2015年10月26日8:00
海外渡航者を中心に利用され、リピーターも多い
三井住友カードは、2015年2月から、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、Visaと協力して、NFCを搭載した「おサイフケータイ」対応スマートフォンに対応した非接触IC決済サービス「Visa payWave」の発行を行っている。
同社では商用化に向け、2014年3月から500名のモニター会員を募り、先行してVisa payWaveの発行を開始した。「当社が想定した以上にさまざまな国や地域で使っていただけました。また、モニター会員へのアンケートの結果も好評でした」と三井住友カード 商品企画開発部 シニアスタッフ 秋田篤志氏は語り、笑顔を見せる。モニターは、日常でおサイフケータイを利用している人が多く、海外でも同様に使えて便利、という声が多かった。海外の一部の店舗で利用できない課題があり、サービスの開始に向けて3キャリア、Visaと協力し解決してきている。
Visa payWaveは、国内の加盟店がまだ少ないため、利用が限定される部分はあるが、「会員数は、毎月着々と伸びています」と同部 シニアスタッフ 横田貴之氏は成果を口にする。繰り返し海外で利用するリピーターも相当数いるそうだ。
オペレーション面では、モバイルNFC協議会において3キャリアやクレジットカード会社が連携して構築した運用ルールがあるため、運用開始後も特に問題は発生していないという。また、おサイフケータイでのFeliCaを用いた決済サービスと比べて、1会員に対する発行コストは極端には変わらないそうだ。
会員数拡大のためには、まずは国内で利用できる加盟店数を拡大することがキーとして挙げられる。国内では、函館市の函館朝市ひろば、沼津市のぬまづみなと商店街などに導入したが、大規模加盟店への拡大はこれからといった状況だ。最近では接触のEMVや電子マネー決済導入を検討する加盟店は増えており、インバウンド対応も含めて、EMVコンタクトレスについても興味を示すところもでてきているそうだ。日本ではまだコンタクトレスEMVの決済サービスを利用しているユーザーは少なく、導入してもすぐに利用者が増えるものではない。将来に向けた取り組みであることを加盟店に理解してもらってから導入してもらいたいと考えている。
なお、現状はカード型のVisa payWaveの発行は行っていないが、「まずは加盟店への導入が先であり、広がりが見えれば、電子マネーという形ではなく、国際ブランドの新たな決済方法として、検討するカード会社や銀行は増えると考えます」と秋田氏は話す。
現在はSIMベースでNFCモバイルペイメントを展開しているが、「大切なのは規格の問題ではなく、如何にお客さまに便利に利用してもらうか」であると秋田氏は口にする。HCE(Host Card Emulation)をはじめとする新技術についての研究はしているが、軸足は会員サービスの向上に置いている。
また、モバイルNFC協議会においても、先行してVisa payWaveを展開した経験を業界にフィードバックしているそうだ。