2012年4月2日8:00
販売スタイルを激変するタブレットPOS決済
☆☆☆ 決済は商品プレゼンテーションと連動しなければならない ☆☆☆
Tablet POS Payment
日本カードビジネス研究会 代表 佐藤 元則
●視覚的な広がりをもったタブレット
スティーブ・ジョブズがiPadをはじめて世の中に紹介したとき、長持ちバッテリーを誇らしげに自慢していたことを思い出す。米国から日本へのフライト時間でも問題ないとかなんとかいっていたような。
本を読んだり、ビデオをみたり、ゲームをしたり、いろいろな使い方をプレゼンテーションしていたが、正直いってポータブルパソコンの変わり種、あるいは大型のiPhoneとしか思えなかった。電子書籍を読むツールとしては、amazonのキンドルがあったから、まあそんなものかというくらいだった。
しかし、教育や医療の現場でいきなり数十台、数百台というiPadが導入され、お年寄りにも好評を博しているなどというニュース報道で、iPadへの認識が少しずつ変わっていった。
興味津々で、実際に購入して自分で使ってみると、驚きの連続だった。iPadはポータブルパソコンではない。スマートフォンでもない。いずれにもない使い勝手のよさがあった。
視覚的な広がりと、指による直感的な操作はいままで体験したことのないものだった。iPadの写真や資料をはさみ込むと、会話が盛りあがる。説得力が増す。
無線LANの普及とクラウドは、iPadを代表するタブレットに自由な翼をあたえた。クラウドに情報をアップしておけば、パソコンやスマートフォンと情報を共有できる。いつでも、どこからでも、どのディバイスでも情報にアクセスできるのだ。
これを販売の現場で使えばおもしろいことができる。多くの企業がそう考えた。モトローラ(Motorola)、ショップキープ(Shopkeep)、アイシスPOS(ISISPOS)、ライトスピード(LightSpeed)、リベル(Revel)、など。クラウドと連動したタブレットを活用したPOSは、販売スタイルを劇的に変えようとしている。
●米小売の65%がタブレット導入を検討
iPadが先鞭をつけたタブレット。その特性を小売の場で使おうと考えるのは自然のなりゆきである。スマートフォンを決済端末にしようという試みは、Squareによって実現し拡大している。だが、iPadの登場でショップの意向が変わってきた。
消費者がタブレットをもち歩くにはかさばるが、ショップではタブレットのほうが使い勝手がいいのだ。スマートフォンより画面が大きく、操作性がいい。消費者はスマートフォン、ショップはタブレットという使い分けになりそうだ。
米国の小売ではその兆候が明確に現れている。モトローラとRBM Technologiesがスポンサーとして調査した結果にそれがみてとれる。米大手流通50社を対象にしたものだ。
結果は驚くべきものだった。すでにタブレットを導入しているところは3社もあった。さすがは世界の先陣をきる米小売流通。先進技術導入の動きは速い。パイオニアはニュースバリューがある。早ければ早いだけ、企業価値が上がるという風土がある。