2012年12月26日8:00
2013年から「モバイルウォレット」型サービスの実証実験を開始
スマートフォンを活用したポイント、クーポン等の提供による利便性向上に期待
ジェーシービー(JCB)は、AndroidおよびiOSのスマートフォン上のクーポン、ポイントなどの複数の機能を一元管理する「モバイルウォレット」型のサービスについて、2013年1月から約1カ月間、表参道エリアで実証実験を実施する。JCBでは、顧客に必要なウォレットの機能を見極め、2013年度中の商用化を目指す。
表参道エリアでJCB社員を中心に検証
ポイントからクーポンへの変換や加盟店の優待情報を提供
JCBが検証を行う「モバイルウォレット」型サービスは、ポイント、クーポンに加え、決済(クレジット、プリペイド)などのさまざまな機能を1つのアプリケーションに集約することが可能だ。
2013年1月から実施する実験では、表参道エリアにおいて、ポイントからクーポンへの変換、加盟店の優待情報の提供、また、利用者間でのウォレッサービス内のバリューの授受など、実際のユーザビリティを検証する予定だ。実験の参加者は、JCB社員を中心に100~150人程度を想定。まずは、国内のみで検証するが、海外への展開も同時に検討するという。
「実験では、複数のポイントやクーポンを仮想で設定し、実験参加者が自由に選択可能となっています。また、ポイントからクーポンに交換し、JCBの社員食堂や売店で利用できる形を想定しています」(ジェーシービー ブランド事業統括部門 ブランドインフラ推進部 次長〈WEBソリューショングループ担当〉小林信太郎氏)
実験参加者はスマートフォンを店舗のPOSレジ付近に添付したNFCタグにかざし、スマートフォンの画面に表示したクーポンを店員に見せることでサービスを受けられる。
DNP開発のモバイルWalletプラットフォームサービスを活用
C-SAMとの提携により、言語対応のみで海外展開も可能に
ウォレットサービスの開発においては、大日本印刷(DNP)が開発した、多様なアプリを一元管理し関連業務を支援するモバイルWalletプラットフォームサービスを活用する。DNPでは、米国のC-SAMが提供するモバイルWalletサービスプラットフォームを、日本国内およびアジア太平洋地域に向けて展開すると発表している。
C-SAMの技術は世界各国で採用実績があるため、言語対応さえできれば、海外で展開できる点もポイントだった。フランスで開催された世界最大級のICカードの展示会「Cartes Identification 2012」においてもDNPがJCBモバイルウォレットのデモ展示を行っていた。
すでに米国や韓国でスマートフォンを活用した高機能アプリを提供
QUICPayやTypeA/Bなど、決済との連携も検討へ
ウォレットサービスの具体的な内容については今後、実証実験の結果をもとにユーザー・加盟店・導入事業側から見たフィージビリティ検証やサービス設計を進め、コンテンツや機能を強化していく方針だ。また、TypeA/Bベースの非接触決済や同社が推進する後払い決済の「QUICPay」については、市場の動向を見据えながら慎重に検討していきたいとしている。
「ウォレットサービスとしては、各カード会社が発行するポイントを原資にしたものや、各社提供の優待プログラムをまとめたウォレットなどが考えられます。今後のコンテンツ提供については、JCBが自らサービスを提供することに加え、提携先にソリューションとして提供することも考えられます。実験の結果を含め、来期(4月)以降の方針を立て、エリアを絞った商用化を形にしていきたいと考えます」(小林氏)
すでにJCBでは、海外の優待店や観光情報を紹介するスマートフォンアプリを提供している。2011年にハワイ、2012年に韓国と米国4都市でサービスを開始。利用者からの反応も良く、今後も対象地域を広げていく予定だ。同部門では、Google WalletやISISをはじめ、世界中で盛り上がりを見せるウォレットサービスについても半年前から検討を進めてきた。同アプリでは、2011年から加盟店においての優待クーポンも手掛けているが、ウォレットにより、さらに利便性を高めていけるかに注目している。
JCBでは、汎用性の高いサービスとして、2013年度中のサービス展開を目指す。ジェーシービー ブランド事業統括部門 ブランドインフラ推進部 WEBソリューショングループ 主任 石井剛志氏は、「実験をベースに一人でも多くのお客様により便利にご利用いただける商品をつくりあげていきたいです」と笑顔で語った。