2026年10月7日8:05(JST)
和田 文明
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プロフィール キャッシュレス、電子マネー関連のジャーナリスト/ライター、主に欧米、アジアのセキュリティを含むキャッシュレス情報、カスタマーロイヤルティプログラム情報を取材 |
世界の決済インフラを二分するVisaとMastercardは、AI(人工知能)が人間の代わりに自律して意思決定・購買を行うエージェンティックコマース(Agentic Commerce)を見据え、それぞれ強力かつ特徴の異なるAIコマース戦略を展開している。VisaとMastercardは、どちらもAI(人工知能)が人間の代わりに自動で買い物をしてくれる未来を見据えて、最新のAIペイメントシステムを開発している。
第1部(9月~10月)の『AIコマースとオンラインペイメント』では、AIコマースやエージェンティックコマースを構成する主要なコア技術と、その専門的なメカニズムについて5回に分けて解説した。
引き続いて、第2部(11月~12月) の『AIコマースとオンラインペイメント』では、AIコマースやエージェンティックコマースにおけるオンラインペイメントにスポットを当て、ペイメントカードのVisaやMastercard、ペイメントサービスプロバイダー大手のStripeなどの動向の紹介やこれらの比較を行ってみたい。
AIコマースとオンラインペイメントの第2部第1回目は、“AIコマースとVisa”で、VisaのAIコマースにおけるオンラインペイメントについて紹介してみたい。
AIコマースとオンラインペイメント 第2部(11月~12月)
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Index(目次) 1、AIコマースのキーワード 2、AIコマースとは? 3、AIエージェンティックコマース(AI Agentic Commerce) とは? 4、地域的AIコマースの展開状況について 5、AIコマース(AI Commerce)とペイメント(決済)の融合について |
AIコマースとオンラインペイメント 第1部(9月~10月)
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Index(目次) 1、AIコマースのキーワード 2、AIコマースとは? 3、AIエージェンティックコマース(AI Agentic Commerce) とは? 4、地域的AIコマースの展開状況について 5、AIコマース(AI Commerce)とペイメント(決済)の融合について |
1、戦略の核心:“Visa Intelligent Commerce”
Visa Intelligent Commerce(ビザインテリジェントコマース)とは、AIが安心して使える、世界共通のデジタルな「お財布」(デジタル財布)と「身分証明書」(ID)を届けるAIコマースのインフラである。世界48億枚以上のクレジットカードやデビットカードなどを発行するVisaという巨大な信頼のネットワークがあるからこそ、AI(人工知能)という新しい買い手が登場しても、安心して買い物という作業をAI(人工知能)に丸投げできるようになる。
Visa Intelligent Commerce(ビザインテリジェントコマース)は、クレジットカード大手のVisaが開発した、AIエージェント(AIの代理人)が人間の代わりに買い物をする時代に向けた、最新の決済・安全インフラの仕組みのことである。これまでのネットショッピングは、人間がスマホやパソコンの画面を見て商品を選び、自分で決済ボタンを押していたが、これからは、AI(人工知能)が人間の指示を受けて、自動でネット上を回り、買い物から支払いまでを済ませる世界(エージェンティック・コマース)が始まろうとしている。このAI(人工知能)が主役になる新しい買い物の形を、安全かつスムーズに支えるのがVisa Intelligent Commerceである。
〇なぜVisa Intelligent Commerceの仕組みが必要なのか
AI(人工知能)に買い物を任せるようになると、これまでのペイメントシステムでは通用しない次の2つの問題が発生する。Visa Intelligent Commerceは、こうした2つの問題・課題を同時に解決するために作られたものである。
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セキュリティの問題 |
・自分のクレジットカード番号をそのままAI(プログラム)に預けるのは、情報漏洩やAI(人工知能)の暴走による高額買い物のリスクがあり、非常に危険である |
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お店(加盟店、Marchant)側の問題 |
・AIエージェント(お客)がWebサイトにアクセスしてきた際、お店(加盟店、Marchant)のシステムは本物の買い出しAI(人工知能)なのかサイトを攻撃したり買い占めを狙ったりする悪質なBot(ボット)なのかを見分けることができないこともありうる |
〇 Visa Intelligent Commerceの 3つのコアとなる仕組み
Visa Intelligent Commerceは、主に次の3つの役割を果たすことで、安全なAI同士の取引(M2M決済)を実現させることができるとされている。
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AI(人工知能)に安全なデジタル財布を渡すトークンテクノロジー |
・例えばAI(人工知能)に「1万円以内で、今週分のオーガニック野菜を買っておいて」と頼むと、Visaのシステムが作動する ・Visaは本物のカード番号を隠し、今回の野菜購入のためだけ、上限1万円、今週中のみ有効という、使い捨ての暗号データ(トークン)をAI(人工知能)に発行する ・もしAI(人工知能)が怪しい詐欺サイトに騙されてそのデータを盗まれたとしても、そのデータは他では一切使えないため、当該カードの被害はゼロとなる |
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信頼できるAI(人工知脳)を証明するTrusted Agent Protocol |
・Visaはセキュリティ企業と協力し、インターネット上に信頼されたAI専用の“通り道”を作った ・AI(人工知能)がお客さんとしてネットショップを訪れた際、Visaのシステムがお店側に対してこのAI(人工知能)は、しっかり本人の許可と予算を持って買いにきた、安全な正規の購買AI(人工知能)ですよという証明書(シグナル)をミリ秒単位で送ることができる ・これにより、お店(Merchant)側は安心してAI(人工知能)をサイトに通し、一瞬で決済を完了させることができる |
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銀行を安心させるVisa Agentic Ready |
・AI(人工知能)による自動決済は、人間が起きている時間にスマホを触って行う決済とは、時間帯も購入スピードも全く異なるため、銀行の不正検知システムが怪しい取引と勘違いして、支払いを止めてしまう誤検知という問題が起きていた ・Visaは世界中の銀行と連携し、AI(人工知能)による正しい自動決済パターンを銀行のAI(人工知能)に学習させるプログラムであるVisa Agentic Readyをスタートさせた ・Visaは、日本を含むアジア地域でも、AI決済がスムーズに通るための準備を進めている |
〇Visa Intelligent Commerceが普及すると私たちの生活はどう変わるのか
Visa Intelligent Commerceが普及すると、私たちの買い物の概念は次のように変わるといわれている。
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探す・比べるといったストレスからの解放 |
・例えば洗剤、ペットフード、トイレットペーパーなどの定期的な日用品は、家の在庫状況に合わせてAI(人工知能)が自動で一番安くて早く届く店から購入を済ませてくれる |
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複雑な予約も一瞬で |
・例えば来週の出張、予算5万円以内で、ビジネスホテルと新幹線のチケットを予約してとAI(人工知能)に言うだけで、AI(人工知能)がVisaの安全なルートを使ってすべての予約と支払いをバックグラウンドで完了させることができる |
2.信頼を担保する“Trusted Agent Protocol”(信頼エージェント・プロトコル)
エージェンティックコマース(Agentic Commerce)における最大の課題は、Webサイトを訪れたAI(人工知能)が、正規の購買エージェントなのか、それとも悪意のあるスクレイピングBotや転売Botなのかを加盟店(Merchant)が判別できない点にある。これを解決するため、VisaはCloudflareやAkamaiといったCDN(Content Delivery Network)セキュリティ大手と提携し、Trusted Agent Protocolを導入した。CDNセキュリティとは、ウェブサイトの表示を高速化するための仕組みであるCDN(Content Delivery Network)に、強力なサイバー攻撃対策(セキュリティ機能)を融合させたテクノロジーのことである。
プロトコルのテクノロジーの特徴
このプロトコルは、業界標準のWebインフラ(暗号署名など)を使用し、加盟店に対して次のようなデータを安全に送信することができる。
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Agent Intent (エージェントの意図) |
・単なる商品情報の取得(ブラウジング)なのか、実際の購入目的なのかを明示する |
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Consumer Recognition (消費者認知情報) |
・当該消費者が過去にその店舗を利用したことがあるかなど、文脈データを共有する |
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安全なチェックアウトフロー |
・ユーザーのプライバシーを保護しつつ、加盟店(Merchant)が希望するペイメントフローにトークン化された決済情報を安全に渡す |
これらにより、加盟店(Marchant)側は既存のアンチBotセキュリティ、WAFなどを崩すことなく、信頼された購買AI(人工知能)だけを安全に通し、シームレスに決済を完了させることができるようになる。
3.Visa Agentic Readyプログラムの始動
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