2014年5月21日8:00
モバイル決済サービス「ZNAP」導入のメリットは?
小売・流通・公共料金・通販・入場管理など様々なシーンで利用可能
iPhoneやAndroidなどのスマートフォンを用いて素早く簡単に決済できるソリューションに注目が集まっている。MPayMe Japan 株式会社が提供するスマホ決済アプリ「ZNAP(ズナップ)」は、単純な決済にとどまらず、ポイントやクーポンなど、さまざまなソリューションに対応したサービスとなっている。
さまざまなチャネルを活用した決済が可能
2014年春以降、大規模な店舗にも導入へ
「ZNAP」は、QRコードを活用した決済アプリケーション。「ZNAP」の利用者は、iOSやAndroidの専用アプリをダウンロードし、クレジットカード情報などを登録すれば、QRコードと4桁のPIN(暗証番号)の入力で決済が可能だ。また、決済に加え、飲食店ではテーブルオーダーやクーポンの利用などが行える。さらに、店舗での対面決済はもちろん、PCやモバイル、カタログ通販などの物理的販売、電話販売など、さまざまなチャネルを活用した支払いが可能となる。
同社では、2013年4月にビリングシステムと業務提携を発表。2014年1月には、飲食やアミューズメント事業を展開するダイヤモンドダイニングと提携し、六本木交差点にほど近い「QRBAR」でパイロット販売をスタートし、その後数社でサービスを行っている。MpayMe Japan Limited CEO 酒匂 隆雄氏は、「顧客の意見を取り入れ、細かい点を修正し、アプリについては常に改善を行っていきたい」という。実際、「ZNAP」に対する引き合いは多くの企業から寄せられているため、ビリングシステムと協力し、2014年春から大規模な店舗も含めて導入を行う予定だ。
海外では、米国、香港、イギリスなど9カ国でサービスを展開。スマートフォンを活用した次世代のサービスとしての普及がスタートしている。国内展開に向けては、日本語化や国内の規制への対応を行った。最大の障壁は、英語でできたシステムを日本人にあった入力方法にカスタマイズする点だったという。
酒匂氏は、「大手企業で採用されれば、顧客の認知度も高まり、さらに導入が進むと考えています」と笑顔を見せる。現在は、ビリングシステムのネットワークに加え、カード会社から紹介を受けるケースも多いそうだ。
国内ではビリングシステムと連携しサービス展開
手数料3.24%で導入可能
MPayMe Japan株式会社では、プラットフォーマーとしての役割に徹している。同社はアプリの開発会社のため、日本ではビリングシステム、それ以外の地域はファースト・データ(FirstData)と連携してサービスを展開している。そのため、「カード会社や銀行はすべてパートナーであると考えています。お客様にとっては、なるべく多くのカードが使えることが、サービス拡大につながります」とMPayMe Japan営業部 部長 山路幹氏は説明する。
「ZNAP」のメリットとして、導入企業のシステム対応の負担が少ないことが挙げられる。ビリングシステム 営業本部 営業推進部 部長代理 橘悠介氏は、「導入企業は、テーブルなどにQRコードを貼り付けていただくのみでZNAPのサービスが利用可能です」と口にする。決済手数料については、アクワイアラと競合しないメリットがあり、カード会社と既存の加盟店契約を持っている企業の場合、通常通りカード会社との契約を行うか、もしくはビリングシステムが手数料3.24%で提供する包括代理契約の2パターン用意しているそうだ。
なお、決済手段としては、クレジットカードに加え、2014年夏から秋にかけて銀行口座の引き落としを追加。また、サーバ上で展開するため、プリペイドカードとの連携も可能となっている。
決済以外のサービスとの連携で、「ZNAP」の価値がさらに高まる
国内外で便利に利用できるサービスを目指す
アプリについては、飲食店などの店舗でダウンロードする際、顧客自身慣れていないため、どうしても若干の時間を要するケースもある。酒匂氏は、「使いやすさを改良し、多くの方にアプリをダウンロードしていただきたいです。また、イベントへの参加、媒体や電車の中刷り広告などで告知を行い、『ZNAP』を認知していただきたいと考えています」と意気込みを見せる。QRBARでは、「ZNAPガール」が3月末まで常駐して、アプリのダウンロードや利用を促していたが、4月以降も継続して行っているそうだ。
ZNAPは新しいサービスであり、「実際に言葉で説明するよりもデモで見ていただいた方がお客様のイメージがわきやすい」(酒匂氏)ため、レストラン、イベント会場、スポーツ観戦の入場、請求書の支払い、寄付金のドネーションなどのイメージを説明したデモスペースをビリングシステム内に開設している。山路氏は、「さまざまな業態を展開し、複数のメディアを持つ企業が一貫した方法で顧客とのコミュニケーションを図る手段として、『ZNAP』をご活用いただけると考えています」と笑顔を見せる。決済のみならず、複数の機能を組み合わせることで、より「ZNAP」を利用する価値が高まるそうだ。
「決済は弊社が提供する一部分であるため、既存の決済サービス事業者と競合するとは考えていません。セキュリティを守りながら、ポイントやCRMサービスといった、お客様に価値のあるサービスを提供していきたいです」(酒匂氏)
また、「ZNAP」は国内に加え、海外でも利用可能だ。例えば、インドネシアでは、大手スーパーマーケットのハイパーマートで導入が進んでおり、リピーターを中心に順調に会員数を伸ばしている。米国のピッツニーボウズでは、請求書の支払いがスマートフォンで行えるサービスをテスト運用している。さらに、英国ではスタジアムなどの支払いで便利に利用できるそうだ。今後は、2020年の東京五輪の際に、東京を訪れた人が「ZNAP」を利用できる環境を整えていきたいとしている。
QRコード以外の認証手段にも対応
2014年に大手20社への採用を目指す
なお、「ZNAP」では現在、QRコードをベースにサービスを進めているが、アジアの新興国などでサービスを展開する際、加盟店はQRコードを印刷するだけですぐにサービスを開始できるため、今後も中心となるそうだ。NFCやBluetoothなど、通信のインターフェースについては柔軟な対応が可能なため、導入企業のニーズに沿ったサービスを提供できるという。
国内での導入企業も増えてきた。すでに、雑貨商品/オリジナル商品を扱うセレクトショップのF.O.B COOPが導入すると発表している。また、トレードトレードが運営するWebマガジン「トレード・トレード」では、ショッピングサイト「トレトレZNAPストア」を公開している。
MPayMe Japanでは、2014年に大手20社への導入を目指す。まずは、大手を中心に加盟店を拡大することで、早い段階で100万人以上の人に利用してもらいたいとしている。