2015年10月20日8:00
新幹線と連携した優待、カーシェアリングでの取り組みなどすそ野が広がる
全国で時間貸し駐車場「タイムズ」を運営するパーク24は、駅近くの駐車場にクルマを止めて、公共の交通機関を利用するサービスである「パーク&ライド」を展開している。8月末現在、134箇所の駐車場で実施。北海道から九州まで23の事業者と連携してサービスを提供(モバトク・パーク&ライド、EX-ICパーク&ライドも含む)。カーシェアリングと鉄道が連携した「レール&カーシェア」を開始するなど、提供するサービスは年々、広がっているそうだ。
郊外に車を止めて電車で移動
パーク&ライドを実施の駐車場は電子マネー決済も多い
パーク24が2007年7月から開始した「パーク&ライド」は、駅近くの駐車場にクルマを止めて、公共の交通機関を利用する環境にやさしいクルマの使い方である。具体的には交通系ICカード内に記録された鉄道の降車履歴と、タイムズの精算機システムを連動させることにより、切符を見せる、パーク&ライド用の駐車券を使うなどの手順を一切用いずに、交通系ICカードに記録された降車履歴に応じて自動的に駐車料金を優待料金で利用可能だ。
パーク&ライドの傾向として、目的地までの時間が30分から1時間のエリアに居住している人が、郊外にある駐車場に車を止めて、電車で移動するケースが多い。現在、「利用が多い駐車場では2人に1人の方がパーク&ライドを利用されています」とパーク24 業務推進本部 モビリティ研究所 木幡圭介氏は成果を口にする。
パーク&ライドでは、降車履歴を精算機で読み取るため、ICカードをリーダーにかざす必要がある。交通系ICカードを出して割引処理を行うため、パーク&ライドを実施している駐車場の中には、実施していない近隣の駐車場と比較して、電子マネーによる料金支払いが、2倍以上高い駐車場もあるという。
直近のパーク&ライドの成果としては、2015年4月1日から、仙台市交通局が発行するICカード乗車券「icsca(イクスカ)」を活用して、駐車料金を優待するサービスを仙台市泉中央駅前駐車場で開始。仙台市泉中央駅は地下鉄の終点に当たる駅だが、利用件数は右肩上がりで推移して、開始数か月で1,000件以上利用されるなど毎月堅調に数が増えているそうだ。
交通系ICカードについては、2013年の相互利用の開始により、主要な鉄道事業者はほぼ網羅したが、新たに取り組んでいるのが新幹線と連携した優待サービスだ。すでにJR東海とは、新幹線のネット予約サービス「エクスプレス予約」会員向けに、「EX-ICカード」等を活用した駐車料金優待サービス「EX-ICパーク&ライド」を2013年から開始。2014年4月からは、JR東日本の「モバイルSuica特急券」の降車履歴を活用した駐車料金優待サービス「モバトク・パーク&ライド」、2015年8月からはJR西日本と連携してEX-ICパーク&ライドを開始している。
たとえば、JR東海でのEX-ICパーク&ライドは約2年展開しているが、三島、新富士、新横浜等の駅では利用が伸びている実感があるそうだ。木幡氏は、「たとえば、駅前の月極駐車場を借りるほどではないが、月に何度か出張される方等がお使いになられるケースが多いです」と口にする。
電車で移動してカーシェアリングを利用すると優待
地域で発行されている交通系ICカードとの連携を強化
新たな取り組みとして、目的地の近くの駅までは交通系ICカードを用いて電車で移動し、駅近くの対象ステーションに配備されたカーシェアリング車両に交通系ICカードをかざすと、タイムズカープラスの利用料金が優待される「レール&カーシェア」も展開。2014年7月にはJR東海・JR西日本のEX-ICカード、2015年5月からは福岡市交通局の「はやかけん」との連携を行っている。
たとえば、EX-ICカードと連携した静岡県の駅では、東京や大阪からの出張者を中心に、駅から離れた工場などに訪れるビジネスマンの利用が目立つという。はやかけんと連携した福岡の取り組みでは、糸島という人気スポットがあり、姪浜駅から車で30分程度かかるため、若い人を中心によく利用されているそうだ。
さらに、EX-ICカードなどが個人認証の代わりになるサービスも導入。交通系ICカードの機能追加登録を行えば、1枚のカードでカーシェアリング車両のドア開錠・施錠が1枚で可能となる。
今後の取り組みとしては、パーク&ライド同様に、レール&カーシェアが利用できるスポットを広げていきたいとしている。また、パーク&ライドは全国に広がっているが、地域で発行されている交通系ICカードもあるため、連携した取り組みを強化する方針だ。
さらに、パーク24では引き続き鉄道に対する2次交通の役割を提供し、利用者の利便性向上及び交通分散に努めていく方針である。