2013年11月13日0:20
「日本一のカード会社を目指す」楽天カード
生活者からの支持の決め手はポイントと年会費無料
楽天は、2013年11月12日、グループの金融事業説明会を開催。楽天カード、楽天Edy、楽天スマートペイの決済事業をはじめ、楽天銀行、楽天証券、楽天生命の事業について、同社幹部が説明した。
「楽天カード」は事業開始から一貫したコンセプトで事業を展開
年会費無料で貯めやすいポイントサービスで成功
楽天では、楽天スーパーポイントを核にした、楽天経済圏を確立している。顧客のライフステージやイベントに沿った金融商品・サービスを展開。楽天スーパーポイントを媒体としたECと金融の連携から、金融内部での連携・シナジーを追求できるステージに入っているそうだ。
楽天カードは、昨年度で1兆9,868億円(内包括信用購入あっせん1兆8,090億円)の取扱高を誇る。同社では、2011年8月に楽天カード事業を分割し、もともとあった国内信販の事業を譲渡したが、その際に「インターネットとの親和性のない事業を譲渡」「楽天市場の利用実績に基づく独自の与信システムの導入」「全社督促の実施で、不良債権の抑止に注力」「楽天のKPI経営管理制度を導入し、役員や社員の意識改革を徹底」したそうだ。
テレビCMでおなじみの「楽天カード」は、事業開始から一貫した基本コンセプトのもとサービスを展開。年会費無料で、ポイント1%還元を売りにしている。さらに、楽天市場で利用するとポイントが2%付与される。これに加え、街中の加盟店では最大3倍のポイントを貯めることが可能だ。
また、使いやすいポイントプログラムを売りとしており、50ポイントから「楽天市場」で1ポイント=1円で1億5,000万点の商品と交換できる。
「ポイントを貯めてもなかなか交換する商品がないということはわれわれにはありません。ほとんどのポイントが交換されています」(楽天 常務執行役員 楽天カード 代表取締役社長 穂坂雅之氏)
楽天カードホルダーの約75%が稼働
楽天グループ外の利用が約75%
MMD研究所の調査によると、ポイントカードのニーズとして、「ポイントが貯まる」「年会費が無料」が上位2位であり、それを満たしているのは「楽天カード」の強みとなっている。
同社のテレビCMでは、「楽天カードは持ちたいカード№1」ということを強調しているが、サービス産業生産性協議会発表の「JCSI(日本版顧客満足度指数)調査」において、2012年まで4年連続クレジットカード部門の第1位を獲得している。
矢野経済研究所の調査によると、「楽天カード」ホルダーの約75%が稼働しており、休眠会員が少ないという。また、会員層も30代、40代を中心に、男女のバランスが良いのも特徴だ。
昨年は1兆8,000億円の取扱高となり、今年は2兆5000~6000億円の取扱高を想定しているが、カード会員の利用の内訳として、楽天グループで25%、グループ外が75%となっている。「外部加盟店でポイントを貯めて、楽天市場に帰ってくる循環が上手くいっています」(穂坂氏)
高還元率を可能にする高い競争力とは?
米国、台湾でもカード事業を展開へ
また、高還元率を可能にしたのはインターネットを軸とした高いコスト競争力にあるという。「楽天カード」は、楽天市場などのバナーをクリックさせてWebからの申し込みに結び付け、顧客自身でデータを入力してそのまま審査が行われるため、入会申し込みにかかるコストを削減することに成功している。穂坂氏も「前捌きの部分でかかるコストが違います」と自信を見せる。また、取扱高の8~9%がリボ残高に転換しており、「他社に比べても高い転換率」であると穂坂氏は話す。今後は楽天カード会員専用のオンラインサービス「楽天 e-NAVI」でのバナー広告、メール配信などの広告事業を収益の柱に育てていきたいとしている。
さらなる飛躍に向けては、「プレミアムカード」の会員拡大を挙げる。同カードは、年会費1万500円で、誕生日月の楽天市場の利用で3倍のポイントが貯まるほか、世界600カ所以上の空港ラウンジが利用できる「プライオリティ・パス」を付帯している。
海外展開については、米国、台湾に進出を準備中だ。すでに米国は子会社を設立し、提携カードの発行をローンチ予定である。また、楽天が海外展開を行っている地域には進出していきたいとしている。
現状、楽天カードのショッピング取扱高は1.9兆円だが、「数年でトップの5兆円を目指していきたい」と穂坂氏は意気込む。同社では単月で二千数百億円の取扱高となっており、年間4割の成長があるため、それが続けば5兆円は数年で超えると見ている。この成功事例は、「歴史的なカード事業として残る」と穂坂氏は話す。
楽天Edyは国内最多の加盟店数を誇る
楽天スマートペイは主要6ブランド対応が強み
また、FeliCa ICカード技術を活用した電子マネー「楽天Edy」については、現状、電子マネー事業者として国内最多の36万5,000カ所の加盟店を有しており、7,800万枚のカードを発行している。
スマートフォンがカード決済端末となる「楽天スマートペイ」は、初期費用無料のカードリーダ、最短3営業日の審査、楽天銀行の場合は翌日の入金サイクル、手数料3.24%など、中小企業や個人事業主のニーズを満たすサービスとして展開している。国内には他にもスマートフォン決済サービスを展開する企業はあるが、クレジットカードの主要6ブランドに対応しているのが強みとなっている。
「楽天スマートペイ」の目標は中長期的に決済総額5,000億円。開拓ペースも順調で、一カ月数千単位で契約できているため、「100万店の達成は10年先ではない。日本では勝って行ける」と穂坂氏は力強く語った。