2012年4月19日13:08
日本経済新聞社では、2012年3月6日~9日まで、初開催となる「NFC&SmartWORLD」を東京ビックサイトで開催した。会場には、数多くのNFC/FeliCa関連の製品、ソリューションが登場した。
大日本印刷のブースで注目を集めたのは夏にリリース予定の「モバイルWallet」だ。同サービスは、スマートフォンやタブレット端末にアプリとしてインストールされ、銀行キャッシュカード、クレジット決済、クーポン、ポイント管理、会員証などのさまざまなサービスを一元管理できる。クレジットカード決済では、MasterCardの「PayPass」など、国際ブランドが提供するサービスにも対応する予定だ。また、クレジット決済とクーポンを組み合わせることもできるという。アプリには、生活者の購買データなどを参考にレコメンド情報が表示される。
また、スイス生まれのデジタル名刺交換サービス「Poken(ポーケン)」を紹介。会場では、NFCチップを搭載した色とりどりのPokenを展示した。利用者は、Poken同士をタッチするとユニークIDの交換が可能だ。また、USBメモリ付きPokenをUSBメモリに挿しこむと自身のIDを管理でき、タッチした相手の情報も閲覧できる。場所やモノとの連携も可能なため、スタンプラリーやクーポン配信などでも利用できるという。
大日本印刷では展示会の初日に、ビットワレット、KDDIとともに、NFCのTypeAプロトコルを用いたサーバ管理型電子マネーシステムのプロトタイプの発表を実施。同プロトタイプは、電子マネーのバリューや購買データはサーバで管理するシンクライアント方式となっており、ユーザーの嗜好に合わせて最適化されたクーポンや広告、割引サービスなどを提供可能だ。
また、プラスチック型ギフトカードの機能をモバイルに搭載したモバイルギフトカード端末も紹介した。
アイデンティブは、大日本印刷と共同でリリースした接触と非接触の両方のICカードが使える本人認証用リーダーライタ「NDI711」などの読取端末を展示した。NDI711は、NFCに対応しており、TypeA、TypeB、FeliCaなど、通信規格が異なる非接触ICカードを1台のリーダライタで利用可能だ。また、DNPの超小型NFCモジュールの内蔵により手のひらサイズの小型化を実現したという。
トッパンフォームズでは、日本ヒューレット・パッカードと共同で展開するクラウド型の電子マネープラットフォームである「Thincacloud(シンカクラウド)」を紹介。Thincacloudは、決済時の暗号処理を端末側ではなく、クラウドサーバ上で行うことで、高価な専用端末を必要とせず、汎用端末を利用した電子マネー決済を可能とする。トッパンフォームズでは、電子マネーのアクワイアリングを行うTFペイメントサービスを設立。クラウド型の電子マネーサービスに力を入れており、すでにセブン・カードサービスの「nanaco」決済に対応している。会場では、日本HPの「HP ap5000 All-in-One POS System」、カシオ計算機の汎用業務端末、富士通フロンテックのモバイル端末を利用した決済デモを行った。
また、トッパンフォームズでは、ヤフー(Yahoo! JAPAN)、東京急行電鉄(東急電鉄)は、東急東横線の渋谷駅、自由が丘駅の二駅において、NFCスマートポスターと「Yahoo!ロコ」を活用したO2O(Online to Offline)の実証実験を4月22日まで行っている。二駅では、NFCタグにクーポン情報などを埋め込んだスマートポスターをそれぞれ設置し、実店舗への送客について検証している。クーポン情報の取得にはNFCもしくはFeliCa搭載のスマートフォン端末を利用し、店舗にたどり着くための導線として、Yahoo! JAPANが展開するジオサービス「Yahoo!ロコ」を活用している。
凸版印刷では、資生堂の銀座の総合美容施設「SHISEIDO THE GINZA」やカルチュア・コンビニエンス・クラブが展開するSHIBUYA TSUTAYAの5階「映像レンタルフロア」でNFC搭載スマートフォンを利用した店頭プロモーションの実験を行うなど、NFCサービスを強化している。今回の展示会でもNFC搭載スマートフォンを利用した店舗内情報発信ソリューションのデモを実施。また、NFCリーダが付いたディスプレイカードの紹介を行った。
ネットアライブは、台湾のCastles Technology社が開発したクレジットカードやPayPass、PayWave認定端末の「VEGA3000 Serise」、「VEGA5000S」を紹介した。ともにカラー液晶画面を搭載しており、小型でローコストな端末となっている。また、3G回線に対応しており、セキュリティ面ではPCI SSCが認定する「PCI PTS」準拠となっている。同社では、情報処理センターに接続し、JCCA(日本クレジットカード協会)の認定端末の取得も予定している。また、リッチクライアントだけではなくシンクライアントの決済端末としても利用可能だ。
ビー・ユー・ジーは、おサイフケータイやスマートフォンをモバイルマーケティングなどに活用できるピットタッチシリーズを紹介。すでに同社のピットタッチシリーズは、おサイフケータイ非対応のスマートフォンにも対応している。7月初旬にはNFC対応非接触ICリーダライタ「NFC対応ピットタッチ・ミニSX」も発売するという。
ソニーのブースでは、廉価版の「FeliCa Lite」や新製品の「FeliCa Lite-S」を利用した製品デモが行われた。まず「FeliCa Lite対応小型セットボックス」は、簡易個人認証を利用してコンテンツを簡単に購入可能だ。NFC搭載スマートフォンにかざすだけでアプリを簡単に起動でき、テレビのHDMI端子に接続するだけで、購入した動画の再生が行える。
また、タンブラーの底にFeliCa Liteを添付し、飲料に応じたコンテンツの提供を行うデモも実施。利用者はタンブラーをリーダライタにかざすと会員認証が行われ、小銭などを用意することなく容器への飲料補給が可能となる。また、ポイントやクーポンとの連動も可能だ。加えて、タンブラーを利用することで紙コップなどの資源を減らすことができるという。
会場ではFeliCa Plugを搭載した健康機器やアプリケーション開発ソフトウェア「NFCヘルスケアライブラリー」についての紹介も行われた。また、iPhoneに貼り付けることで決済が可能となる「QUICPay」などの電子マネージャケットも展示。リーダライタとしては、FeliCa/TypeA/Bをサポートした新製品「RC-S380」USBリーダライタなどを紹介した。同リーダライタは世界で初めてNFCフォーラムの認定プログラムを取得しており、4月にリリースされている。
そのほか、ソニーのブースではFeliCaに関する数多くの製品やソリューションが展示された。「認証型コンセント」は、FeliCaを応用して、挿すだけで機器認証が可能なコンセントとなる。フェリカポケットマーケティングでは、FeliCaカードに搭載したFeliCaポケットの機能を利用したスタンプラリーなどのソリューションを紹介した。キャノンマーケティングジャパンでは、ハンディターミナル「AT-3700」を展示。同端末は、クレジットカードに加え、プリペイド・ポストペイの両タイプの電子マネー決済に対応。専用POSパッケージソフトで低コストにシステム導入を実現するという。なお、ダイトエレクトロンのブースでもFeliCa関連の製品は多数展示された。
フェリカネットワークスでは、韓国のサムスン電子やオランダのNXPセミコンダクターズと連携し、従来のFeliCaに加え、TypeA/Bに対応したNFCコントローラの開発を行っており、2013年の製品化を目指すと発表。NFCコントローラは、TypeA/BとFeliCa対応リーダやおサイフケータイ機能搭載の携帯電話との互換性を実現する。
インフィニオンテクノロジーズでは、ソニーと協業した機器搭載向けの製品コンセプトの紹介を行った。ソニーでは、グローバル展開を強化しているが、今回のインフィニオンとの協業もその一環となる。今回の協業において、ソニーはNFCチップ、アンテナのドライバやチューニングなどを担当し、インフィニオンはSWPのインターフェースが付いた「セキュリティ・コントローラ」および「DCLB」というインターフェースを搭載した「SLE97 エンベデッド」の構築を担う。また、「DCLB」はソニーにライセンス提供を行うという。そのほか、オートストリア マイクロシステムズと開発し、今年からサンプル出荷を開始する「NFC microSDカード」、NFCタグとしての利用を想定する「my-d NFC」および「my-d move NFC」の展示も行った。
UPMキュンメネ・ジャパンのブースでは、同社と協業する複数の企業が製品やソリューションを展示した。アートウェルドでは、キャラクターのイラストが描かれたNFC対応RFID携帯画面クリーナーを参考出展。日精では、TypeA/B/FeliCaに一台で対応可能なNECトーキンのNFCリーダライタ「ICT-3153」を紹介した。
アルテックは、非接触ICカード、リーダライタやNFCデバイスの特性を検証できるMicropross社のコンタクトレスソリューション「NFC対応デジタル/アナログ テストステーション」を紹介。
アテナ・スマートカード・ソリューションズでは、電子パスポート用セキュアICチップ「IDPass」を紹介。同カードはJava Card2.2.2およびグローバルプラットフォーム2.1.1に準拠している。また、セキュリティ認証としては、ISO/IEC15408コモンクライテリア認証(EAL4+)を取得している。日本データカードでは、売上の一部をPink Ribbon Foundation(英国)に寄付する「SD260カードプリンター(ピンクリボン特別限定色)」などのカードプリンタを紹介した。また、シーエスイーでは、AndroidおよびWindowsに対応した8.9インチのNFC搭載タブレットを参考出品した。
アイアンドディは、カードにすかし印刷ができる機能、HoloKote(ホロコート)機能を標準で装備したIDカード発行プリンタ「IDMK-1530」を展示。また、メディングは、高解像度再転写カードプリンタ「DICE」などのカードプリンタをPRした。
なお、会場では、NFCタグを持ってブースを巡回することでレベルアップし、最後に魔王と対決するRPG風のポイントラリーである特別企画「NFC QUEST」も行われた。