2015年12月8日8:12
さらなる利便性向上を目指し、グループ外加盟店の開拓にも取り組む
イズミでは、2010年7月27日から、グループ会社のゆめカードが開発・運営するプリペイド電子マネー「ゆめか」の発行・利用を行っている。イズミが運営するゆめタウンやゆめマ-トに加え、グループ外加盟店でも電子マネーとして利用したり、ポイントを貯めることが可能だ。全国的にも早い段階でのサーバ管理型のプリペイドカード導入となったが、利用者への浸透は順調に進んでいるそうだ。
消費者の“財布”として利便性向上につながる
ポイント特典も利用を後押し
プリペイド電子マネー「ゆめか」は、2015年は節目の500万枚の発行を達成した。ゆめカード 取締役 営業統括本部長 吉野太郎氏は、「5年以上の運用の中、「利用者の傾向を見ると、当初想定していた少額決済としての利用よりも、財布としての利便性向上につながっていること、ポイント特典のニーズがありました」と口にする。
全国的にもリチャージ式のギフトカードを早く展開しているゆめカードだが、「弊社には、お客様がポイントカードやクレジットカードをレジの店員に渡すという文化があり、ゆめか普及の障壁はありませんでした」と吉野氏は説明する。100万枚の突破には2年がかかったが、ドライブがかかったのはポイントカードをゆめかに一本化してからだという。
当初は、ポイントカードとの選択制だったが、2年間の動きを見て、ゆめかに一本化しても十分にやっていけるとわかったこと、また、来店頻度のさらなる向上が期待できると考えた。
利用者は、ゆめかの電子マネーで決済すると、通常100円で1ポイントのところ、100円で1.5ポイントのポイントが付与される。また、チャージ金額も、通常の店舗の買い物の約3回分の入金があるため、再来店に寄与しているという。チャージについては、約75%がレジでの入金だが、チャージ機を設置している店舗もある。
ポイントが5倍になる「ゆめかの日」は稼働率が高まる
広島に愛着のある限定カードを発行
稼働率の向上に向けては、ゆめかの電子マネー払いでポイントが5倍になる「ゆめかの日」を毎月25日に設けている。この日はゆめか利用者の稼働率が急激に高まると共に、新規会員の獲得にも寄与しているそうだ。
稼働率が高まることにより、イズミのCRM活動にもプラスに働いている。イズミ利用者のうち、電子マネー「ゆめか」付クレジットカード「ゆめカード」などを含めると、月間の利用者の40%がカード利用を行っている。吉野氏は、「将来的には、ゆめかの利用者を60~70%くらいにはしていきたいです」と意気込みを見せる。
ゆめかのラインアップとして、一般カードのほかに60歳以上限定の「ゆめかプラス」、20歳まで保有できる「ジュニアカード」を発行している。そのほか、プロ野球の広島カープ、サッカーJ1リーグのサンフレッチェ広島、広島にゆかりのある平清盛などのデザインカードを発行しているが、「広島の親しみをもっていただくカードとして、若年層を中心にお使いいただいており、稼働率も高いです。また、熊本では『くまもん』のカードも出しました」と吉野氏は説明する。
ゆめタウンの周辺店舗でゆめかのポイントを付与
広島の電子マネー「HIROCA」にもゆめか機能を搭載
現状、ゆめタウン内でのゆめかの利用は広がっているが、今後はさらに利用できる場面を増やしていきたいとしている。ゆめタウンの周辺店舗でゆめかのポイントを付与する仕組みが徐々に広まっており、導入は1,000店舗を超えているそうだ。そのうち、電子マネー機能が利用できる店舗は10%程となる。たとえば、広島市内のセブン-イレブン17店舗でゆめかの電子マネーとしての利用が可能だ。
「セブン-イレブン様とはそれほど競合しないため、セブン・カードサービス様の『nanaco』も全店のゆめタウンで利用できるように準備を進めており、相互送客で考えています」(吉野氏)
現在、広島銀行や各市町村では、広島の電子マネー「HIROCA」が利用できる環境の整備を進めているが、HIROCAのカードにはゆめか機能が搭載されている。今後は、HIOROCAが利用できる端末でもゆめか決済を利用できるようにしていきたいとしている。店舗にとっても共用端末で、さまざまな決済が利用できるようになることにより、顧客利便性を高めることが可能だ。
今後の展開としては、「まずは50%まで稼働率を高めるため、ゆめタウン内の自動販売機、お住まいの近隣の店舗など、どこでも利用できる環境を整えていきたいです。また、ゆめカードのクレジットチャージを用意していますが、口座からの自動振替なども検討していきたいです」と吉野氏は構想を語った。