2014年4月9日9:15
おサイフケータイでの実績をベースに海外展開を強化
フェリカネットワークスは、バルセロナで2014年2月末に開催された「モバイル・ワールド・コングレス」(MWC)において、「おサイフケータイサービス」の紹介とデモを行うとともに、海外向けにさまざまなソリューションをPRした。
クラウド上でのバリューの管理も可能
SIMおよびmicro SDソリューションを用意
2013年12月末現在、モバイルFeliCa ICチップの累計出荷個数は約2億3,600万個で、そのうちスマートフォン向けが約4,500万個となっている。フェリカネットワークスでは、MWCの「ジャパンパビリオン」において、NFCタグに認証機能を持たせた「NFCタグ認証ソリューション」、クラウド上でバリューを管理可能な「NFCダイナミックタグソリューション」、従来の組込型のタイプではなく「SIMおよびmicro SDソリューション」を紹介した。
「NFCタグ認証ソリューション」は、NFCのリーダライターモードを活用。NFCタグに書き込んだ情報は複製、改ざんされる可能性があるが、タグ認証機能を持たせることにより、高いセキュリティを実現可能だ。これにより、音楽カードや付加価値の高いクーポンを提供する、といったサービスが行えるという。同社では、ソニー・ミュージックコミュニケーションズと連携し、2月5日から開催された初音ミクのイベント「SNOW MIKU2014」で、NFCタグ入りカードを活用した取り組みを実施。イベント会場での体験として、NFCスマートフォンをNFCタグにかざすと音楽を視聴できるサービスを行った。
「NFCダイナミックタグソリューション」は、携帯電話網を通じてクラウドと連携し、クラウド上にあるバリューをリアルな場で確認、処理が可能だ。スポーツジム等の会員証としての利用はもちろん、決済サービスの提供も可能だ。
そして、「SIMおよびmicro SDソリューション」を紹介した。ソニーでは、Gemaltoとの協業を進めており、2013年秋から香港において、Gemalto製のSIMカードを活用したチケットシステムをOctopus Cards Limited(八達通/Octopus)が、キャリアのPCCW-HKTと協力して実験を行っている。それに加え、ソニーではmicroSDによるFeliCaのサービスを2月24日に発表しており、Gemaltoの商品ラインアップに追加された。
日本での10年間の実績を生かす
各国の事情に合わせたサービスを提案
フェリカネットワークスがMWCに参加するのは今年で3回目。いち早く商用化を実現した日本での10年間の実績をもとに、海外でもサービスを展開していきたいとしている。その際には、「国内と同様のことを行うのではなく、各国の事情にあったサービスを展開する」方針だ。例えば、「NFCダイナミックタグソリューション」を紹介したように、国内ではICチップ上に各種情報を書き込んでいるが、海外ではクラウド上で情報を管理するケースなども想定しているそうだ。
現状、海外企業とは複数の話が進行しているが、具体的な実績としてはこれからの状態だ。NFCについては、数年前から世界各国でさまざまな取り組みが行われているが、エコシステムを確立させるのは難しい現状もある。まずは、モバイルペイメント等のサービスを盛り上げることが必須であると認識しており、海外においても国内での実績を生かしていきたいとしている。
「かざすフォルダ」がスターバックスで採用
CRMサービスでの導入企業拡大を目指す
国内においては、従来の電子マネーやチケットサービスに加え、ポイントやクーポンといったCRMサービスを強化している。2年前から提供を開始した「かざすフォルダ」は、スターバックス コーヒー ジャパンの「モバイル スターバックス カード」として採用された。
「これまで、『おサイフケータイ』というと、電子マネーや交通乗車券としてのイメージが強かったですが、ローソンの『モバイルPonta』などをはじめとしたCRMサービスに、かざすフォルダは有効だと感じています。流通事業者からの引き合いもあるため、かざすフォルダのCRMサービスへの採用を積極的に進めていきたいです」
フェリカネットワークスでは、今後、アジアを中心に海外展開を積極的に行い、新しいソリューションを提案していく。日本については、かざすフォルダなどの営業を行うとともに、「おサイフケータイ」に対応していないiPhone向けのサービスも検討していく方針だ。
※取材は「モバイル・ワールド・コングレス」において前代表取締役社長の杉山博髙氏に実施