2013年8月29日8:00
低コストでシンプルな料金体系を実現した中小企業向けEC決済サービスを開始
OEM提供が可能なスマートフォン決済サービスをアジア全域に展開
ベリトランスは、2013年8月28日、新たに提供を開始する中小企業向けEC決済サービス「VeriTrans Air」およびスマートフォン決済サービス「VeriTrans mPOS」についての記者説明会を開催した。同社の決済サービスは、中堅から大手のEC事業者で利用されているが、主にSMEを対象とした新決済サービス、実店舗を持つ小売業に提供する専用のスマートフォンアプリとカードリーダを組み合わせたサービスを提供することにより、新市場の開拓を目指す。
低コストでシンプルな料金体系を実現
期間限定で初期費用無料、決済手数料3.4%で提供
デジタルガレージグループでオンライン決済事業を担うecontext ASIAの子会社であるベリトランスは、高セキュリティ・高技術な決済サービスを提供しており、日本のeコマースの広がりとともに成長してきた。特に大手通販市場では屈指の導入実績を誇っており、2010年から提供するマルチ決済サービス「VeriTrans3G」では、クレジットカード決済、電子マネー決済、コンビニ決済、銀行決済、キャリア決済、国際決済など、幅広い決済サービスに対応している。
今回、新たに提供を開始する「VeriTrans Air(ベリトランス エアー)」は、クレジットカード決済、コンビニ決済に対応した決済サービスが手軽に導入可能だ。従来のSME決済にありがちな不透明な料金体系や複雑な契約はないそうだ。初期費用3万円、決済手数料は3.9%だが、2013年11月末までは先着1,000社限定で初期費用無料、決済手数料3.4%で提供する(同期間に申し込みを行った企業は、キャンペーン終了後も同様の手数料でサービスを提供)。また、月額費用、トランザクション費用は無料となり、「低コストでシンプルな料金体系」を売りとしている。
「VeriTrans Airは、挑戦的なプライシングをとる一方で、安かろう悪かろうではありません。一般的に中小企業向けのソリューションは機能を落としたり、限定したりして低価格化を実現するケースが見受けられますが、VeriTrans Airは販売・サポートをWeb・電話に限定し営業マンを介しませんが、セキュリティや機能を落として廉価版を出すわけではありません」(ベリトランス 代表取締役CEO 沖田貴史氏)
中小企業向けの決済サービスは、初期費用やトランザクション費用は無料だが、決済取扱高によって手数料率が変わるケースも見受けられる。VeriTrans Airでは手数料率を固定して提供することで、事業者への負担を軽減しており、セキュリティや品質に妥協はないそうだ。
決済システムはリンク型(決済画面提供型)を採用しており、EC事業者がカード番号に触れないことを大前提にしている。また、中小企業であってもペイメントカードのセキュリティ基準である「PCI DSS」の取得が容易になるという。導入のし易さも売りとなっており、最短10分でシステムの組込が完了。登録から、最短1週間でサービスが稼働できる。中小企業から求められることの多い入金サイクルの短縮化についてもWebからの振込指示で最短3営業部での入金が可能だ。
「決済連動型広告trAd」で低コスト化を実現
「リバース・イノベーション」戦略を導入
今回、価格と機能を両立させた戦略的なプライシングを実現できた理由としては、まず「決済連動型広告trAd」の採用が挙げられる。消費者が入力した決済情報に応じて、カード会社などのインフォメーションバナーをECサイトの決済画面完了時に表示。同社では実験も含めると5年前からカード会社と連携してtrAdを進めており、受益者であるEC事業者に全額負担してもらうモデルから広告モデルにフィードすることで、より低コストでの提供を可能にした。
また、新興国向けに機能等をシンプルにした商品・サービスを、先進国にも展開する「リバース・イノベーション」戦略を導入。VeriTrans Air は、ベリトランスインドネシアのエンジニアリングチームが中心となって開発を進め、逆輸入した。インドネシアには特に米国のトレンドを熟知したエンジニアが多く、日本のレベルにひけをとらない高品質のサービスを開発することが可能となった。
さらに、運用面では、直観的なWebインターフェースを用いたユーザーの自立的な運用・管理を実現。例えば、事業者向けの管理画面では、期間を指定して、取引件数、取引額、ネットボリュームの表示が可能となっている。今後はカード会社やコンビニの基幹システムとの連携も検討。EC事業者の申し込み情報を直接伝送し自動化することで、事務や審査にかかるコストの削減、期間の短縮を図っていきたいとしている。
沖田氏は、すでに提供している事業者に比べ、「有利な条件でサービスを提供できる」と自信を見せる。営業については、直販に加え、SMEにフォーカスしたショッピングカートなどと協力して進めていきたいとしている。今後、VeriTrans Airは、決済手段の追加、モジュール型への対応など、機能の強化も検討している。機能の改善についても継続して行っていく方針だ。
導入企業は自社ブランドでmPOSの利用が可能
五か国語対応で国際展開が容易に
また、ベリトランスでは、8月12日にスマートフォン決済ソリューション「VeriTrans mPOS」を発表。同ソリューションは、実店舗を持つ小売り事業者を主な対象とした決済サービスとなる。「PayPal Here」「Square」など、国内でもさまざまなスマートフォン決済サービスが登場しているが、他社との差別化のポイントとしては、自社ブランドでの運用を希望する事業者に対して、カードリーダやスマートフォンアプリ、システムをカスタマイズする形でOEM供給できる点が挙げられる。また、カード決済APIを提供し、利用する企業のアプリケーションへの組込も可能となっている。さらに、加盟店の利用環境に応じて、数十、数百のカードリーダを提供するそうだ。
セキュリティ面では、日本クレジット協会が制定したセキュリティガイドラインに準拠。カード情報は暗号化され、一切スマートフォン側には保存されない仕組みとなっている。
言語としては、サービス提供開始時点で、日本語、英語、中国語、インドネシア語、ベトナム語の五か国語に対応。同社の決済ゲートウェイでは、各国のシステムでトランザクションを処理することが可能だ。日本国内の展開のみならず、アジアの現地企業と合弁会社を設立し、各国でビジネスを行うことで、未成熟・成長市場でのシェアを獲得していきたいとしている。
アプリケーションについては、まずはシンプルな機能からスタートし、利用企業のフィードバックやマーケットの状況から、必須機能を順次、追加開発していく方針だ。また、当面は、イヤフォンジャックタイプのリーダを装着し、磁気をスワイプする形でサービスを提供しているが、今後はEMV(ICカード)、NFC等の非接触の対応を検討している。さらに、ウォレット型の開発やリチャージ対応も検討するそうだ。
消費者の決済取引の確認はデジタルレシートを前提にしている。レシートには、trAdに対応した広告枠を設けており、クレジット決済を行うユーザーの属性にあわせて最適な広告を表示可能だ。
なお、加盟店はリアルとネットの取引を同じ管理画面で一括して管理できる。また、カード会社等との契約形態にもよるが、対面・非対面の取引を合算して支払うことも可能となっている。