2011年12月21日8:30
NTTドコモ、おサイフケータイの経験を生かしNFCサービスを展開へ(下)
海外におけるFeliCaの展開は?
「おサイフケータイ」は半数以上が利用する環境を目指す
――海外においてのFeliCa活用は考えられますか?
中村:海外でFeliCaも考えられると思います。FeliCaを使いたい地域があれば一緒に展開できると考えています。
市川:今後、非接触ICカードが立ち上がるアジアの地域に関しては、引き続きFeliCaの良さを伝えていければと思います。
――TypeA/Bのカードエミュレーションができるスマートフォンを先行して発売することは考えていますか?また、トランザクション・メディア・ネットワークスの発行済株式総数の20%にあたる3億2,250万円の出資を行いましたが、シンクライアント型の端末によりNFCサービスの広がりが期待されています。
中村:TypeA/Bのサービスを先行して展開することは考えていませんが、NFCを体験するという意味では、海外で調達できるNFCの通信機能がついたAndroid端末は発売されています。
市川:各事業者に話を聞くと、FeliCaの使いやすさや互換性の高さには満足しています。それをTypeA/Bに切り換えたり、新たに端末を設置することは抵抗もあるため、残高をサーバで管理するシンクライアント型のようにフレキシブルな形で対応できる端末が普及することに期待しています。
中村:基本的に現在のFeliCaのインフラが変わるとは思っていませんが、例えば、ドコモの利用者が、海外に旅行に行かれる際にPayPassで決済できるなど、新たなサービスが付加される形を想定しています。NFCにより既存の事業者のサービスが変わるというよりも新たな展開を行うことが可能となります。
――2012年冬に発売のモデルの方には、どの程度おサイフケータイの機能を利用してもらいたいとお考えでしょうか?
中村:まだまだおサイフケータイの利用者は3~4割程度のため、早く半分以上の方に利用してもらいたいと考えています。スマートフォンにより定額制が増え、通信料金を気にしなくても済むようになり、またWi-Fi経由でもインストールできるため、より利用されやすい環境になっていると思います。
市川:現在のスマートフォンの利用者の約6割程度の方がおサイフケータイを利用していますが、あくまでも最初に利用している方であり、スマートフォンがさらに幅広く浸透した際にも同じ数字をキープできるようにしていきたいです。
おサイフケータイ同様に他のキャリアとの共同歩調が重要
NFCにより国内だけでなく海外展開も可能に
――国内の展開ではKDDI、ソフトバンクモバイルなどとの共同歩調も重要になりますね。また、2012年の韓国・KT社とのサービスに向けては順調に進んでいますか?
中村:FeliCaを利用したおサイフケータイでのサービスでも他のキャリアと協調して開発してきました。TypeA/Bのサービスを追加する構想に関しても各社の考えは同じモデルであることが望ましいと考えており、細かいところはこれからですが共同歩調をとりながら進んでいけると思います。
市川: 2012年冬の端末が発売された際には、ドコモとKTのお客様が相互にお互いの国で決済サービスその他を利用できるように進めています。ただ、サービス事業者様がキャリアにどのようにサービスを申請し、お客様がどのような手順でサービスをご利用になるか等をはじめとしたルール作りはTypeA/Bではできていませんので、そこは商用化までに調整が必要であると考えています。
――最後に今後のNFCサービスにかける期待についてお答えください。
中村:NFCについては世界中で盛り上がっており、日本のおサイフケータイのようなサービスが世界中でスタートすると期待しています。従来、国内で展開しているプレイヤーも海外においてそのノウハウを活用するなど、生活を豊かにするアイデアをいろいろな地域で展開できます。また海外のいいところは取り入れていけると思います。今後は国内だけではなく、海外に目を向けて展開することが必要であると考えています。
市川:おサイフケータイ・NFCケータイについては、実際に使われてこそであるため、サービス事業者様に利用されやすい環境を展開するとともに、ケータイのエンドユーザー様にも自由にアプリをお作りいただけるような、スマートフォンならではの直観的な良さを提供していきたいです。
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