2012年7月4日8:00
「マルチポイントプログラム」を利用した地域展開が軌道に乗る
新規に強いTポイントやnanacoと、顧客化に強いCNポイントを融合した販売戦略
クラブネッツは、1枚のポイントカードやおサイフケータイにより、さまざまな店舗でポイントが貯まり、利用することができる共通ポイントサービス事業を運営している。同社では2011年春に「マルチポイントプログラム」を開発。CRMシステムを搭載する従来の「CN(クラブネッツ)ポイント」だけではなく、高い認知度とブランド力を持つ「Tポイント」や「nanacoポイント」が貯まるサービスを開始したことにより、加盟店の開拓は着実に進んでいるという。
地域に特化した共通ポイント事業を展開
新端末の投入で「1台の端末機による共通ポイントの融合」を実現
クラブネッツでは、地域で情報誌を発行している会社や、地元密着の印刷会社、広告代理店、多店舗展開している会社・団体・組織などと事業提携し、地域に特化した共通ポイント事業を展開している。
CN加盟店は、カードやおサイフケータイを提示した会員の買い上げ金額100円につき、3Pのポイント付与を行う。加盟店は、CNポイント1ポイント付与につき1円をポイント代としてクラブネッツへ支払う仕組みだ。また、会員に対しては、1ポイント=0.5円として、CN加盟店でのキャッシュバックや、他社ポイント交換などで還元している。
現在、同社は、全国70の拠点で1エリアあたり30~300店舗の規模で加盟店を開拓している。例えば、長崎県壱岐市の情報サイトを運営するアットマークでは、地域カードとして「壱岐くるCNカード」を発行。同市は人口3万人の離島だが、会員数はすでに島民の3分の1にあたる約1万人となっている。また、三重県の津市や松坂市では、ゼロが出版するタウン情報誌の「月刊Simple」と連携し、その読者に対し、共通ポイントカードを発行している。また、石川県や富山県、鳥取県などでは、貯まったポイントを地域の行政に寄付を行っているそうだ。
同社では2000年から、共通ポイント事業を継続して行ってきたが、2011年は事業拡張において大きな成果が表れた年になった。中でも2011年春にリリースした新端末を利用した「マルチポイントプログラム」による地域展開が軌道に乗り、すでに新端末は3,600台を出荷しているという。
同端末は、カルチュア・コンビニエンス・クラブの「Tポイント」、または、セブン・カードサービスの「nanacoポイント」も貯めることが可能で、従来のポイント業界にはなかった「1台の端末機による共通ポイントの融合」を実現した。また、これまでは大型加盟店への導入が多かったTポイントやnanacoポイントを、地域の個店でも手軽に導入できるモデルを確立した。
「Tポイントやnanacoポイントが貯まるサービスの開始により、代理店、加盟店ともに大きく伸びました。ただ単にポイントが貯まるだけではなく、新規顧客の開拓から固定客の増加までを店舗支援できたのが大きかったです」(クラブネッツ 代表取締役社長 冨安 仁氏)
Tポイントでは、新たな展開として個店へのサービス導入を強化しているが、同端末機により順調に加盟店の開拓が進んだそうだ。また、nanacoポイントについては、通常、電子マネー決済時に貯められるポイントという概念を打破し、「現金決済で貯められるnanacoポイント」という新たなモデルを確立させた。
客単価やリピート率は着実に高まる
個店が活用できる「個店販促用CRMシステム」を提供
「個店だけではなく、大手ブランドの直営チェーンや地場でFC展開している企業にも、CNポイントの存在や付帯するCRMシステム利便性・即効性を認知いただけるようになり、地方都市だけではく大都市圏においてもCNポイント利用価値が改めて見直されています」(クラブネッツ
ポイント事業本部 事業推進部 事業戦略・支援室 次長 芦名真也氏)
店舗にとっても顧客に対して営業を行いやすくなるメリットを享受でき、客単価やリピート率が高まるという成果も表れている。特に、数多くの生活に密着した店舗での利用価値が高いTポイントへの評価が高く、しかも若年から中間までの「購買層の利用客」が多いことから、個店にとっても一度は利用してみてその効果を感じてみたいという声が寄せられている。
同社では、「店舗に来店した顧客データを分析し、如何にプロモーションをかけて、リピーターになってもらうかが重要である」としているため、カード発行を徹底して行うことによる「顧客化」を推進し、そのデータ分析に基づいて自店に合った販促を行うことを加盟店に推奨している。
同社が提供する「個店販促用CRMシステム」は、管理画面を利用して店舗自身で来店客の購買履歴を閲覧できるため、固定客づくりに有効活用できるという。また、店舗は蓄積された履歴を活用して、プロモーションを行うことが可能だ。
個店オーナーの中には、まだまだ「自分の感覚のみの経営」に依存する人が少なからず存在するが、その規模が大きくなるにつれて、「自分の目で見切れない部分=データの重要性」に気づくという。CNポイントのCRMシステムでは、マーケティングを行う上でのノウハウを実数値の中で得られるだけではなく、実際にメール機能などを利用した、改善と実行を行えるシステムのため、PDCAサイクルを明確なデータに基づいて行うことが可能だ。
最近では、同システムに価値を見出す加盟店も多くなってきており、オリジナルICカードの受注数も増え、同社では成果を感じている。
おサイフケータイを利用したサービスをスタート
スマートフォン対応の加盟店専用アプリをリリース予定
また、マルチポイントプログラムの公開と同タイミングで、モバイル端末(FeliCaチップ搭載のおサイフケータイ)を利用したサービスを開始。すでに沖縄などの一部のエリアでは、FeliCa対応の携帯電話やスマートフォンを軸に会員数を伸ばしているという。
「弊社では現地の代理店などと協力して地域展開を行っています。携帯電話やスマートフォンにオペレーションを移行することにより、カードのコストの削減が可能です」(冨安氏)
今後、同社では、東京近郊や京阪地域において、新たなデバイスへの対応を促進していく意向で、NFC対応のみならず、スマートデバイスにセンター通信させることで得られる情報をキーにしたポイント付与や個別認証をモデル運用していくことを検討している。また、CNポイントの導入加盟店へ提供するCRMサービスとして、スマートフォン対応の加盟店専用アプリを近日中にサービスインする予定だ。利用状況の把握や顧客管理、メール販促等のコンテンツを実装し、スマートフォンのいつでもどこでもアクセスできる利便性を活かして、さらなる利用率向上を目指すという。
また、各エリアに代理店も増え、営業体制の強化を図っているが、加盟店へのよりよい提案に向け、研修活動も積極的に行っている。これまでは数日で同社のサービスを熟知し、各地域で営業活動を行う流れが一般的だったが、最近では1~2カ月間、同社内で実地研修(OJT)を行うことにより、代理店の営業力強化を図るとともに将来的に各地域でポイント事業を担う人材を育成している。
ベトナムで「SKETCH CNカード」を発行
今後は年間で3,000~5,000加盟店との契約が目標
海外展開としては、2010年からベトナムでフリーペーパー「ベトナムスケッチ」と提携し、飲食店やカラオケ店、エステなど、ベトナムエリアで共通して使える「SKETCHCNカード」を発行している。現在は、現地邦人へのカード発行、日本人経営の店舗への加盟店営業がメインとなっており、そのコミュニティ内での浸透をメインとして活動している。冨安氏は、「具体的な認知・浸透はこれから」と話すが、コツコツとお金を貯めるベトナム人の気質は、ポイント文化を理解しやすい環境であることは間違いないという実感もあり、今後の展開次第では「ベトナムの新たな文化を築くことになる」という手ごたえも感じている。今後は、「ベトナムで実績をつくり、香港、上海、タイにも展開していきたい」と冨安氏は話す。
クラブネッツでは、共通ポイントのスタート以来、常に『地域密着』を掲げてビジネスに取り組んできた。現状、CNポイントを展開できていない地域もあることから、各エリアで必ず展開できるような体制を整備し、年間3,000~5,000店舗はコンスタントに増やしていきたいとしている。目安としては、1エリア200~300店舗の加盟店をつくり、5~10万人の会員を獲得していきたいとしている。
また、マルチポイントプログラム参画企業の拡大に取り組み、アライアンスやシステム開発のノウハウを積み上げ、「各地域で展開するポイントブランド」とのアライアンスやポイント交換の仕組みを整備し、ポイント業界におけるプラットフォームとなりうる企業に成長していきたい」と考えている。
さらに、ポイントを通じて社会貢献に取り組み、SNSとの連携やWebコンテンツ、スマートデバイスのアプリケーションにおけるポイント付与の機会を増加させていきたいとしている。