2014年4月16日10:35
スペインでHCEを利用したサービスをローンチ予定
取引ごとにカード番号を生成するトークン化の技術を採用
NFC(Near Field Communication)の新技術として、クレジットカードやデビットカードの情報をクラウド内に格納する「Host Card Emulation(HCE)」が注目されている。Visaでは「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)2014」で記者説明会を開催したが、スペインの金融機関であるbankinterは同技術を採用する予定だ。同社 ディレクター イノベーション・ストラテジー&マネジメントCarlos Alberto prrez Lafuente氏にHCE採用のメリットについて話を聞いた。
今後3年で70%のカード会員の利用を目指す
電波がつながらない環境でも利用可能
――まず、貴社のクレジットカード等の利用者からお聞かせください。
Carlos Alberto prrez Lafuente:弊社には50万人のアクティブカスタマーがいますが、そのうち30万人がクレジットカードとデビットカードを使っています。今後3年間で70%がHCEを活用したサービスを利用してもらいたいと考えています。
――具体的な貴社のサービスの特長についてご説明ください。
Carlos Alberto prrez Lafuente:HCEを提供する上で、弊社には特徴的なサービスがあります。クラウド上で管理することはもちろん、ハイブリッドなソリューションとなっています。リアルタイムに決済端末とやりとりでき、仮に電波がつながらない環境でも決済可能です。また、NFCに加え、eコマースの取引も可能です。現状、パイロットですが6月からは一般公開される予定です。
決済時にはEMV対応のカードがリアルタイムに生成されますが、トークン化により1分以内に決済されないと有効でなくなります。単純な自社の決済プラットフォームとしてだけではなく、他の銀行も利用できます。現在、Visa Europeと組んで展開しており、専任で使えるように許可をいただいています。弊社では連携する銀行とサービスプロバイダを探しています。
TSMを利用したサービスよりもカードのコストを削減
キラーアプリケーションとしての定着を目指す
――電波がつながらなくてもなぜ利用可能なのでしょうか?Carlos Alberto prrez Lafuente:
スペインでは約50%の店舗が電波のつながらない環境となっています。そのため、クラウドにつながらなくても使えるシステムでないと意味がありません。TSM(Trusted Service Manager)を利用した場合、耐タンパ性の高いセキュアな領域に格納されますが、このサービスは100%ソフトウェアで行っています。また、TSMを利用したサービスに比べ、カードのコストも削減できます。
――具体的なパートナーについてお聞かせください。
Carlos Alberto prrez Lafuente:パートナーはセグラン(SEGLAN)となります。EMV、ワンタイムパスワードなどの暗号システムを開発しています。
―NFCは、iPhoneやWindows Phoneで採用されていませんが、普及の妨げになりませんか?
Carlos Alberto prrez Lafuente:現状、スペインのマーケットではAndroidが70%、Blackberryが3%となっています。HCEのソリューションをローンチしたらAppleやMicrosoftも参加しないと、さらにマーケットシェアを失ってしまいます。
――日本では、単純に決済するのであれば、カードで十分だと思っている方が多いです。
Carlos Alberto prrez Lafuente:弊社のお客様の15%はアーリーアダプターで、新しいものを求める傾向にあります。まずは15%の方に利用していただき、3年の間に物理的なカードの発行を少なくしたいです。スペインのスマートフォンサービスでは、「What’s up!(ワッツアップ)」がキラーアプリケーションとなっています。What’s up!は1日10回くらい利用されていますが、このアプリケーションも1日4回くらい利用してほしいですね。弊社のサービスは、機能に加え、ユーザーインターフェースも意識しています。
※取材は「モバイル・ワールド・コングレス」のVisaのブースにて