2014年2月25日12:45
世界最大の携帯電話のイベント「Mobile WorldCongress(モバイル・ワールド・コングレス:MWC)」が2014年2月24日~27日までスペインのバルセロナで開催されている。会場では決済やNFCサービス関連の展示も数多く行われている。
Visaでは、「Visa payWave」対応のカード情報を従来の「セキュアエレメント(Secure Element)」ではなくクラウド内に保持する機能をPRした。
Googleは、2013年10月、NFCスマートフォンで利用できる機能「Android4.4(KitKat)」にHost Card Emulation(HCE)と呼ばれるオペレーティングシステムにおける新機能を導入。従来のNFCスマートフォンを利用したVisa payWave決済の場合、セキュアな情報を管理するための領域であるセキュアエレメントの役割が重要とされたが、ホスト内でカードをエミュレーションすることができるようになる。Visaによると、HCEにより、Android上のNFCアプリケーションはICカードと同等の取引を行うことができるという。また、金融機関は決済アカウントを仮想クラウド内で保持できる。
Visa Inc.Digital Solutions senior Vice PresidentのSam Shrauger氏は、24日のVisaのブースで行われたプレスイベントにおいて、「革新的な技術である」と自信を見せた。Visaでは、「Visa Readyパートナープログラム」を拡張し、クラウド内でVisaアカウントを導入したいと考える金融機関とパートナー各社のサポートを行う。また、ソフトウェア開発キット(SDK)も提供する予定だ。さらに、今後は、セキュリティ向上に向け、トークンやリアルタイム分析などのセキュリティ対策を強化するそうだ。
これまでのNFCスマートフォンを活用したサービスでは、サービスプロバイダ(SP)やモバイルネットワークオペレータ(MNO)のTSM(Trusted Service Manager)の役割が必要とされていたが、そういった概念にとらわれることもなくなる可能性もある。実際、プレスイベントに登壇したスペインの金融機関、bankinterのDirector of Innovation Strategy&ManagementであるCarlos Alberto prrez Lafuente氏は、「HCEにより、SPやMNOのTSMは必要なく運用ができる」と期待を寄せた。ただし、モバイル・ワールド・コングレスに出展したフランスのSIMカードベンダーやTSM関連企業からは、「セキュリティ面などはまだまだ未知数で、普及には時間がかかる」などの意見もあった。
なお、HCEについては、MasterCardも同機能を利用した非接触決済サービスを提供すると発表している。
そのMasterCardでは、国内では大日本印刷と連携し、モバイルウォレットサービスを提供するC-SAMの買収を発表。両社では2012年12月にグローバルな戦略提携を行ったが、今回の買収により、MasterCardではワールドワイドでモバイルウォレットとペイメント・ソリューションの開発と展開をさらに加速していくそうだ。
そのほか、大日本印刷では、C-SAMと連携してモバイルウォレットサービスを提供しているが、トヨタファイナンス、ジェーシービーと連携してトヨタオートモールクリエイトが運営する「トレッサ横浜」に導入するクーポン、ポイントの一元管理ができるウォレット型スマートフォンアプリ(モバイルウォレット)「トレッサウォレットアプリ」のデモを展示した。同社では今後、JCBと連携し、JCBの提携カード発行企業などに対し、「JCBモバイルウォレット」の提案を行っていくそうだ。
なお、詳細な情報は担当者へのインタビューを含め、後日ペイメントナビで紹介する予定だ。