2014年4月8日8:00
決済導入のハードルを大きく下げる「Yahoo!ウォレットFastPay」を提供
「Yahoo!ウォレット」「Tポイント」との連携、「継続課金」対応も視野に
ヤフーは、2014年4月4日、ECサイト運営者がサイト内に数行のコードを埋め込むだけで決済が可能な開発者向けの決済サービス「Yahoo!ウォレットFastPay」の提供を開始した。
かかる費用は決済手数料3.25%のみ
デベロッパーが気軽に導入できるシステムを意識
「Yahoo!ウォレットFastPay」の決済手数料は3.25%。初期費用、月額費用およびトランザクションフィーは無料となり、業界最安値の価格設定であるという。利用可能カードブランド:VISA、MasterCardで、JCB、Diners、American Expressは準備中となっている。ECサイト運営者は、申し込みから1週間程度の加盟店審査を経て、すぐに決済が開始できる。
「弊社が提供しているソリューションも含め、決済を加盟店が導入する際のハードルは非常に高いのが現状です。申込書類の記入、審査の期間、導入の際に店舗のシステムに決済機能を組み込むのは負担となっていました。その煩わしさを解決するソリューションとして、簡単で、安くて、デベロッパーの方々が気軽に導入できるソリューションを提供したい思いがありました。決済のこれまでの悩みを弊社が請け負い、利用される方には本業に集中していただきたいと考えています」(ヤフー 決済金融カンパニー決済ポイント決済サービスマネージャー 黒原貴文氏)
最近では、国内外で競合となるサービスが次々と登場しているが、「他社と同じような形にはならない」と、決済金融カンパニーTDテクノロジー推進リーダー 山本啓介氏は自信を見せる。特長としては、コードを貼り付けるだけで決済が可能な点、手数料率が3.25%と安価な点が挙げられる。また、料率についても取り扱いに応じて変わるケースもあるが、「シンプルで分かりやすい数字にしたかった」そうだ。
Yahoo! JAPANのドメインでカード情報の入力フォームを用意
加盟店からクレジットカード情報が漏えいするリスクを回避
また、「カード情報の入力画面に関しても、Yahoo! JAPANが提供するモジュールを使えば簡単に実装することが可能です。このモジュールでは、加盟店と顧客が直接カード番号のやり取りをしないで済むような仕組みを採用しました。カード情報が加盟店のサーバを経由することがないため、ユーザーにとってはYahoo! JAPANのサイトにおいてカード番号を入力しているという安心感を、加盟店にとってはセキュリティに関する負担を下げることができます」と、黒原氏は説明する。
PHPに加え、Ruby、Pythonのコードも近々に提供
Yahoo! JAPAN IDとの連携により、決済もより簡易に
提供するコードについては、Web上ではPHPがアップされているが、Ruby、Pythonのコードも近々、追加する予定だ。また、AndroidとiOSのSDKも準備する予定となっている。開発者は、Yahoo! JAPAN IDのログインで、本番同様のテスト環境が利用できる。
なお、決済された金額の振込サイクルは、月末締め翌月末払いの「月1回プラン」および15日締め月末払い、月末締め翌月15日支払いの「月2回プラン」の2パターン用意されている(月2回プランは+0.1%の手数料)。
4月のリリース後は、「『Yahoo! JAPAN ID』や『Yahoo!ウォレット』とのつなぎ込みを早い段階で行っていきたい」と黒原氏は意気込む。現在はクレジットカードを直接入力するインターフェースとなっているが、Yahoo! JAPAN IDの利用者はIDとパスワードの入力のみで決済が可能になる。
「今後は「Yahoo!ウォレット」ユーザーの配送先情報を決済時にデベロッパーに連携するなど、さらにデベロッパーの利便性を高める施策を打っていきたいと思います」(山本氏)
開発に向けては20社以上のデベロッパーの声を反映
もっともユーザーにとって身近な存在を目指す
また、サービスを開発する上で20社以上のデベロッパーの声を反映したそうだが、その声によると、「継続課金」のニーズが高いため、「Yahoo! JAPAN ID」や「Yahoo!ウォレット」との連携後に導入する予定だ。
デベロッパーとの関係をさらに深めるため、今後はスタートアップ企業が集まるイベントへの出展に加え、既存の加盟店への告知も行っていく。また、2,600万人の「Yahoo!ウォレット」ユーザーを拡大させることで、「Yahoo!ウォレットFastPay」の魅力をさらに高めていきたいそうだ。
普及に向けては、「Yahoo!ウォレットFastPay」に申し込んだ先着200名(クレジットカード審査通過者)を対象に、決済手数料を6カ月2.00%割り引くキャンペーンを実施している。
今後は、共通ポイント「Tポイント」との連携も視野に入れる。「Yahoo!ウォレット」でのTポイント付与については、デジタルコンテンツには対応していたが、3月27日から物販への付与もスタートしている。
具体的な目標数値は公表していないが、「もっともユーザーにとって身近な存在を目指していきたい」と黒原氏は意気込みを見せた。