2026年11月6日8:30(JST)
【日本】マネー・ローンダリングや犯罪資金供与を防ぐための「犯罪収益移転防止法(犯収法)」の施行規則が、2027年4月に改正される。金融機関や不動産、宝石・貴金属など定められた特定取引に適用されるもので、本人確認方法の厳格化といった法令上の義務が課される。折しも企業へのサーバー攻撃による個人情報漏洩が続出しており、金融機関などでは法改正に先駆ける形でICチップ読み取り必須化へなどの動きが進む。
記事のポイント! ①金融機関などを「特定事業者」として法律で定める ②ICチップによる読み取りなど義務づけ ③非対面での本人確認方法(eKYC)が変更へ ④金融庁は施行日より前倒しでの導入促す ⑤PayPayはICチップを読み取る申請方法に統一 ⑥「宝石・貴金属等取扱事業者」は特定事業者に? ⑦AI脅威対応に向け「ICチップ読み取り」一択に
金融機関などを「特定事業者」に定め犯罪資金への移転を防ぐ
「犯罪収益移転防止法(犯収法)」はマネー・ローンダリングや犯罪資金の流れを把握・遮断するために、金融機関などを「特定事業者」として法律で定め、「取引時確認」や記録の作成・保存などを義務付ける法律だ。匿名や偽名による取引やなりすまし、犯罪資金への移転を防ぐ。主管するのは国家公安委員会・警察庁で、金融庁、総務省、法務省、財務省、厚労省、農水省、経産省、国交省など複数省庁が関与する。
「特定事業者」となるのは銀行や信用金庫、信託会社をはじめ、クレジットカード会社、無尽会社、協同組合、保険会社、宅地建物取引業者、郵便物受取サービス・電話受付・転送代行会社、宝石・貴金属の取扱業者など幅広い。さらに弁護士や司法書士、公認会計士、税理士といった一部の士業などにも及ぶ。
改正以降は本人確認書類の撮影だけに依存する従来の方法が見直され、ICチップによる読み取りなど法令で定められた方法で確認することが義務付けられる。企業は自社や取引内容が「特定事業者」の対象となるのか、現行の本人確認方法が改正後も問題ないのかを確認する必要がある。

非対面での本人確認方法を変更
今回の改正で重要なのは、非対面での本人確認方法(eKYC)が変更されることだ。マイナンバーカード、運転免許証、運転経歴証明書、在留カードなどを利用した申請方法については、これら本人確認書類を撮影してその画像情報を送信する従来の方法を廃止。ICチップを読み取る方式を採用する。
ICチップ付き本人確認書類を保有しない人への対応として、必要な補完措置も整備。偽造を防止するための措置が講じられた住民票の写し、印鑑登録証明書等の原本の送付プラス転送不要郵便による方法等を定める。これら確認記録と取引記録などについては、原則としてそれぞれ7年間の保存が求められる。

サイバー攻撃などにより前倒しで対応する企業が増加
金融機関などの多くは来年の改正に合わせてICチップ認証を導入する方向だったが、サイバー攻撃で個人情報流出が止まらない現状から、10月に金融庁が前倒しで対策を講じるよう注意喚喚起。「非対面での本人確認を行う際は、本人確認書類の画像や容貌の画像に不自然な点がないか改めて確認を徹底すること」とし、現状を踏まえ、施行日を待たずにICチップの読み取り導入などを速やかに行うよう求めた。
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