2014年9月18日8:00「スターバックス カード」で顧客との関係づくりを強化店舗全体に占めるカード会員の売上も順調に高まる
プリペイドカードの草分け的な存在でもあるスターバックス コーヒー ジャパンの「スターバックス カード」。スターバックス店舗を日常的に利用する人が繰り返し利用できるカードとして浸透しており、専用のWebサービス「My STARBUCKS」へWeb登録を行うと、クレジットカードを利用したオンライン入金、オートチャージが可能だ。同社では、顧客との関係づくりを強化することにより、店舗全体に占めるカードの売上も13%まで高まっているそうだ。
定番カードに加え話題性のあるカードデザインも展開
オンラインチャージの開始でカード会員の利便性向上
スターバックス コーヒー ジャパンの「スターバックス カード」は、2002年から発行を開始。スターバックス店舗に来店する人に、よりスマート・シンプルにスターバックスを楽しんでもらうカードとして定着している。
「スターバックス カード」では、定番カードに加え、話題性のあるデザインも展開。今年は、藤原ヒロシさんが主宰するデザインプロジェクト「フラグメントデザイン」のプロデュースによる、フラワーモチーフのタンブラー、マグカップ、2種類の「ミニ スターバックス カード」を全国のスターバックス店舗で販売した。また、アーティスト清川あさみさん描き下ろしデザインによる「スターバックス カード“バタフライ”」の発行も行った。
9月10日からは、東日本大震災の復興支援を目的とした特別なスターバックス カード「スターバックス カード ハミングバード」を期間限定で発行し、利用者とスターバックスが一緒になって取り組む寄附プログラムを実施している。スターバックス コーヒー ジャパン マーケティング・カテゴリー本部 マーケティングコミュニケーション部 WEB/CRMグループ グループマネージャー 長見明氏は、「弊社では社員やアルバイトを含めて社会貢献活動に参加する意識が高いです。お店で接点を作って、お客様に気づいていただく場になればと思います」と説明する。
2012年6月6日からは、「My STARBUCKS」会員専用サイトから、クレジットカード決済でチャージが可能な機能を追加。また、指定金額未満になると、指定金額をクレジットカード決済で自動入金を行うことが可能なサービスを行っている。
長見氏は、「当時は、スターバックス店舗に占める『スターバックス カード』会員の売上は8%程度でしたが、現在は13%まで高まっています。オンライン入金とオートチャージの追加は、一定のユーザーの利便性を向上させました。オンラインの入金の割合も増えてきましたし、お店に存在感が出てきました」と笑顔を見せる。
現在、「スターバックス カード」の会員数は115万人を突破。発行枚数も年々増えている。また、「My STARBUCKS」へのカードの登録は約45万となり、クレジットカードへのチャージも全入金額の10%を超えているそうだ。
「FeliCa」を活用した「モバイル スターバックス カード」を実施
キャンペーンの展開により店舗のサービス向上を目指す
新たな動きとして、「My Starbucks」会員向けに、非接触ICカード技術「FeliCa」を活用した新しいサービス「モバイル スターバックス カード」を行っている。「モバイル スターバックス カード」は、プリペイドカード「スターバックス カード」をおサイフケータイ対応のスマートフォンや携帯電話で利用できるサービスとなる。飛躍的な会員数の伸びを期待するというより、これまで獲得できなかった層に利用してもらうことを意識しているという。
昨今、利便性・汎用性に優れたバーコードを会員証にしたサービスも登場しているが、日常的に利用してもらうサービスとしての安全面を考えると、長見氏は、「直観的に電源を入れずにタッチするおサイフケータイは便利であると思いました」と同サービス開始の経緯を話す。まずは3月から東京都内300店舗に導入したが、現在は全店で利用可能となっている。日常的に携帯するスマートフォンを活用したサービスでもあり、特定の利用者のリピート率は高いそうだ。
なお、店舗には対応の読み取り機を導入しているが、今後FeliCa以外のサービスが普及しても対応できるような拡張性のある端末となっている。
同社では年に2回程、「スターバックス カード」に5,000円をチャージするとドリンク1杯が無料となるキャンペーンを実施。「スターバックス カード」については、接客につながりやすい形でサービスを提供している。例えば、カスタマイズした商品をお勧めしたいときに踏み込めない顧客がいるが、カードを持ってもらうきっかけになっているそうだ。
「基本的にカードをお使いいただいている方はリピーターです。リピーターを認識したいニーズがお店にあり、お客様に新しいメニューをチャレンジしていただくきっかけとして入金キャンペーンを行っています。あくまでもカード起点の発想ではなく、カフェのサービスが良くなる方向で実施しています」(長見氏)
Web上のギフトカード販売サービス「Starbucks e-Gift」を開始
全店舗に占めるカード会員の売上を早期に15%へ
2014年1月15日からは、インターネット上のギフトカード販売サービス「Starbucks e-Gift」をスタート。購入者は、誕生日やバレンタインなど、イベントや季節に合わせたテーマの中からデザインを選び、メッセージを入力して、Facebook・mixi・LINEのメッセージ機能や電子メールでオンラインチケットを贈ることが可能だ。オンラインチケットを受け取った人は、全国のスターバックス店舗で、カスタマイズをしたものを含む500円までのすべてのドリンクとオンラインチケットを引き換えることができる。スターバックスのWebサイト以外では、mixiで最初に販売をスタートし、その後「giftee(ギフティ)」、「cotoco(コトコ)」でも販売している。
「ソーシャルギフトについては、初動の反応が非常に良好で、サービスを提供する企業の環境もここ2~3年で整っていくと感じています。特に、飲食の業態は親和性が高いと思いますので、多くの方に利用していただきたいです」(長見氏)
当面の「スターバックス カード」の目標としては、全店舗に占める売上の15%をカード会員が占めるように取り組んでいきたいそうだ。現状、手ごたえは感じているが、その先もチャレンジはし続けていきたいとしている。具体的な施策については非公表だが、「毎年、最低1つから2つは、アクションが見えるような活動はしていきたいです」と長見氏は意気込みを語った。