2012年1月10日8:00
進化するO2O決済
☆☆☆ オンライン決済のオフライン活用でセルフチェックアウトを実現 ☆☆☆
Evolution of O2O Payment
日本カードビジネス研究会 代表 佐藤 元則
●2012年のテーマは「進化する決済」
2012年が明けた。思いおこせば2011年は大変な年だった。東日本大震災、原発事故、電力不足、風水害…。100年に1度の金融危機から立ちなおりかけていた日本をまっていたのは、1000年に1度の超大型自然災害であった。
そんな逆風にも負けず、日本のカード・ペイメント業界では新たな胎動があった。メガバンクの一角が国際ブランドつきデビットカードを発行し、クレジットカード会社2社が国際ブランドつきプリペイドカードに参入したのだ。
そのうちの1社、ライフカードの磯野社長は「現状を変えたい。他社と違うやり方でなければ生残れない」という思いから、日本初となる国際ブランドのバーチャルプリペイド発行に挑戦したという。
プリペイドに賭けた理由は、その将来性と非与信の魅力。バーチャルに特化したのは、ネット市場の拡大と、リアルカード発行のコストとリスクをミニマイズできることだった。
現金や小切手に代る新たな決済手段としてクレジットカードが誕生して60年。ようやく日本でも、即時払いの国際ブランドつきデビットカードと、前払いのプリペイドカードへの本格参入がはじまった。
NCBレポートで国際ブランドつきデビットカードをはじめて紹介したのは2003年6月号、「デビットカード欧米で驚異的躍進、そのパワーを手に入れよう」であった。国際ブランドつきプリペイドカードは2004年6月号、「ギフト市場を狙え!国際ブランドつきギフトカードが急伸」である。
その後約10年の月日を経て、新たな決済手段がようやく本格導入のフェーズにはいった。2012年はさらにおおきな潮流に発展する予感がする。
世界に目を向ければ、実に多様な決済が開発され、導入されている。後払い、即時払い、前払いという3つの決済方法は永遠不滅でも、革新的な技術を応用することによって、さまざまに決済が進化しているのである。そのスピードたるや、光速のごとし。
さて、NCBレポート2012年の年間テーマは「進化する決済(Evolution of Payment)」である。カード・ペイメント業界の最新動向を、進化という視点からレポートすることにしよう。
●オンラインとオフラインの連携「O2O」
第1弾はO2O(オーツーオー)決済を取りあげる。O2O決済とは、オンラインとオフラインが連携しあう決済をいう。例を挙げよう。
オンラインでレストランを検索し、評価の高いレストラン(オフライン)で食事をする。オンラインで電子クーポンをダウンロードして、実店舗(オフライン)で使う。非対面のオンライン決済をPOSの改修をせずに、対面販売(オフライン)の決済として使う。
日本のニュースのなかからO2O関連の記事を拾ってみよう。「Yahoo!とクレディセゾンが提携し、O2OでID・ポイント連携」「KDDIがO2O事業を検討、無印良品やファミマが参加し実証実験」「ドミノ・ピザが楽天経済圏に参画し、デリバリー業界におけるO2O市場に先行参入」など、O2O関連の記事が増えている。
オンラインとオフラインの連携によって、いままでにない画期的なサービスがつぎつぎに誕生しているのである。