2015年7月31日9:30
「ソフトバンクカードの未来」についてSBPSの堀田副社長が講演
2015年7月30日、「SoftBank World 2015」(主催:ソフトバンク、ソフトバンク コマース&サービス)において、ソフトバンク・ペイメント・サービス 代表取締役副社長 兼 COO 堀田 智宣氏が「ソフトバンクカードの未来」について講演した。
2015年3月から「ソフトバンクカード」を発行開始
生活に便利なさまざまな機能をカードに集約
ソフトバンク・ペイメント・サービス(SBPS)は、2015年3月、ソフトバンクとともにVisaプリペイドカード「ソフトバンクカード」の発行を開始。これまで決済処理事業を中心にサービスを展開してきたが、ソフトバンク・ペイメント・サービスとして初めてイシュア(カード発行会社)としてサービスをスタートした。 「最終的にはカードが必要ではない世界を目指す」が、現実的には携帯電話だけでは取り込めない世界がある。消費者は、現金、クレジットカード、ポイントカード等、購買にかかわる手段を使い分けているのが現状だ。堀田氏は、「購買の主役はお客様のため、どの方法で、どのタイミングで、何を支払いたいのかをマッチングしていくことが支払い手段を変えていく」としている。 また、リアル、ネットを含め、消費者の購入シーンは広がっている。たとえば、旅行については、8~9割の人はネットで予約しても、支払いは現地での支払い、ネット決済がほぼ半々の比率となっているそうだ。小売業のオムニチャネル化を含め、売り場と支払い手段は一体ではないことも多いため、それをどう実現させていくかが重要であると考えている。
SBPSでは、リアルやオンラインに広がる購入シーンをテクノロジでつなぐことを目標としており、その第一弾が「ソフトバンクカード」となっている。 「ソフトバンクカード」は、全国のソフトバンク店頭で申し込みを実施(ウェブでの受け付けも予定)。財布の中にはキャッシュカード、クレジットカード、現金、ポイントカード、クーポン券などが入っているが、それらをカードに置き換えられたらどうなるかを考えて、サービスを構築したそうだ。
「ソフトバンクカード」は、クレジットカードのように与信がないため、ソフトバンク3G携帯電話、または、スマートフォンを利用する満12歳以上であれば保持することができる。
また、チャージ手段も充実しており、たとえば「口座振替チャージ」では、ジャパンネット銀行の口座から振り替えでチャージできるため、ATMに行く必要はない。さらに、SBPSが提供する携帯キャリア決済の「ソフトバンクまとめて支払い」でチャージした額を月々の携帯電話利用料金と合算して支払うチャージ方法も用意している。
また、「おまかせチャージ」は、事前にチャージすることなく支払い時に利用代金同額の「バリュー」が自動的にチャージされる方法となり、即日審査が可能だ。堀田氏は、「フロントはプリペイドですが、オプションとしてクレジットが紐づくという、世界でも類を見ない動きとなっています。通常のオートチャージと違って、1円でも0円で足りない部分がクレジットの裏側に回ります」と説明する。
なお、オートチャージ機能の提供は、ヤフーとSBPSが株主となるワイジェイカードが担っている。 ユーザーへの魅力付けとして、5,431万人が利用する共通ポイントサービス「Tポイント」を採用。ソフトバンクのユーザーである4,000万人を合わせると、日本人の多くをカバーでき、「お客様の利便性を重視した時に共通ポイントは有効」であると堀田氏は語る。 「ソフトバンクカード」はプリペイドカードだが、現金を置き換え、銀行に行かなくても買い物ができる手段を提供。また、クレジットカードからのチャージをオプションで付帯しており、ポイントカードとしても利用可能だ。仮に子供が入会してもアップグレードして利用できる点が特徴となっている。
「スマートログイン・決済」を「Yahoo!ショッピング」から開始
会員情報やID・決済情報などの入力を省略して買い物可能
「ソフトバンクカード」以外の取り組みとしては、「スマートログイン・決済」を紹介。これは、会員情報やID・決済情報などの入力を省略してネットショッピングなどができるモバイルeコマースサービスとなる。まずは、2015年10月以降、「Yahoo!ショッピング」からサービスを開始し、順次対象となるサービスを拡大していくそうだ。
利用者は、サイトを一度訪問すれば、以降、会員情報やID・パスワードの入力不要でYahoo! JAPANの各サービスに自動でログインでき、ワンクリックで決済できる。
また、「スマート決済」により、携帯電話料金とまとめて支払える決済方法を選択でき、クレジットカード番号や口座番号などの決済情報を入力することなく利用可能だ。 今後は、ネットだけではなく、リアルでも同サービスを展開していきたいとしている。たとえば、ネットで予約して、来店して商品・サービスを受け取り、料金は通信料と合算して支払う世界が実現できる。
ソフトバンクの強みとしては、「お客様と対面して本人を確認している」点を挙げる。SBSPの「ソフトバンクまとめて支払い」は、ソフトバンクユーザーすべてが利用可能だが、2014年の実績として440万人が利用しているという。また、ヤフーとワイジェイカードが発行する「Yahoo!JAPANカード」等のクレジットカードもすでに100万枚以上が発行されている。
今後は、ソフトバンク会員間で送金できるサービスなどを提供することで、家族間のコミュニケーションをサポートできるとしている。また、SBPSはNTTドコモやKDDIなどのキャリア決済サービスも提供しているため、ソフトバンク以外のキャリアと連携した送金サービスも実現していきたいそうだ。
さらに、日本だけではなく、グローバルで送金できるサービスも視野に入れる。すでにSBPSは、2011年からフィリピン大手の通信キャリア「Global Telecom」の100%子会社であるG-Xchange,Inc.と提携し、フィリピンに送金するユーザーを対象とした「GCASH REMIT(ジーキャッシュレミット)」のサービスを行っている。
堀田氏は、「主役はお客様でいろいろなタッチポイントを網羅する」ことが重要であると説明。「ソフトバンクカード」はコンシューマー向けにサービスを提供しているが、決済処理サービスでは加盟店向けにサービスを展開しているため、加盟店とコンシューマーをつなぐサービスを展開していきたいとしている。
なお、「SoftBank World 2015」の展示ブースのコーナーでは、SBPSもブースを出展。「ソフトバンクカード」のプロモーションやタイアップ先となる企業の募集、加盟店向けに決済サービスとTポイントとのセット導入について紹介している。特に、決済サービスとTポイントとのセット導入が可能なサービスはSBPSのみが提供しているそうだ。