経営意思決定と現場運営の転換を支援した。

なお、dカード、d払い、 dポイントはリアルの店舗で実際に決済として使用されるが、一部のリテールのパートナーからは、ID POSデータを連携してもらっている企業があり、その場合はドコモの利用者がどの店舗で、いつ、どのくらいの金額の決済をしたかに加え、その決済の中でどのような商品を購入したかまでデータで可視化できるようになっている。「決済、ポイントのデータがあることによって、リテールパートナーのまさにレジの中で、どういう会計が行われたのか、その会計の中でどのような商品が買われているのか、ここまで連携できるようになっております」

真柴氏は「Single ID Marketingは、単に企業の販促効率を高めるものではありません。本マーケティングの提供により、生活者にとっては自分に合った情報に適切なタイミングで自然に出会える、より納得感のある情報体験につながっていきます。そして、企業にとっては、実データに基づく高精度な意思決定と顧客理解の深化を通じて、顧客体験価値を最大化するためのマーケティングそのものを次の段階へ進化させることができます。ドコモは今後もSingle ID Marketingを通じて、生活者と企業の双方に価値あるマーケティング実現を支援してまいります」と語った。

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