2012年4月11日8:00
イオンが発行するご当地WAONカードを利用した地域振興・活性化に注力
地元企業や各地域のNPO法人等と連携しポイントやスタンプラリーなどのサービスを提供
フェリカポケットマーケティングでは、イオンと協力して電子マネー「WAON」の地域展開を進めている。イオンでは、すでに66の地域カードを発行しているが、同カードには「FeliCaポケット」の機能を搭載。フェリカポケットマーケティングでは、イオンやご当地WAONカードで地域共通ポイントサービス運営する地元企業やNPO法人などに対し、FeliCaポケットのサービスを提供するとともに、カードの具体的な活用方法を提案している。
フェリカポケットマーケティング
イオンの地域貢献・振興の理念と
FeliCaポケットのサービスが同期
イオンが展開するご当地WAONカードは、イオンが行政と包括提携を行い、独自券面のカードを発行し、その利用の中から0.1%の金額を寄付するモデルである。同カードには、FeliCaポケットの機能が必ず搭載されている。
「フェリカポケットマーケティングが提供する地域共通ポイントサービスは、イオンの地域貢献・地域振興の理念と一致しており、目指す方向性が似ています。両社の経営の理念、戦略が合致しているのはサービスを展開する上で強みとなります」(フェリカポケットマーケティング 代表取締役社長 納村哲二氏)
FeliCaポケットでは、ただ単にポイントを付与するだけではなく、クーポンやスタンプラリーの実施など、イオンの販促活動として幅広い利用が行われている。WAONは、イオン店舗の決済手段として定着しているが、イオングループ外での利用に関してはまだまだ成長の余地がある。そのため、各地域で独自のサービスを展開し、WAONの裾野を広げていく考えだ。
最近では、スタンプラリーとしての利用が増加。例えば、千葉県銚子市で発行する地域カード「犬吠WAON」は、銚子市の約9割の人が保持しているといわれるカードだが、同カードにもFeliCaポケットの機能が搭載されている。銚子にはイオンの大規模店舗があり、街自体がコンパクトにまとまっているため、商店街との連携も図りやすいそうだ。
フェリカポケットマーケティングでは、NPO法人と連携し、加盟店と連携したスタンプラリーの企画を実施。市内に100箇所の拠点を設け、そのうち3箇所に訪問すると抽選会に参加できるキャンペーンを行った。同企画では、銚子市内で発行している新聞やラジオでも告知を展開。抽選を行う端末は、イオン店舗や市役所に設置した。同端末では、スタンプラリーを行う各拠点の情報も閲覧できる。
キャンペーンには、銚子市民に加え、1~2割の観光客も参加。利用者は、抽選で当たりが出るとWAONグッズなどを手にできる。また、全拠点をまわった人には10万円分のすきくるスター(地域共通ポイント)をプレゼントしたが、「全拠点を周回する方も多く、キャンペーン全体で延べ4,000タッチが行われました」とフェリカポケットマーケティング 販促・広報グループ 久冨泉氏は成果を語る。
香川県高松市のめぐりんをモデルケースに
サービスの利用に積極的な加盟店が増加
同様のサービスは全国各地で行われている。例えば、福岡県大牟田市でも同地区に展開するイオン店舗の一周年記念として、イオンでエントリーを行い、お手持ちのご当地WAONカードを利用して30拠点をまわるとポイントが貯まり、グッズをプレゼントするキャンペーンを行った。また、大分県では湯布院温泉旅館組合と提携した「ゆふいん湯歩WAON」カードが発行されており、カード発行1周年記念として、九州地区の対象店舗でチャージをすると抽選でゆふいん温泉の旅があたるキャンペーン等も行った。
また、イオンモール香椎浜店では、「FUKUOKA OMOIYARI KIDS WAON」カードの発行を記念して、来店ごとにたまるポイントとお買い物額に応じてたまるポイントを合算し、豪華景品があたる抽選会に参加できるイベントを期間限定で行った。同キャンペーンでは、ご当地WAONカードだけではなく、福岡市交通局が発行するIC交通乗車券「はやかけん」と連携したのが特徴だ。
FeliCaポケットを利用した地域展開でもっとも成功しているのが、香川県高松市のめぐりん事務局が運営する「めぐりんサービス」だ。めぐりん事務局では、高松市内で200の加盟店を抱えており、めぐりん加盟店で使える「めぐりんクーポン」や「めぐりんマイル」をはじめ、チケット、診察券、入場券、観光スタンプラリー、ボランティアなどの各種サービスをFeliCaポケットに集約している。2012年4月より、香川県立体育館・武道館でWAON決済の導入とめぐりんサービスが利用できるようになった。
現在、めぐりんカードは約8万枚発行されており、1年間の利用は約30億円となっている。イオンでは、同金額から0.1%に相当する約300万円をNPO法人「遍路とおもてなしのネットワーク」に寄付しているそうだ。
「今後、めぐりんで成功したモデルを全国で横展開していきたいと考えています」(納村氏)
各地域においてもFeliCaポケットを利用したサービスに積極的な加盟店は以前より増えてきた。現状、FeliCaポケットのサービスはおサイフケータイ機能搭載の携帯電話でも受けられるが、利用者の多くはカードを選択しているという。
Suica/PASMO等のIC交通乗車券でもサービスが可能に
街コンやはしご酒での活用も提案
首都圏のIC交通乗車券「Suica」および「PASMO」の一部のカードにもFeliCaポケットが搭載されており、今後はこれらの乗車券を利用したサービス「SuiPAS(スイパスタッチ)」サービスを展開する予定だ。
「首都圏については、多くの方が携帯しているSuica/PASMOを活用し、地域のイベントなどに有効利用していただきたいと考えています」(久冨氏)
今後は、特定の街で合同コンパを行う「街コン」や複数の店舗をはしごする「はしご酒」などのサービスにもFeliCaポケット活用の提案を行う方針だ。例えば、はしご酒では、3枚つづりのクーポンを1枚のICカードに集約することが可能となり、「事務局にとっては、煩雑な集計管理の簡素化も期待できます」と納村氏は話す。また、店舗に設置された端末にカードをかざすとFacebookなどのSNSと連動するサービスも行う予定だ。
フェリカポケットマーケティングでは、以前からICカードを利用した地域活性化に積極的に取り組んできた。これまで数多くの試行錯誤を繰り返しながら、地域や行政サービスなどにおいて、FeliCaポケットが持つ優位性を生かせる導入分野が見えてきたという。納村氏は最後に、「2012年度には数多くの地域でFeliCaポケットを利用したサービスを軌道に乗せていきたい」と意気込みを語った。