2013年9月19日8:00
多様化するお客様ニーズに合わせてサービス内容を改定
優待サービスを拡充し「ドコモプレミアクラブ」のファンを育成
携帯電話キャリア業界最大手のNTTドコモでは、2013年6月に、2014年4月から会員制サービス「ドコモプレミアクラブ」と「ドコモビジネスプレミアクラブ」のサービス内容を改定すると発表した。同社では優待サービスを拡充し「ドコモプレミアクラブ」のファンを育成する方針だ。
ポイント・優待・サポートを柱に
会員向けサービスを提供
全国で6,179万5,800契約を有する(2013年7月末現在)携帯電話キャリア最大手のNTTドコモ。2013年6月26日にサービス内容の改定を発表したことで話題となっているのが「ドコモプレミアクラブ」と「ドコモビジネスプレミアクラブ」である。
両クラブは無料の会員制サービスで、契約者であれば誰でも申し込むことができる。サービス名にある通り、前者が個人契約者向けサービスで、後者が法人契約者向けのサービスであるが、法人契約者の場合、どちらに加入するか選択することができる。2013年5月末における会員数は、「ドコモプレミアクラブ」が約5,300万人となっている。
それぞれのサービス内容は、以下の通り。
まず、「ドコモプレミアクラブ」は、ポイントプログラム、会員優待サービス、安心サポートの3本柱でサービスが構成されている。
ポイントプログラムは、利用期間と毎月の利用料金の目安に応じて、1stステージ、2ndステージ、3rdステージ、プレミアステージとランク分けされており、1stステージでは利用金額100円につき1ポイント、2ndステージでは同じく2ポイント、3rdステージでは3ポイント、プレミアステージでは4ポイントが付与される。利用期間が5年、8年、10年と長くなる、あるいは毎月の利用金額が平均8,400円以上、同じく1万2500円以上、2万900円以上と増えるに従ってステップアップしていく設計だ。
会員優待サービスは、iモードケータイやスマートフォンからドコモプレミアクラブ・サイトにアクセスし、国内外の提携店のクーポン画面を店頭で見せるとさまざまな特典が受けられるというもの。提携店は、国内ではファストフード、カフェ、居酒屋、レストラン、デパート、アミューズメント、海外ではカフェ、レストラン、リラクゼーション、アミューズメントなどがある。年間利用件数は830万件で、常時、優待を受けられる店舗数は1万6,000店に及ぶ。
このほか、スポットでの優待キャンペーンも展開している。例えば、7月31日まで、コンビニエンスストアのローソンと提携して、「いつでもおウチがカフェになる」をコンセプトとする「ウチカフェ スイーツ」が30円引きになるクーポンを提供。また、8月からは東京ディズニーランドの開園30周年に合わせて、東京ディスニーリゾート®パークチケット(ペア)と優先鑑賞エリア ショー鑑賞券プレゼントを実施している。このように、常時利用できるクーポンに加えて期間限定でより魅力的な特典を用意することで、ドコモユーザーであることのメリットを打ち出している。
安心サポートは、ケータイを安心して利用できるためのサービス。3年間無料で修理に応じる「無料故障修理サービス」、修理代金が5,250円を超える場合でも超過分は支払い不要となる「修理代金安心サポート」、紛失したケータイのおおよその位置を検索する「ケータイお探しサービス」、遠隔操作でケータイをロックする「おまかせロック」や、月額有料(294円または399円)の「ケータイ補償お届けサービス」などからなる。
一方、「ドコモビジネスプレミアクラブ」は、基本的に「ドコモプレミアクラブ」と同様のサービスに加え、ポイント交換商品としてオフィス関連のアイテムを提供したり、提携企業優待サービスとして提携のホテルやゴルフ場の利用がお得になるサービスを提供しているが、個人利用となるクーポンは提供していない。
有料サービス加入・利用期間に
ステージ決定条件を変更
2013年6月に同社が発表した「ドコモプレミアクラブ」と「ドコモビジネスプレミアクラブ」のサービス内容の改定は、ポイントプログラムの変更、会員優待サービスの拡充、および安心サポートの見直しを行うというもの。
まず、ポイントプログラムの変更点はこうだ。「ドコモプレミアクラブ」では、①DCMX GOLD(ゴールドクレジットカード)ホルダーを対象としたゴールドステージの新設、②2014年4月請求分よりポイントを付与する金額の単位を100円から1,000円に変更、③DCMX(クレジットカード)の契約でポイント付与率が1.5倍、④利用期間が15年以上の方を対象としたグランプレミアステージの新設、⑤ステージ決定条件を継続利用期間と加入サービスに変更、⑥継続利用期間条件の変更。また「ドコモビジネスプレミアクラブ」でも、「ドコモプレミアクラブ」と同様の変更となっている。
この改定により、利用年数が長くても有料サービスに加入していない場合、最下位のベーシックステージのままとなる。その一方、サービスの加入によっては利用期間を問わず最上位のゴールドステージとなる。また、ポイントを付与する金額の単位が100円から1,000円に変更になった。
次に、「ドコモプレミアクラブ」限定の会員優待サービスの拡充は、ファストフードやカフェなど日常生活の中で利用できる現行のクーポンに加えて、1stステージ以上の会員にはエンターテインメントやスポーツ観戦チケットを特別価格で提供。このほか、グランプレミアステージとゴールドステージの会員には、さらにプレミアムなクーポンを新設するという。
安心サポートの見直しでは、電話機のトラブルを総合的に補償することを目的にこれまで細分化していたサポート内容を統合し、「ドコモプレミアクラブ」と「ドコモビジネスプレミアクラブ」共通の「ケータイ補償サービス」に改める。
多種多様のニーズにマッチする
お金の使い方を議論
同社ではこれまで「もっとポイントが貯まる方法はないのか?」という契約者の声に応えるかたちで、ショッピングポータルサイト dマーケットでの利用や、アンケートへの回答に応じてポイントを付与するなど、契約者がポイントを獲得できる場を積極的に増やしてきた。ところが、今回のポイント制度の改定により、ポイントを獲得できる場の数は変わらないものの、仕組み上同社が発行するポイント規模は縮小する。
「お客様も携帯電話キャリア各社も、この度の私どものサービス改定を増資(コスト削減)のための施策ととらえていると感じています。しかし決してそうではありません。ポイントプログラムを重視していることに変わりはありませんが、もっとポイントを貯めたいという声だけでなく、スマホを安くしてほしい、店頭の混雑を緩和してほしい、ネットワークをつながりやすくしてほしいなどさまざまなニーズが寄せられていることから、こうした多種多様のニーズにマッチするお金の使い方を社内で議論したのです」と、改定の背景を語るNTTドコモ マーケティング部 ロイヤリティプログラム担当課長 粟嶋学氏。
今後は、ポイントへの関心が高い会員にはより一層、ポイントが貯まる仕組みを、そうでない会員には魅力的なキャンペーンの展開や、企業の福利厚生レベルの優待サービス、さらには一般では利用できないような優待サービスの提供を通じてベネフィットを高めていく構えだ。
同社は、今回のポイントプログラムの改定によってDCMXやケータイ補償サービスの加入者が増えるとは考えておらず、必要性を感じていない会員への訴求はしない考え。ただし、「DCMXゴールドについては、金融ビジネス部と連携を図りながら、プレゼントキャンペーンを展開するほか、ポイント1.5倍を大きく打ち出すなどして、ポイントプログラムとDCMXゴールドの相乗効果によりアグレッシブに加入者を獲得していきます」(NTTドコモ マーケティング部 ロイヤリティプログラム担当課長 酒井善三氏)
利用者の日常に密着し
ファンを育成
優待サービスについては現在、提携企業との調整を進めている段階で未確定な部分が多いため、今回の改定で新たに生まれるメリットが見えづらいのが実際のところ。現時点でわかっているメリットは、前述の通り、より一層、ポイントが貯まる仕組みの提供や、魅力的なキャンペーンの展開、優待サービスの拡充といったところ。
同社では、ケータイやスマホは常に利用者に携帯され、利用者と生活をともにしている点も視野に入れ、利用者の属性や生活シーンを踏まえた優待サービスを導入。例えば、女性はクーポン好きが多いことから、女性向けの優待サービスを多めに用意し、男性はポイント好きが多いことから男性がより多くのポイントを獲得できるような施策を打つことで、利用者の日常に密着していきたい考え。特に、「最近はポイントに関心の高い方が増えていることから、ポイントを機種変更だけでなくさまざまに活用するポイント好きな会員、さらには“ドコモプレミアクラブが好き”なファンを育てていきたい」(粟嶋氏)としている。ビジネスプレミアクラブについても「法人のお客様に受け入れられるサービスについては積極的に追加していきたい」とNTTドコモ 法人事業部 法人ビジネス戦略部 営業企画担当部長 村上明人氏は語った。