2015年6月10日8:12FeliCa SAMをサーバに挿入し、FeliCa活用の電子マネーの仕組みを安価に構築カードに加え、モバイルでのサービスの強みをアジアでPR
国内のICカード市場では、デファクトスタンダードとなっているソニーのICカード技術「FeliCa」。電子マネーや鉄道など、国内では大規模なシステムで利用されることが多いが、シンガポールで4月に開催された「Cards&Payments Asia」では、FeliCa SAM(Secure Application Module)を活用した流通店舗での利用のデモを行った。流通店舗は、FeliCa SAMをサーバに挿入することで、比較的コストを抑えて、サービスの導入が可能となる。
店舗ではチャージやモバイルでの支払いが可能に
日本では、電子マネーの「WAON」や「nanaco」、「楽天Edy」、「Suica」などの交通電子マネーの仕組みは、大規模なサーバの仕組みを構築しているが、リーダライタ用のFeliCa SAM(Secure Application Module)をサーバ側に挿入し、並列的に設置することにより、簡易的な方法で電子マネーのサービスを構築することができるという。同製品は、AES暗号方式およびDES暗号方式に対応している。同製品を利用することで、FeliCaと同じようなセキュリティー機能を利用することが可能だ。
ソニー プロフェッショナル・ソリューション事業本部 FeliCa事業部 営業部 担当部長 竹澤正行氏は、「日本と同様の仕組みを用意するとなると、それなりのコストも必要なため、ライトな形でシステムを構築できる点をPRしました」と説明する。
「Cards&Payments Asia」ではイベント会場ということもあり、簡易的にWi-Fiを利用したが、通過しているデータはサーバ同様の考え方となり、モバイルフォンを「Over-the-Air」(OTA)でトップアップ(チャージ)したり、モバイルで支払いを行うことが可能だ。
今回は、アジアの流通企業向けにサービスを訴求。すでに仕組みは用意されているため、現地の企業が導入を求めれば、提案が可能となっている。なお、ソニーとしては、サンプルのSDKを販売することはあるが、運用については、現地の企業と調整する形となる。
また、近年、スマートフォンやタブレットがPOSになる仕組みが登場しているが、ソニーでは、FeliCaカードやモバイルをスマートフォンにかざすと、リーダとして機能する仕組みのデモも行った。
香港やインドネシアでモバイル乗車券のサービスを構築
「カードとリーダをベースにした仕組みは世の中にたくさんありますが、モバイルも含めた仕組みとなると、弊社の日本や香港での経験は一日の長があります。アジアでもモバイルやサーバの仕組みについて、ご説明していきたいです」(竹澤氏)
すでに香港では、FeliCaのシステムを利用するOctopus Cards Limitedの八達通(Octopus)が、SIMベースでモバイル乗車券のサービスを開始。インドネシアのジャカルタでも大手鉄道事業者がFeliCaを採用し、モバイルによるサービスも6月からスタートする予定となっている。
※取材はシンガポールで4月22日、23日に開催された「Cards & Payments Asia」のソニーのブースにて