2016年1月8日8:15
ドイツのインフィニオン テクノロジーズは、2015年11月に開催された「CARTES SECURE CONNEXIONS 2015」において、OSPTアライアンスが策定した公共交通アプリケーション向けオープン規格「CIPURSE(サイパース)」の説明を行った。
「CIPURSE」はOSPTアライアンスが策定
システムの拡張性、自在性が特徴
OSPTアライアンスには、インフィニオン テクノロジーズ、ギーゼッケ アンド デブリエント(G&D)、オベルチュール テクノロジーズ(Oberthur Technologies)、サムソン(Samsung)など、世界の名だたる企業が参加している。「CIPURSE」は、公共交通アプリケーション向けオープン規格となり、ICカード、NFC、SAM(セキュア・アクセス・モジュール)など、さまざまな機器に実装可能な共通の仕様を規定している。
CIPURSEは、1つの仕様でスケーラブルな展開ができ、セキュリティも優れているそうだ。たとえば、MIFAREの鉄道向けソリューションは数多くの互換品が出荷されているが、インターオペーラビリティを確保できないケースもある。その点、CIPURSEはシステムの拡張性、自在性があるため、段階的にシステムを更新できる。
バルセロナは回数券「T-10」チケットがICカード乗車券へ
ATMの「T-Mobilitat」プロジェクト初の認定サプライヤ
インフィニオンのCIPURSE対応セキュリティ ソリューションは、バルセロナの電子運賃回収システム「T-Mobilitat」で採用された。バルセロナの都市輸送公社「ATM(Autoritat del Transport Metropolità)」では、バルセロナ大都市圏の電子発券システムを対象に、磁気ストライプカードからICカード乗車券への切り替えを2016年に開始する予定だ。また、第二フェーズとして、カタルーニャ地域へのシステムの展開を予定している。観光客などに人気の回数券「T-10」チケットなど、紙製の乗車券はすべてICカードソリューションに置き換えられる。
「T-Mobilitat」乗車券において、ユーザ情報はインフィニオンのCIPURSE対応セキュリティコントローラ上に保存される。インフィニオンは同製品によって、ATMの「T-Mobilitat」プロジェクト初の認定サプライヤとなった。
インフィニオンテクノロジーズ AG セキュア・モバイル&トランザクション ヴァイス・プレジデント&ゼネラルマネジャーのThomas Rosteck氏は、「CIPURSEは、公共交通以外にもパーキングやサイクルなどでも利用できます」と説明する。
中南米やロシアでもプロジェクトが進行
「OPTIGA Trust E」が「ゴールデン セサミ賞」を受賞
インフィニオンのチップは、改札の読み取り機(リーダ)と、高速かつセキュアなデータ転送を行える点も強みとなる。現在、バルセロナ以外にも中南米やロシアなどでもCIPURSEを採用したプロジェクトが進行している。
なお、「CARTES SECURE CONNEXIONS 2015」では、同社の「OPTIGA Trust E」が、「最優秀ITセキュリティ ソリューション」と「ゴールデン セサミ」の2部門で「(Sesami Award(セサミ賞)」を受賞した。
「ゴールデン セサミ賞」は、審査員全員の投票により、10部門の受賞製品すべての中から、最も優れたソリューションとなる。「OPTIGA Trust E」は、資本設備や知的財産(IP)を攻撃、解析、複製、改ざんから保護する、実装の容易なソリューションであるという。