2014年12月3日8:00POSデータと連携し、購入した商品を把握可能なCLOを展開メーカーなどとタイアップして継続して利用されるサービスを提供へ
大日本印刷(DNP)と日本ユニシスは、カード会社等に向け「CLO(Card Linked Offer)サービス」を提供している。クレジットカードの決済データと加盟店のPOS(売上明細)データの連携により、購入した店舗だけではなく商品まで把握できる特徴を武器に、2016年に15億円の売上を目指すという。
POSとの連携でCLOの多様性が増すサービスを展開
マルチタッチポイントでユーザーに訴求へ
DNPと日本ユニシスが展開するCLOサービスは、カードイシュア、国際ブランド等と連携するパターンを想定。決済データと加盟店のPOS(売上明細)データを連携し、商品を購入する可能性が高い会員を抽出し、キャッシュバックなどの優待情報をその会員に配信して、加盟店への送客とカード利用を促すそうだ。同社では、加盟店やメーカーと協力し、商品まで把握可能なサービスを提供することで、“CLOの多様性が増す”と自信を見せる。
大日本印刷 ビジネスイノベーション本部 新規ビジネス開発室 室長 中根祐二氏は、「今までクレジット、プリペイドなど、デジタル決済を使われなかったシーンで利用される価値提供をしたいです。そこでは、商品情報と連携しているのは強みとなります。加盟店では従来、『ポイント5倍』といったキャンペーンを行っていましたが、長続きしないという課題がありました。今回、メーカーとタイアップして、1年間を通して価値の高いCLOサービスが提供できれば、1つの解になります」と話す。CLOのサービスに多様性が生まれれば、イシュアとしての差別化につながり、ユーザーにとって魅力的なサービスになるとしている。
購買情報については、決済後にDNPと日本ユニシスで紐付を行う。クレジットカード会社や加盟店における同サービスのシステム構築費や運用費は発生しないが、独自のカスタマイズや、システム連携における改修費用は発生する。また、アプリも標準で用意しているが、「できるだけマルチタッチポイントでサービスを提供できるようにしたい」そうだ。さらに、カード会社の要望により顧客属性に応じたクーポンを配信することは可能だが、その際はDNP側で設定するという。
デジタル決済の価値が高まるサービスを提供へ
ブランドプリペイド、デビットなども対応へ
中根氏は、「2020年に向け、国内でもデジタル決済のさらなる普及が期待されていますが、日本の現金決済をデジタル決済に導くうえでCLOは貢献できると考えています」と期待する。デジタル決済をすると現金よりも価値がでるような、ベネフィットが高いサービスを提供できれば、世の中で推進するカード会社の役に立ち、カードを使う側にもメリットが生まれると考えているそうだ。
CLOは米国で火がつき、最近では国内でもさまざまな企業が取り組んでいるが、「日本でも電子マネーやプリペイドを含め、デジタル決済は伸びているため、現金に対して何らかしらのベネフィットを与えるための切り札だと考えています。CLOで目指す最後の姿は、現金を使うよりもデジタルで決済できた方が家計を節約でき、お得感があるサービスの実現です」と中根氏は語気を強める。当面はクレジットカードによるCLOが中心となるが、それ以外にもブランドプリペイド、デビットなども対応する予定だ。
また、CLOはクーポンを配信できる加盟店をどれだけ広げられるかも課題となっているが、DNP自身も加盟店の開拓を行うという。DNPは、金融にかかわる事業領域が柱の1つとなっており、各社の販売促進の事業部に直接リーチできるのも強みとなっている。
すでにカード会社のアプリを利用したCLOサービスで採用
商品と連携したCLOで業界を席巻する存在を目指す
中根氏は、「間違いなくマーケットの感度としては高いと感じていますので、普及するきっかけをどうつくるかだと思います」と話す。今後は、カード会社の取り扱い金額としてインパクトが出るサービスを目指す。具体的には、「稼働している人の利用機会に気づきを与える、利用機会を創出するサービスである」と考えている。例えば、スーパーマーケットなどを利用する主婦はチラシを見て行動を起こすが、それに近いイメージで店舗に送客していきたいとしている。
すでにDNPと日本ユニシスのCLOサービスは、カード会社がアプリを利用したサービスで採用しているそうだ。当面の目標としては、「商品リワードと呼ばれるCLOにおいては、席巻したい。これまで決済されなかった場所でカードが利用され、当たり前になる市場を作っていきたいです。まずは、どのくらいの規模の人にリーチできるかが勝負です」と中根氏は意気込みを見せた。